「無敗営業」と「チーム戦略」をベースにSales Cloud で実装してみた 【前編】
高橋 浩さん著の「無敗営業」と「チーム戦略」の営業メソッドをベースにして、世界No1.のCRM/SFAであるSalesforceのコア製品「 Sales Cloud」 に、標準機能オンリーで実装した内容を解説したいと思います。あくまで、個人的な見解になります。
(高橋さんご本人にも許可を頂いております!)
また、【後編】(有料記事ですが)では、実装した内容を「無敗営業パッケージ」としてパッケージ化してインストール&設定方法を公開してます。
セールスフォース・ドットコム社の営業セミナー等でも「無敗営業」と「チーム戦略」は、デモストンレーションとして登場してますが、これまで20社以上にSalesforce導入支援の経験がある、私なりのエッセンスを加えた内容で、カスタマイズしてます。できるだけ現場目線で、入力負荷を軽減するためにも選択リストなどを多用し簡易的な項目にしてます。
なお、「無敗営業パッケージ」は、提案型の法人営業(BtoB)を想定して実装してます。
営業関連の書籍をこれまで数多く読んできましたが、解説も分かりやすく、実践しやすい内容ですので、ぜひこの2つの書籍は、購入して読まれることをおすすめします。(営業パーソンの必読書です!)
書籍「無敗営業」では、とにかく大切なことは顧客の求めることとの「ズレ」を無くすこと説いてます。この「ズレ」が、特にコンペ案件の失注の原因となっているデータも紹介されています。「ズレ」を解消し、接戦案件を制するために必要なのが書籍のタイトルにもある「3つの質問」です。
「無敗営業パッケージ」では、「3つの質問」を商談オブジェクトで管理しマネジメントや分析で活用できるようにしてます。
まず、営業における案件タイプは以下の3つ分類されます。
接戦状況を問う質問
案件タイプで、会社として注力すべきは「接戦案件」です。その見極めとしてやることは、「接戦状況を問う質問」をお客様に投げかけ案件タイプを判断します。ストレートには聞きづらいので、例えば「ご検討にどれくらい時間がかかりますでしょうか?」と質問し、「すぐに返事できる」と言われた場合、「楽勝 or 惨敗」の可能性が高く、一方で「時間がかかる」と言われた場合は、「接戦」の可能性が高いです。
また、接戦の場合は、お客様が何と迷っているのかも合わせて確認ます。
案件タイプと接戦状況は、商談画面では、以下のように「選択リスト」と「チェックボックス」で簡単に入力できるようにしてます。
(補足)
案件タイプが「接戦」の場合は、何と接戦かを選択しなければエラーとなるように入力規則や、商談中に「接戦」→「楽勝 or 惨敗」に変更した場合は、自動的にチェックが外れるようにフローで実装してます。
商談の入力が進むと、案件全体で「楽勝」「接戦」「惨敗」の割合を分析することができるため、営業メンバーが楽勝案件やそもそも受注が難しい惨敗案件ばかりに時間をかけていたりすることが見えてくるので、営業リソースの再分配にも役立ちます。
BANTCH
BANTCHとは、営業現場で確認すべきこを抜け漏れなく確認するための略語です。Buget(予算)、Authority(決裁者)、Needs(ニーズ)、Timeframe(導入時期)、Competitor(競合)、Human Resources(人材)の頭文字です。BANTCHは、特に接戦の商談中に確認していくべき項目ですが、「選択リスト」から選ぶだけなので簡単に入力できるようにしてます。また、選択した値に応じてアイコンで色分けをしているので、商談状況を瞬時に判断できるようにしてます。
(補足)
各選択リストのデフォルト値は「聞けていない」ですが、下の項目にいくほどいい状態なのでアイコンの色が「赤」→「黄」→「緑」に自動的に変わるようになってます。
BANTCHの状況をアイコンで表示することで、マネージャーもアドバイスやサポートするべき商談をリストビューやレポートで視覚的に確認できるようになります。
競合詳細
「競合と接戦」の場合は、競合の詳細情報を連動関係を使って、順位とフリーテキストで会社名等を入力できるようにしてます。
裏にある背景を問う質問
裏にある背景を問う質問は、「枕言葉」「深堀」「特定」をうまく活用してヒアリングします。例えば「〇〇さんの個人的な意見で構いませんので…」とか「ここ1ヶ月で御社内で挙がっている課題はありますか?」です。
決定の場面を問う質問
受注 or 失注が決定してからになりますが、「決定の場面を問う質問」です。ここで大切なのは、「決定の理由」を直接的に問わないことです。「理由」を聞いてしまうと、「安かったから」などの当たり障りない答えが返ってきて次につながりません。決定した「状況」や「場面」を聞くことで重要な情報を引き出せる可能性が高まります。こちらは、商談フェーズと連動して選択リストで入力できるようにしてます。
接戦案件の「決定の場面」を集めることで、勝ちパターンの分析にも繋がります。
商談詳細(重要項目)
書籍からでは無いですが、セールスフォース・ドットコム社で使われている商談項目から「Red Flags」と「Mutual Close Plan」の2つの項目に追加してます。
ATMダッシュボード
営業マネージャーが毎日使いたくなるATMダッシュボードです。シンプルに3つだけ実装してます。グラフは一例になります。
■アラート(Alert)ダッシュボード
マネージャーがメンバーに事前に確認してもらうべき内容を掲載してます。本来はゼロ(グラフが表示されない)にしておく内容です。
■ターゲティング(Targeting)ダッシュボード
”期日までにアプローチすべきリスト”を表示し、対応が完了したらゼロ(グラフが表示されない)にします。標準機能のキャンペーンを活用してキャンペーンメンバーと状況でグラフ化してます。
■モニタリング(Monitoring)ダッシュボード
業績や進捗を見て、分析しながら次の手を打つためのダッシュボードです。
例えば、新規商談やパイプライン上の商談が少ないのであれば、ターゲティング先を変更したりしてナビゲートに役立てます。
まとめ(総括)
書籍「無敗営業」と「チーム戦略」をベースに、できるだけシンプルに実装してみました。商談にほんの少しの項目を追加するだけで、抜け漏れや分析などが簡単にすることができることが分かったと思います。また、Salesforceは簡単にカスタマイズ(慣れたエンジニアであれば)できるので、自分たちの組織に合わせてアジャストすることで高いパフォーマンスを発揮することが可能です。
ぜひ、2つの書籍を購入していただき、ご参考にしていただければと思います。実装したものは次回パッケージ化して公開したいと思います。
各画面キャプチャは、以下のようになります。なお、データは、すべて架空のダミーになります。
■ホーム画面
ATMダッシュボードをホーム画面のタブに配置して簡単にアクセスできるようにしてます。
■取引先画面
「分析レポート」から取引先ごとの受注金額、接戦割合、勝ちパターンを分析できるようにしてます。
■商談画面
最後に
本家のページからもデモ動画や資料ダウンロードできるみたいです。合わせて参考にしてみてください。
よろしければ、【後編】もどうぞ。
新規導入および現在ご利用中の組織へのインストール&設定は有償で対応します。ご相談は以下のフォームからおねがいします。
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