1980年 あの夏の日4
最終話
寝付けないまま朝を迎える。
昨夜の出来事を思い出す。
二人で勉強。
難解な問題に、ウンウンと頭を悩ます彼女の横顔
問題が解けるたびに子供の様に、はしゃぐ姿
もちろん、嬉しく楽しかった。
同時に、なぜ僕なのか?
彼女は、僕をどう思っているのか?
名探偵が答えを探す時の様に、一人悶々と頭を抱え悩み込む。
寝不足気味のまま、ジャージに着替えラジオ体操に
向かう。
昨日に続き隣に並ぶ彼女。
[ おっはよ〜 ]
[ 昨日は、ありがとね ]
[ なんか目赤いね? ]
顔を覗き込む彼女の視線に俯く僕。
[ 寝不足? ]
[ 私も寝不足気味かな ヘヘヘ ]
はにかむ彼女。
[ 明日で終わりだね ]
[ さみしいな〜 ]
[ ◯◯君もさみしい? ]
[ ウソウソ、冗談だよー ]
ハハハと彼女は、照れ笑いでごまかす。
心のなかでは[ 僕もさみしいよ ]と思うが
声に出しては、言えなかった。
朝食のため、食堂に入る。
ベーコンエッグ サラダ🥗 トースト🍞 ミルク
ベーコンがカリカリで、お気に入りの朝食だった。
トレイを両手で持ったまま彼女は…
[ 隣いい? ]
[ …うん ]
[ ありがとございます フフフ ]
[ もっと早くから話したかったな〜 ]
[ だってさ〜◯◯君食べるの早いし、食べたら直ぐにいなくなるでしょ? ]
[ 話しかけるタイミングなくてさ〜 ]
[ 部屋まで押し掛ける程、勇気ないし… ]
いつもの如く、彼女が一方的に話し私は頷くダケ。
[ 今晩も勉強おしえてね!! ]
[ 早めに晩ご飯食べて、お風呂に入ってえ〜
6時半からは、どう? ]
[ それでいいよ ]
[ 決まりだね。今晩もよろしくお願いします ]
立ち上がりペコリとお辞儀する彼女を見て
僕も慌てて立ち上がり、お願いしますとペコリ
彼女は、クスクス🤭と笑いながらトレイを持って
席を離れる。
いつも楽しそうに話す明るく元気な彼女だが、時折
ほんの一瞬、僅かに寂しそうな表情を見せる時がある
理由は分からない。
僕と関係があるのか?
正体不明の不安が、心を覆う。
少しづつ彼女を好きになっていく僕がいた。
受験合宿も残りは二日。
今日は全科目のテストを行う。
科目ごとの課題を先生が洗い出す。
最終日は、課題の指摘と受験までの対策
食堂を会場にして9時からテストが始まる。
数学 英語 社会 歴史 現代国語 他にもろもろ
カンニング防止の為、先生が見廻る。
実際の受験さながらの雰囲気に気合が入る。
無事に16時にテストは終了。
17時過ぎに食堂へ入る。
ご飯 生姜焼き サラダ🥗 味噌汁 メロン🍈
慌ててかき込みトレイを下げる
管理人[ 今日も二人で勉強か? ]
[ スイカ🍉あるから、持ってきな ]
[ 若いっていいよな〜上手くやれよ! ]
なにを上手くやれというのか…
大きめにカットされた三角形のスイカが二つ
[ ありがとうございます😊 ]
マンガや溜まっていた洗濯物🧺をベットの下に
放り込み、ベットを整える。
風呂の準備をして時刻を確認。
18時
ダッシュ💨で、お風呂に向かう。
シャワーだけで済ませ、髪は半乾きのまま。
しつこく部屋を確認。
特に臭いはしないが、窓全開でウチワをあおぎ
空気の入替え。
窓から外を眺めていると、夕日に向かうトンボが空を舞っていた。
夏の終わりを感じていた。
寮の規則は、学校的な厳しさは無く16時に授業が、
終われば22時の消灯時間までは自由だった。
門限は、20時30分
部屋の鍵は開けておくこと
部屋への出入りは自由で貴重品だけは、
管理人に預けること。
他の皆んなは食堂でテレビを観たり、時折遊びに来る隣の大学生とトランプで遊んだりしていた。
僕は人見知りするタイプなので、いつもラジオ📻️や
カセットテープで洋楽を聴いていた。
ノックの音にドアを開ける
[ コンバンワ、今日もお願いします ] ペコリ
[ こちらこそ、お願いします ] ペコリ
クスクス🤭笑う彼女が、僕の横をすり抜ける。
石鹸の香りが頬をくすぐる。
[ ◯◯◯◯君 テストどうだった? ]
[ …? ]
突然彼女に、下の名前で呼ばれ固まる僕。
[ 下の名前◯◯◯◯君だよね? ]
[ 名前間違った? ]
[ …たぶん合ってると思う… ]
[ あたしテスト全然だめだったよ ]
[ 絶望的だよー ]
彼女の余りの落ち込みぶりに
[ 僕も数学以外は自信ないよ ]
[ そっか〜◯◯◯◯君 数学得意だもんね ]
[ 明日で終わりか〜 ] つぶやく彼女
[ やっぱ もっと早くから話したかったな〜 ]
[ ハハハ 自分で言ってて恥ずかしい ]
僕は、思い切って理由を尋ねた。
[ 何で◯◯さんは僕に話しかけるの? ]
[ あ〜◯◯◯◯君 ]
[ 女の子にそう言う事聞かないほうがいいよ ]
[ デリカシーないと思われるよ ]
黙り込む僕。
[ 背が高いし、日焼けしててなんかカッコいいな〜]
[ あたし運動苦手だから、運動出来る人に憧れるの]
[ 夜にトイレ行った時 前を歩いてくれて心強かった]
耳が赤くなり心臓はバクバクする。
軽く目眩
[ キャー 、女の子にこんな事言わせないでよ〜 ]
互いに顔を赤らめ無言となる。
[ ねぇねぇ、勉強やめてさー お喋りしよ ]
おしゃべりと言われても、何時も彼女が殆ど喋り
僕は、相槌をうつかボソボソと小声で答えるだけ。
管理人から頂いたスイカ🍉をだす。
[ スイカ食べる?管理人から貰った ]
[ 夕食でメロン🍈 今度はスイカ🍉か〜
なんか私達だけ贅沢だよね ]
彼女は、スイカの種を器用にスプーンで取り除く
[ 甘い〜美味しいね◯◯◯◯君 ]
僕は、種も気にせずかぶりつく。
ガリッ
噛んだ種を吐き出すのは汚いと思い、そのまま飲み込む。ゴクン…
[ ◯◯◯◯君 種は? 飲み込んで大丈夫? ]
[ 種も好きなんだ ]
[ ハハハ ウッソだー ]
ウソがバレて赤面 耳まで真っ赤になる。
◯◯◯◯君兄弟いるの?
私は、五つ上にお姉ちゃんがいるの
お姉ちゃん去年結婚したの、同じ市内にいるんだ
お姉ちゃんが居なくなってから親がうるさくて
特に母親がね〜
彼女は、自分の現在の境遇を話し始めた
彼女によると、姉が家を出たあと母親の干渉が
酷くなり2回ほど家出をしたとのこと
どこに出かけるの? 何時に帰るの?誰と行くの?
[ 毎日、イライラしてた ]
[ どこに行こうと私の勝手でしょ!]
[ そのまま友達の家に、家出しちゃった ]
彼女が中3になっても母親との関係は、酷くなるばかり。
受験を迎える時期であるため、彼女の姉が心配し
[ 家はまだ子供いないから ]
[ お母さん◯◯ちゃん家で預かろうか? ]
こうして姉夫婦のもとに居候しているらしい。
[ 子供の頃は、母親と仲良しだったのに… ]
寂しそうに話す彼女の横顔を見て、思い出す。
時折見せる寂しげな表情の理由が分かる。
理由が分かり、なぜだかホットする僕。
[ ゴメンね なんか暗い話で… ] 俯く彼女。
[ もっと明るい🔆話しよ〜っと ]
来年さ〜高校受かったら6月のお祭りいこ〜よ
あと〜ぉ 海もいきたいな
電車にのって日帰りで小樽に行きたいなぁ〜
オルゴール堂で、かわいいの買うの
彼女は、そう遠くない未来について楽しそうに語る
しかし、時折淋しげな顔をする彼女。
他にも、何か理由があるのだろうか?
[ 私ばっかり話してゴメンね ]
[ ◯◯◯◯君 イヤだったら無理しなくていいよ ]
[ 僕で良ければ、お願いします ]
立ち上がりペコリ
[ 私の方こそ、よろしくお願いします ]
彼女も立ち上がりペコリ
互いに可笑しくて笑い合う二人
急に肩の荷がおりて、勢いよく話し出す僕。
小5の時にお祭りで買ったカラーひよ子が
ノラ猫に襲われ、庭にあしが一本だけ残った事
中2の時に、学校の廊下でスケボー🛹して怒られた事
UFOをみた話
ブルースリーへの熱い思い
クスクス ハハハと笑う彼女
楽しい時間は、あっという間に過ぎる
まさに金言
彼女が出ていったあとに、ベットに残るかすかな
彼女の温もりと石鹸の香り
窓を開け、夜空を眺める。
大きな満月が、明るく輝いていた。
[ お月さまに全部見られたかな? ヘヘヘ ]
幸せを感じ、一人照れくさくハハハと笑う僕がいた。
合宿最後の日
いつも通りラジオ体操
ラジオ体操の最中彼女は、僕の隣で昨日の
テストの結果について悲観的な観測にもとづく
持論を展開していた。
どのように、励ませば良いのか分からない。
いつものように、相槌をうち黙って聞いていた。
食堂に移動する。
オムレツ ポテトサラダ パンかご飯 ヨーグルト
お気に入りのカリカリベーコンがない!
少しガッカリする僕。
[ 隣いい? ]
[ どうぞ ]
[ 明日でお別れだね… ]
[ 何時に帰るの? ]
[ 9時に両親が迎えに来る ]
[ あたしは、お姉ちゃんが10時に来るの… ]
互いになんとなくうつむき加減で、トレイにのった
オムレツやポテトサラダを見つめる。
彼女と話せるのも今日で終わり。
明日には、それぞれの家族の元へと帰る。
[ 今日も二人で、おしゃべりしたいな ]
[ 19時にお邪魔します ]ハハハと彼女
[ わかりました ]と返事をする僕
トレイを下げて食堂を出る僕。
今は皆の視線も気にならない。
部屋へと戻り、先生の到着を待つ。
9時になり担当の先生が、採点の終わったテストと
ファイルを数冊カバン👜から取り出し机に並べ始める。
数学は、合格点。
苦手な、英語は課題が残る。
その他は、平均点で特に問題なしとの事だった。
受験までは、過去問を解き今回使用したテキストを
繰り返し復習する事が大切との事だった。
昼食をはさみ午後からは、答えを間違った箇所に
ついて詳しく指導を受ける。
何時もより早めに終わり明日の為に、私物を片付け始める。
彼女と過ごした三日間が脳裏に浮かび、寂しさが
心を包む。
彼女のマシンガントーク
ハハハと笑う笑顔
強さを秘めた大きな瞳
たまに見せる寂しげな表情
いつか女子大生先生が、言っていた
[ 人を好きになるは、理屈じゃないよ ]
今ならわかる気がした。
19:00
ノックの音にドアを開ける。
[ コンバンワ ]
[ どうぞ ]
僕の横をすり抜けて行く。
ミルク🍼の様な甘い香り空気が、頬をくすぐる。
[ 散歩しようよ…? ]
[ 近くに公園があるの ]
黙って頷く僕。
門限までには、戻ってこいよ。
管理人に許可を得て二人で、寮を出る。
寮の前を通る国道へとつながる道を並んで歩く。
街灯に まとわりつくように大きな蛾が数匹
飛んでいた。
[ キャー ◯◯◯◯君 蛾が、気持ち悪いよ〜 ]
[ あいつら、突然襲ってくるから怖い〜 ]
[ 走って逃げよう! ]
彼女が僕の手を握り走り出す。
[ 待って待って ◯◯◯◯君 足速すぎだよー ]
[ ゴメン ]
蛾をなんとかやり過ごし、つないだ手を離す。
ハァハァと互いに息があがる。
[ やっぱ◯◯◯◯君さすが、陸上部ダネ ]
[ 足速いよ ハハハ ]
少し下り坂になっている道の先に、目指す公園が
あった。
ブランコ 鉄棒 小さな砂場 ベンチ
[ 誰も居ないね〜 ]
[ アソコに座って話そ ]
二人掛けの小さなベンチに並んで座る。
[ テストどうだったの? ]
[ アタシは、得意な英語は満点💯だったよ! ]ヘヘヘ
[ 後は、ほぼほぼ平均点だった ]
[ なんとかギリギリ大丈夫らしいよ ]
いつもの如く、彼女のトークが続く。
二人で、ブランコに乗る。
彼女は、ブランコをユラユラとこぎはじめる。
アタシさ〜 運動苦手だけどブランコだけは得意なの ヘヘヘと笑う彼女。
ブランコが、得意って…?
彼女は、好きな音楽 友達の事 母親へのグチ
姉夫婦が、スゴク良くしてくれること
将来は、英語を活かし留学したいこと
沢山の話しを、聞かせてくれた。
[ も〜 さっきからアタシばっか話してるよ😡 ]
[ ゴメン ]
[ だって、◯◯さんの話聞くの楽しいから😅 ]
[ ゆるす ]ハハハと笑う彼女
彼女は、僕なんかよりずっと大人だった。
互いにブランコを勢いよくこぎ出す。
[ ◯◯◯◯君ー アタシ言っちゃうよ〜 ]
[ ◯◯◯◯君が、大好き❤で〜す ]
突然の告白に、うろたえる僕。
しかし、うれしさが込み上げてきてブランコの
勢いにまかせ
[ 僕も◯◯さんが、大好き❤だー ] 言っちゃったよ
[ ありがとうございま〜す ]
[ コチラこそ、ありがとうございます〜 ]
僕は、緊張の糸が切れて笑い出した。
フフフ ヘヘヘ ハハハと彼女も笑う
ブランコを降りてベンチに腰掛ける。
互いに無言のまま、うつむいていた。
[ ◯◯◯◯君 ありがとう 嬉しいよ ]
[ 僕もスゴクうれしい ]
[ 明日でお別れだね… ]
[ さびしいな… ]
[ また会えるかな?… ]
なぜか寂しげな笑顔。
[ 門限あるし帰ろうね ]
[ うん ]
僕が立ち上がると彼女が、私の手をつかむ
驚き振り返る僕。
自然と彼女の大きな瞳を見つめる私。
小柄な彼女が僕をみあげる。
彼女は、ユックリと瞳を閉じる。
期待は少しだけ胸の中にあったが、いざ目の当たりすると、どうして良いのか分からない。
手をにぎるのか?
どこに、手を回すのか?
顔の角度は、何度なのか 45度?
真っ直ぐいけば、オデコがぶつかる。
人生において何事も初めてはあるが、このとき程
戸惑った記憶は、ないと思う。
[ 早く、女子に恥かかせないでよ〜 ]
どこまでも大人な彼女。
少し顔を傾ける。
彼女の顔が、近づく。
淡いピンク色の小さな唇
白くキメの細かい肌
血圧が急上昇
しびれを切らした彼女が、僕の首に両手をまわす。
僕の両手は、行き場を失いブラブラ。
そのままで、ファーストキス
ファーストキスは、レモンの味。
誰かが、言っていたのを思い出す。
[ うれしいな ◯◯◯◯君 ]
[ 僕もうれしいよ ◯◯さん ]
突然、彼女の大きな瞳からポロポロと涙が流れる。
[ ゴメンなんか変なとこ触った? ]
[ キス下手くそだった? ]
デリカシー0な発言
何を聞いても首を左右にふり[ ゴメンね ]を繰り返す彼女
二人並んで、もと来た道を寮へと戻る。
彼女は、その間もポロポロ涙を流し続けた。
なんて声をかければ分からず
黙って彼女の手を握り寮へと帰る。
幸い管理人が、不在で誰にも会わず部屋へと戻る。
[ 入る? ]
[ …うん ]
ベットに腰掛ける彼女に、ハンカチを渡す。
[ ありがと ]
無言のまま時がすぎていく。
さっきまでの二人は、ここにはいない。
涙の理由
彼女が、居候する姉夫婦のご主人が秋の異動で
地方に転勤する事になった。
実家には絶対戻りたくない彼女。
姉は、彼女が心配で高校を卒業するまで
ご主人には単身赴任をしてもらい
市内に、残る事にした。
しかし、ある事情でお姉さんも転勤先に移り
彼女は、転校することがほぼ決まったようである。
彼女が、転勤について結果を知ったのが昨日の昼頃
最終日に、迎えに行く時間を知らせるために
寮に電話があり、そこで詳しく聞いたらしい
ゴメンね やっと仲良くなれたのに…
できない約束して、申し訳なくて
お祭り行きたいとか嘘ついたみたいで…
◯◯◯◯君の喜ぶ顔を見ていたら急に悲しくなった
彼女は、涙の理由を語ってくれた。
彼女が転校する街は、同じ道内だが特急でも
3時間はかかり高校生が、気軽に行ける場所では
なかった。
[ もう会えないのか… ]
そう思うと、胸が苦しく心が悲しみに包まれる。
[ 手紙書くから ]
[ バイトしてお金貯めて夏休みに、会いに行くよ ]
彼女は、涙を流しながらも笑顔で頷く。
[ アタシも手紙書くよ ]
[ 来年の夏休みに、きっと会おうね ]
そんな彼女の姿を見ると、愛おしくて抱きしめる。
[ ◯◯◯◯君 ありがと ] へへへ。
彼女は、部屋を後にした。
別れの日
朝食を食べて迎えが来るまで、一人部屋にいた。
忘れ物がないように、何度も荷物を確認し
部屋の掃除をしていた。
8:30
ノックの音でドアを開ける。
赤く目を腫らした彼女が、立っていた。。
[ もうすぐ、お別れだね… ]
[ 手紙必ず書くから ]
[ 受験頑張ろうね ]
[ 僕も必ず手紙書くから ]
[ 夏休みに、絶対会いに行くから !]
階段の下から僕の名前を呼ぶ管理人
どうやら、迎えの両親が到着したらしい。
[ 最後に、指切りげんまん しよ ]
小指と小指をからませる。
[ 指切りげんまん嘘ついたら、針千本の〜ます ]
[ 指切った! ]
ハハハと彼女が笑う。
一階の食堂では、両親が待っていた。
お世話になりました。先生や管理人に挨拶する。
受験頑張れよー
君なら、きっと大丈夫
過去問とテキストしっかりな。
先生達の、励ましを受けながら車に乗り込む。
管理人や先生達が手を振る中、父の運転で家路へと向かう。
勉強しっかりでかきたか?
うん
先生達、なんて言ってたの?
うん
合格できそうか?
うん
彼女との間で起きた三日間を想いながら
流れる街の景色をボンヤリながめていた…
あの夏、全国の中学3年生で5人位は
同じ夏を体験したのかな?
おわり🔚
いや〜長くなってしまった。
4回に分けての投稿。
ジジなので長く書くと目が霞みボヤケる。
他にもエピソードは、沢山あったけど全てを書くと
かなりの量になる。
話の筋が見えなくなると思い、最後の三日間を書いた。
受験合宿 幽霊の話し 二人での勉強 公園の話し
全てホントの物語。
但し、会話の内容などは、一部創作。
全体の雰囲気と彼女のキャラは、再現できたと思う
彼女は、とても明るく前向きな女子だった。
書いてる間は、幸せな気持ちで心が温かくなり
あのころに戻ったようで楽しく書けた。
高校は、無事 希望校に合格。
彼女との約束は、果たせなかった。
夏休み前に彼女は、色々な事情が重なり
道外の高校へと転校していった。
二度と会えない距離。
お別れの手紙には、彼女のポートレートが1枚。
セーラー服を着て後ろに手を組み
恥ずかしそうな笑顔の彼女
最後に[ あの夏をありがとう ]で、手紙は終わる。
彼女は、僕なんかより遥かに大人だった。
人見知りで小心者
あの時の僕を、褒めてあげたいな。
手紙と写真📸は、社会人になり、一人暮らしを始め何回か引っ越ししてる内に行方不明になった。
引っ越しの度に、何か無くなる。
だけど、大切な思い出まではなくならない。