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次女むーちゃんが健気すぎる

わたしが子どもたちのご飯を手伝わなくなってしばらく経った。
昨日、一番上のきいちゃんがうちに遊びにきていて、わたしは大人用の食事の準備をしていた。
きいちゃんはご飯が足りなかったのか、お腹空いたーと言っていたので、わたしはおかずを多めに作り、誰に言うともなく、「ご飯食べるー?」とキッチンから言葉を投げかけてみたところ、きいちゃん以外に次女のむーちゃんが「食べる!!!」と元気に返事を返してきた。
子どもたちのご飯は一足先に済んでいた。

珍しいなと思いながらも返事の数だけ皿に野菜炒めをよそって、どうぞと渡してわたしも席に着いた。
むーちゃんは普段から体重を気にする乙女なのに、珍しいなぁなんて呑気なことを考えながら皆んなで野菜炒めをもぐもぐと咀嚼する。
きっと野菜だからオッケーなんだろう、ぐらいで。

シンシンの子どもたちは幼少期、ママからご飯をもらえないことがあったそうだ。
詳しくは聞いていないけど、その影響は三人の言動から感じることがあった。
例えば、口ではまずいと言うんだけど決してご飯を残さないところとか、お菓子などをあげた時には必ず人数で割って、自分だけ多く取る、なんてことは絶対にしない。
独り占めしていいよ、と言ったこちらが罪悪感を抱くくらいに、子どもたちは純粋でまっすぐだと思い知らされる。

状況的に、わたしの状態はママとダブるところもあるのではないだろうか。
シンシンが契約してるミールキット以外に子どもたちが食べるものは大体わたしが買ってきて食費もわたしが出しているんだけど、それをわざわざ「出してるよ」なんてことは言わないから、子どもたちからすると知ったこっちゃねー!っていう感じだ。

だから、子どもたちが可愛いと言いながらご飯を作らなくなったわたしがまた「してくれるようになった」と感じたのではないか。

特に真ん中のむーちゃんは、普段の生活を見ていて満たされない部分を他の二人よりも感じているようなので、突然のわたしの言動に、応えなくちゃ!とか、せっかくわたしが作ったからとか、もしかしたら、私たちにも作ってくれたんだと嬉しい気持ちとか、そういうのがあるのではないだろうか、とわたしは勘ぐっている。

むーちゃんは他の子がバイトで好きなことをやってたまに学校をサボったりという話を横目に、ひとりしっかり勉強をして東京にいる好きぴに会うためにバイト代を貯金している。
きいちゃんとぴんちゃんが仲良くしているのを見て羨ましいと思う気持ちもあるように見える。
むーちゃんはいつも何だか寂しそうだ。
爆発する前に、どうにかできるだろうか。

むーちゃんのXデーは、11月の好きぴに会う頃だ。
片道分の交通費さえあればとか、学校をやめて東京へ行く、なんてことも口走っていたので、わたしたちはむーちゃんが帰ってこないのではと心配をしているんだけど。

そんな思春期真っ只中のむーちゃん。
「あげる」とチョコレートと一緒に置いておいたメモが、ありがとう、さよこちゃんすき、と書き換えられていた。
上手でしょ?と笑うむーちゃんに、わたしは無理矢理だねぇと言いながら、内心この子らを大事にしてあげなくてはな、と思ったのだった。

健気で、まっすぐに、わたしの好意を欲しているむーちゃん。
あんまり無理しないようにね。


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