マガジンのカバー画像

高校数学1ミリメートル

13
_学習塾の数学講師として「どの様に生徒に解説しようか?」と考えたことも参考に、自分なりに紡ぐ数学マガジンです。他分野を学ぶ際の数学の復習にも役立つかもしれません(害になったら申し…
運営しているクリエイター

#高校数学

マガジン「高校数学1ミリメートル」の御案内

 拙マガジン「高校数学1ミリメートル」を訪れて頂きまして、ありがとうございます。次に挙げます事柄について了承頂けますと幸いに思います。  基礎や基本が中心で、練習問題有り。御質問、御批判大歓迎 です。  概ねひと月に1回の更新を心掛けます。  掲載は慎重に致していますが、誤記が有ろうかと思います。見つけ次第、出来るだけ速やかに訂正致しますが、注意深くお読み頂けましたら幸いです。  私のクリエイターページ先頭に固定の記事や私のプロフィールが、私の "note" 全体の御

Vol.12 数学的帰納法の練習~~その1

 御案内  スマートホン等、縦長の画面で御覧の方へ。  数式表示等が画面右方向に表示しきれて無い部分は、その部分を左方向にスワイプする等の横スクロールで残りの部分を表示し、御覧になる事が出来ると思います。  宜しくお願い致します。 1. 等差数列の和の公式の数学的帰納法での証明1-1. 先ずは等差数列の和の公式の導出を・・・  あるエピソードを紹介しよう(と言っても、私も人から聞いた話なのだが)。天才数学者ガウスが少年の頃、算数の先生が授業で(時間稼ぎに?)生徒に「

Vol.11 この因数分解、どうしてくれようか?~~その1

前回出題の問題、その1の解答解説 次の式を有理数係数の範囲で因数分解出来たら良いのだが・・・と思ったとする。 $$ ( m + 1 )( m + 2 )( m + 3 )( m + 4 ) - 3    \cdots(1) $$  (1)式を展開して降べきの順に整理すると、 $$ m^4 + 10m^3 + 35m^2 + 50m + 21   \cdots(2) $$  (2)式を見たとき、これを因数分解するのに因数定理を使ってみようと思うかもしれない。因数定理は

Vol.10 卵が先か?鶏が先か?因数分解の公式~~その1

前回出題の問題1の解答解説因数分解、その1  「次の式の因数分解を導出過程も含めて記述せよ」と云う出題を考えてみる。 $$ a^3 + b^3               \cdots(1) $$  この式の因数分解もまた、多くの高校数学の教科書や公式集が公式として掲載していると思う。先ずは(1)が$${ ( a + b ) }$$ を因数に持つかもしれないと考え、展開結果に(1)式の2項が現れるように、試しに以下の様に式変形をしてみる。 (実は「$${ ( a +

Vol.9 こんな公式記憶する気になれん~~因数分解編~~その1

導出過程を示して因数分解せよ! 次の式を因数分解せよと云う出題を考えてみる。 $$ a^3 + b^3 + c^3 - 3abc               \cdots(1) $$  実はこの式の因数分解は、多くの高校数学の教科書や公式集が公式として掲載していると思うので、その公式を正確に記憶しているならば即座に正解することが出来る。  しかし、その因数分解の結果の存在について知ってはいるが記憶はしていないとか、その記憶が曖昧だとか、そもそも上式は初めて見る式という事

Vol.8 三角関数の「和→積」「差→積」

先月出題の問題の解答まずは、三角関数の「和→積」の公式の導出から・・・  先月の問題は三角関数の和を積とする事を求めているので、三角関数の「和→積」の公式を使う事を考えた、と云うところから話を進めてみようと思う。  三角関数の「和→積」「積→和」の公式の全てを、正確に記憶するのが面倒な人は多いかもしれない。丸暗記だと、思い出すときに若干間違えて思い出すかもしれない。  「若干間違えて」と述べたが、「若干」間違えると云う事は(言葉は過ぎるかもしれないが)全くデタラメに思い

Vol.7 三角関数の合成について

先月出題の問題の解答問題、その1  三角関数の合成の公式は、$${ a \sin{x} + b \cos{x} }$$ が 1項の正弦関数か余弦関数と等しいとするものである。それをどうやって表すか? $$ a \sin{x} + b \cos{x}       \cdots(1) $$  ( 1 ) で $${ a = r\cos{ \alpha },  b = r\sin{ \alpha } }$$ と表す事が出来れば、次の ( 2 ) が示す通りに、三角関数の加法定

Vol.6 定積分1ミリメートル その2

1. 計算結果が1になる定積分の式の例、その2原点を通る放物線の場合  $${ y=x^2 }$$、$${ x }$$ 軸、直線 $${ x= t  ( >0) }$$ で囲む面積が $${ 1 }$$ のとき、$${ t }$$ の値を求めると、 $$ \begin{array}{lll} \displaystyle \int_{0}^{t} x^2 dx &=& \dfrac{1}{3}\Bigl[ x^3 \Bigr]_0^t \\ \\ &=& \dfrac{1}

Vol.5 定積分1ミリメートル その1

1. 計算結果が1になる定積分の式の例(以下の私の説明は、積分についてのかなり直感的な説明の一つであり、こういう説明をする人もいると云う事を了解いただけると、とても助かる。)  定積分とは面積(の増加量)なので、それを計算した結果が1になるような定積分の式を示す事となる。 1-1. 正方形の面積  兎に角面積が1となれば良い。1 辺が 1 の正方形の面積を定積分で求めても、その値は当然 "1" となる。  その正方形の 4 つの頂点の座標を其々$${ ( x, y )

Vol.4 常用対数表の活用を、その2

Vol.3 で出題した問題の、私の解答解説問題その1、問1 (以下の記載では、指数法則 $${ a^{x} a^{y} = a^{ x + y },\ {  ( a^{x} ) }^{y} = a^{ xy } }$$ は了解済みとする)  Vol.3で公式1とした次の式を、左辺から右辺へと導出致したく思う。 $$ \log_{a}{b} = \dfrac{\log_{c}{b}}{\log_{c}{a}} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \

Vol.3 常用対数表の活用を、その1

Vol.2 で出題した問題の、私の解答解説問題その1  問題その1は、7、9、1024 について、それぞれ 2 の何乗となるかを「常用対数表を使って見積もる」のだった(問題その2については、後ほど熱く解説致したく思う)。  常用対数とは 10 を底とする対数であり、正の数 $${x}$$  の常用対数は、 $$ \log_{10}{x} \ \ \ \ \ \ \ (1) $$ で表す。  老婆心ながら(1)式の値は $${x}$$ が 10 の何乗であるかを示す

Vol.2 2重根号、その2

Vol.1で出題した問題の、私の解答解説問題その1、問1 $${\sqrt{17+2\sqrt{70}}}$$ について、この式の形は2重根号と言うものであった。  これを2重根号では無い簡単な式にするには、外側の根号の中を次の因数分解の公式の形、 $$ a^2 + 2ab + b^2 = ( a + b )^2 $$ に落とし込んで平方の形にし、$${\sqrt{A^2}=|A|}$$ ( $${ A }$$ は実数 )の性質により、外側の根号を外して2重根号で無

Vol.1 2重根号、その1

中学数学の因数分解の公式より 次に示す式は2重根号になっている。これについてどう考えるか? $$ \sqrt{5+2\sqrt{6}} $$  これは平方根の意味するところにより、  「2乗すると $${5+2\sqrt{6}}$$ となる正の数」  とか、 「$${5+2\sqrt{6}}$$ の正の平方根」 ととれる。  この外側の根号を外すことを考えてみる。つまり2重根号では無い、より簡潔な格好で表すにはどうしたら良いか?  ここで「2乗すると $${