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偏角の原理を使って五次方程式を解く

この記事は、日曜数学 Advent Calendar 2020 – Adventar(外部サイト)23日目の記事です。22日目はヘカテーさんの「論理パズルの解説と、ハミング符号。」でした。

和からの松中です。今回は五次方程式偏角の原理について語らせていただきます。

この記事の主な内容
・五次方程式は解けない?
・偏角の原理
・魚群探知機を用いるように五次方程式の解を探す
・実際にやってみる
・さいごに
・参考文献

五次方程式は解けない?

私たちは中学校の時に二次方程式の解の公式を学びました。

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紀元前2000年頃のエジプトで具体的な問題に対して二次方程式が解かれていたようです。
また、紀元前300年頃のユークリッドの原論には幾何的な方法による二次方程式の解法が載っており、7世紀のアラビアでは現在の解の公式が発見されていました(そもそも当時は負の概念すらないので、表記法は現在とは異なるはずですが)。

二次方程式が解けるようになったら、三次方程式四次方程式も解きたくなります。
そして実際に、16世紀のイタリアで三次方程式、四次方程式についても解の公式が発見されました。
しかし現在の私たちは三次方程式と四次方程式の解の公式を中学、高校で学びません。これはおそらく二次方程式に比べて三次方程式、四次方程式を使わないと解けない問題が身の回りに少ないことと、その解の公式があまりにも複雑で、純真でいたいけな中高生に教えることのはやめたほうがよい、という教育的な配慮によるものと思います。

とにもかくにも、16世紀に立て続けに四次方程式の解の公式まで発見されたため、人々の期待は五次方程式の解の公式の発見に向くのですが、その後300年以上、五次方程式の解の公式が発見されることはありませんでした。
それどころか、19世紀にアーベルやガロアによって独立に「五次方程式には解の公式が存在しない」ことが証明されてしまうのです。

ここで注意したいことは五次方程式に解の公式は存在しなくても、五次方程式の解は存在するということです。解の公式とは「方程式の係数に対して四則演算やn乗根を取る操作を有限回繰り返して解を書き下したもの」です。
確かに二次方程式の解の公式も係数であるa、b、cに四則演算とルートをとる操作を何回か行って解を書き下していますね。

アーベル、ガロアが証明したことは、「五次方程式には解が存在しない」ということではなく、「五次方程式の解は、その係数の四則演算やn乗根を取る操作を有限回繰り返して書き下すことができるとは限らない」ということだったのです。

「五次方程式には解の公式はない!!」が、「五次方程式に解は存在する!!」と言われると、とてももやもやします。
結局解けるの?解けないの?という気分になります。
今回は五次方程式を数値的に解く方法を思いつきましたので、紹介させていただきます。

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