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実話怪談

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#記憶

二階の部屋

二階の部屋

引っ越して来て10数年経つ家の話です。

そこは、都内の繁華街にあるマンションです。
駅近5分、南向き1K、マンション前にコンビニエンスストアがあり、繁華街で多少騒がしい割に、部屋自体の気密性が高く、エアコンの効きが良い物件です。
引越しの時に少し気になったのは、ベランダに出るとすぐ目の前に、ビルとビルの間の狭い隙間が見えることでした。
駅近の割には家賃も相場よりはほんの少し割安の良い物件でした。

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迷ヒ家 其の壱

迷ヒ家 其の壱

私は現在、土地勘があると言うことで、かつて実家のあった地域に住んでいます。

うちの父方と母方は、二駅離れた地域に住んでいました。
もう、どちらもだいぶ昔に地域を離れていますし、その周辺も開発が進み、引っ越して行き、知っている顔もほとんど居なくなりました。

週末、仕事が休みだからと散歩に出た私は、かつて父方の家があった地域を歩いていました。
私が住んでいる場所は寺町で、ビルが立ち並ぶ中に、寺がポ

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水泥棒

水泥棒

今年の初夢の話です。

薄暗いモノクロームの和室に、私は座っていました。
いつもの明晰夢かなと思っていたら、対面に年配の着物の女性と30代と思われる男性が現れました。

お二人は正座だったので、私も座り直しました。
相手の顔をまじまじと見つめましたが、知らない相手だなあ、と思っていると、
「お前の親父がうちから水泥棒をしやがった!」
と胸ぐらをつかまれ、怒鳴られ続けました。
かなりの罵倒の言葉をい

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奪衣婆になった祖母

奪衣婆になった祖母

昨年、夏頃に夢を見ました。
そこでは、15年ほど前に亡くなった祖母が居間にいて、家族と会話をしていました。

祖母は、亡くなった当時から、私の夢にたびたび表れていて、その度にあれがない、これがない、これが食べたい、あそこを直せ……云々と、色々な注文をつけていました。

また、一人暮らしだった私に、『実家で〇〇がないと言っている』などの伝言をして、私が買って実家を訪れると「なぜそれを知ってるの?」と

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黄色いおじさん

黄色いおじさん

以前勤めていた学校の第二美術室に、『黄色いおじさん』と呼ばれるモノが居ました。
私が異動してくる以前からそこに居たそうで、中学生の子供達からは
「黄色いおじさんが○○のことを見てる。」
「黄色いおじさんは窓から出入りしてた。」
「黄色いおじさんが変な笑い方してたから、絶対に何かが起きる。怖い。」
などと、あまり良くない目撃情報がチラホラとありました。

ある年、霊が見える子が入学しました。
彼女は

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梟と天狗

梟と天狗

小学生の時に、ほぼ毎年、長期休みにはその都度2、3回、キャンプに参加させられていました。

小学生時代の私は、大人に囲まれて育って社交性にかけていたせいか、母方家族はなんとか集団生活を経験させたかったようです。

当時、幽霊らしきものが見えてしまうこともあり、かまってちゃん的な発言が多かった私でしたが、初めて会う方たちには流石に猫を被って、おとなしくしていました。

その効果と、父方の血筋なのか生

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北海道の609号室

北海道の609号室

昨年の11月に、友人と2泊3日の予定で北海道へ旅行に出かけました。

仕事の関係で、初日は札幌に着いたのが20時になっていました。

当初の予定では、初日はススキノに遊びに行くはずだったのですが、連れがあまり気乗りしない様子でしたので、初日は明日以降の予定を立てることにして、ホテルで軽く飲むことにしました。

コンビニで色々買い込んで、部屋で飲みながら明日の計画を話していたんですが、そのうちに夜も

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サトリ

サトリ

私事で、本日、U町からS橋駅に向かっていたときの5分ほどのお話です。

私が歩いていますと、進行方向先から40代後半〜60代と思われる男性が歩いてきました。

髪色は黒かったけれど、頭頂部の肌が見えるほどの毛量に対して横髪が肩にかかるほど長くて、一見して落ち武者を思わせるような風貌をしていました。

相手の唇が動いて、何かモゴモゴと動き、喋ってるのだろうと思われました。

服装は虎柄っぽい綿入りジ

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スクールバス

スクールバス

死者は見た目から生者と違う姿であるとか、
死者の動きは生きてる人間のそれとは違うから見ればわかる、とか聞きますが、果たしてそれは真実でしょうか?

特別支援学校で勤務した頃のお話です。

特別支援学校は障害のある児童・生徒の通う学校で、現在では名前くらいは知っている、特別支援学校がどんなものかは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

特別支援学校も様々で、障害の区分に合わせて、通

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○○さんの話はしちゃいけないよ

○○さんの話はしちゃいけないよ

夢の見方が変わっていると言われました。
多くの方が自分が体験する夢を見るそうですが、私は俯瞰視点で見ることが多いのです。
また、俯瞰視点でない場合、夢だと自覚して見る明晰夢が多かったりします。

ある日、スリラーナイトの怪談凸待ちをした夜、夢を見ました。
暗い中、嫌な感触に包まれます。
金縛りが起きるわけでもなく、ただ、じんわりと体にまとわりつき、ゆっくりと下に引き下ろすような、上からべったりと押

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押し入れの話

押し入れの話

以前、有名な怪談バーの怪談師さん達が、凸待ち怪談をしてらっしゃいました。

そこで話した、私が育った家で起きた不思議な話です。

小学生の時、夜も更けたころ、母と祖母が話している横で私は寝ていました。

私の足元にはかなり大きな押し入れがありました。

押し入れの中には客用布団や座布団、祖父が集めたレコード類が置いてありました。

私のためにと子供用のソノシートもあったため、私もよく押し入れを開け

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Mさんの話

Mさんの話

東にある、ちょっと賑やかな学校で勤務していた頃の話です。

同僚にMさんと言う家庭科の先生がいました。
とても明るく、男女分け隔てなく接する方でした。
美術教師の私とは、仲が特に良いというわけではなかったのですが、同年代でもあったので、気軽に世間話をしたり些細な愚痴をこぼしあったりするくらいではありました。
むしろ、Mさんは私が苦手とする気の強い方々とも気さくに話ができたので、そういった同僚達と

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電話の向こう

私が以前勤務していた学校は、職員が100名近くいて、職員室がとても広いものでした。

平日は職員室内が騒がしく、子供の声と教師の声と様々に聞こえていました。

ですが、夏休みに入れば、学校に来る子供たちも限られ、教師たちも研修やら休暇やらで、職員室はガラ空きの状態になりました。

8月、校内研修のため、私は出勤していました。

研修は午後からだったので、午前中から出勤し、2学期の教材準備として、職

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東京タワーにて

東京タワーにて

幼少期、私は暗闇を怖がる子どもでした。

誰と一緒だろうと、少しでも闇があると、火が付いたように泣き喚いたそうです。

そうだったにも関わらず、父方の従兄弟家族が遊びに来た際、その従兄弟家族と父方の家族と私で東京タワーの蝋人形館に行きました。

私は、入り口から目をつぶったまま動かずにいようとした記憶があります。

ですが、その記憶に混じってドラキュラなどのモンスターの1分の1スケールが思い出され

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