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イタリアの食事はなぜ長いのか

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

食事について書くと熱が入るのは、やっぱり僕がイタリア人だからだろうか。
今日は、イタリアの食事について書こうと思う。

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イタリアでは日本と比べ食事にかける時間が長い。短くて2時間はある。前菜やメイン、ドルチェまで出てくるRistorante(レストラン)だけでなく、一般の食卓でもそうだ。これは、単に食事を味わってじっくり食べる、というだけが理由ではない。最大の理由は、イタリアでは食事の場=自分のアピールの場だから!
イタリアではいかに素晴らしい食事の時間を作るかが、人生を左右していると言っても過言ではない。だから、1回の食事にとても力を入れる。クロスを敷きグラス、ナイフやフォークを並べ、お皿を重ねて、など。まるで儀式だ。
家族での食卓は今日あったことを話し合ったり、友人との外食は最近の近況や噂話、ビジネスシーンでは自分のやってる仕事や相手の仕事に対する評価、など。本当のメインは食事ではなく、お喋りなのだ。いかに、自分をアピールして盛り上がる話題を出して、相手に楽しい時間を過ごしてもらうか。テーブルを挟んで向かい合って食事をとることは、イタリア人にとって重要な意味を持つ。

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まず、イタリアの食事は始まるまでがすでに長い。軽く1時間以上はお喋りタイムだ。せっせとマンマが食事の用意で忙しなくしている時、無駄に動き回ってはいけない。ちょっとでもマンマの動きを止めようものなら、マンマの怒りの言葉が滝のように襲ってくる。
いざ食事が始まると、もちろん主導権はマンマ。家族がそれぞれ考えてること、今日あったことを話す。家族会議の議長のようにマンマが指揮をとる。家庭の食事はマンマで始まりマンマで終わる。だが、それを不服と思ったことは一度もない。だって、マンマが間違っていたことなんて一度もないのだから!
そう、マンマの独壇場だ。書いていて、マンマに会いたくなった。

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