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ゆめ通り

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【詩】もしも神様だったら

【詩】もしも神様だったら

もしも神様だったら人間に
五十年ほど多く寿命を与え
大空を浮遊する能力を与え
普通に超能力を使えるようにし
猫の言葉を理解する力を与えるだろう。

日替りで鳥や虫の美しい声を
聞くことが出来る世界にして
蚊や蝿やゴキブリなど害虫や
蛇やネズミなど鬱陶しい動物を
存在させない世界を創るだろう。

あらゆる場所に新鮮な果物を
年中たわわに実らせて
半袖だけで過ごせるように
年中ほどよい夏にして
餓えと

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【詩】街

【詩】街

街に小さな風が吹いていた。
その時、何がどうなんだと、
酔っ払いの騒ぐ声が聞こえた。

酔っ払いは道行く人に向かって、
つばを飛ばし、身振り手振りで
支離滅裂な持論を展開していた。

予告なしの演説会は、
聞く人もいなければ、
振り向く人もいない。

それでも酔っ払いは、
声を詰まらせ、涙を流し、
懸命に演説をし続けた。

そして最後に酔っ払いは、
「バカヤロー!」と叫んで、
演説のすべてを終わら

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【詩】星を拾って帰ろうよ

【詩】星を拾って帰ろうよ

こんなに明るい夜なんだから、
星が落ちているかもしれないよ。
家路に急ぐ足をちょっと止めて、
あたりを探してみようよ。

天上で輝いているわけじゃない。
だから月の明かりじゃない。
かといって街の灯りでもない。
きっと星が落ちているんだ。

もしそれが見つかれば、
温かい気持ちになれるかもしれない。
いい夢が見られるかもしれない。
大きな夢が叶うかもしれない。

ねえ、こんなに明るい夜なんだから、

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タイムマシンが出来たら

タイムマシンが出来たら

もしタイムマシンが出来たら、
きっと利用するだろう。
それはぼくの長年の夢だったのだ。

ただ、それに関して、
ずっと昔から不安に思っていることがある。
それはタイムマシンを使ったら、
過去にしろ未来にしろ、
もちろん今いる場所に移動すると思う。
そうなった場合、
移動した時代のその場所が
車道になっていたとしたら、
そしてそこを車が走っていたとしたら、
いったいぼくはどうなるのだろう、
というこ

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夢のいたずら

夢のいたずら

1,

 今朝投稿した詩は、30代前半に書いたものだ。

 その当時、高校時代に好きだった人に、まだ潜在的な未練を持っていたのか、よく彼女の夢を見たものだった。その内容はこの詩にあるとおりで、「おれ、お前のことが…」と言いかけた時に終わってしまうのだ。

 あまり頻繁に、そういう夢を見るので、「もしかしたら、彼女のほうが、何かぼくに訴えたいことがあるんじゃないか」と期待したほどである。

 しかし

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【詩】来世の夢

【詩】来世の夢

前世の場面を夢に見ることがある。
現世の夢よりも少し煤けた背景で
言葉遣いや服装がどこか古くさく
そこに懐かしい感情が加わるので
それが前世のことだとわかるのだ。

夢に出てくる場面はいつも同じで
特殊な大事件や事象などではなく
ありふれた生活風景が映っている。
きっと前世の人生は大事件よりも
日常の方が印象深かったのだろう。

さてこの人生は来世の人生の夢に
現世のどの場面を持込むのだろう。

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夢を蒔く人

夢を蒔く人

 小学生の頃、人が夢を見るのは、どこかに夢を蒔く人がいるからだと思っていた。そのことを、けっこう深く信じていたものだ。

 一度その話を友人に語ってみたことがある。すると友人は、「その人は何人おるんか?」と突っ込んできた。

「一人」
「おまえはバカか。一人一人見る夢は違うんぞ。たった一人でどうやって何十億の人に違う夢を見させることが出来るんか?」
「それは…」
 ぼくは答に窮してしまった。

 

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【詩】思考

【詩】思考

ああ、ここはそうじゃない、
ああ、そこはこうじゃない、
そんなことばかり口走っては、
朝から晩まで同じ思考を繰り返している。
元々答なんかないんだし、
ない答はいくら探したって出てこない。
いろんな流れが行き着いた、
今の姿こそが実は答なんだ。
そうだ、
そこに気がついたんだから、
今日は好運なんだ。
思考も袋小路に入ってしまうと、
煩悩と何ら変わらなくなる。
そろそろこの思考を終わらせて、
前頭

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霊界役場生物課会議

霊界役場生物課会議

1,犬係係長
おいおい、下界じゃまた猫が
車に轢かれているじゃないか。
一体何千匹、何万匹殺したら
気が済むんだよ。ただでさえ
霊界は定数を超えているのに。
猫係はちゃんと霊界と下界の
バランスを取ってくださいよ。
このままだと我々の住家まで
なくなってしまうじゃないか。

2,猫係係長
三味線の需要が減っている分
何十年も死亡率は変ってない、
という統計が出ているんです。
ところで犬係さんよ。な

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【詩】心の絵柄

【詩】心の絵柄

別にコツコツやるのが嫌いなのではない。
どちらかというとコツコツやる性格だし
今までコツコツやってきたと思っている。
おかげで人並みな人生だけは歩いている。
とはいうものの、心に描いている絵柄は
コツコツとやる自分の姿ではありません。

それはコツコツとは真逆に位置している、
宝くじを当てたような一発逆転の姿です。
大金を手に入れるということではなくて
人生の全てを一瞬で変えるという意味で、
それ

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【詩】雨の過疎

【詩】雨の過疎

この駅のすすけた壁に
『雨の過疎』という
わけのわからない
言葉が書いてある。
誰が書いたのかは
知らない。おそらくは
何十年か前、この街が
まだ賑やかだった頃に
今の世を見てきた人が
落書きしたものだろう。
いつも雨を待っている
この街の今の有り様を
案じているように
思えてならない。

チンチン電車の夢

チンチン電車の夢

1,
 この街のチンチン電車が廃止されてから24年経つのだが、今でも時々チンチン電車の夢を見ることがある。

 その内容のほとんどが、
『渋滞でバスがなかなか来ない。このままだと遅刻すると思い、電停まで走って行く』
 というもので、あまり思い出したくないことばかりを再現してくれるのだ。

 とはいえ夢は、当時の電停付近の風景や、電車の車内を正確に再現してくれている。その当時の乗客の服装などを再現し

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夢の話

夢の話

 以前ラジオで
「砂浜にお金がたくさん落ちている夢とか、龍が昇る夢を見た時、家を建てたりいろいろいいことが重なった。逆に落ちる夢などを見た時には離婚したりしてあまりいいことがなかった」
 と言っていたのを聴いたことがある。ぼくはそんなに人生を暗示するような夢を見たことがないので、何かうらやましく思ったものだった。

 そういえば、むかし家に生えていた木が突然龍に化けた夢を見たことがある。夢の中で「

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【詩】ラブ・マイナス・23

【詩】ラブ・マイナス・23

空は重黒く垂れ下がっていた。
風は艶めかしく吹いていた。
雨は後ろめたく降っていた。
街は空鉄砲に撃たれていた。
若者は自由に明け暮れていた。
大人は孤独を売り物にしていた。
年寄りは赤信号で疾走していた。
旅人は山頂の先を見つめていた。
会社員は職安に群がっていた。
組合員は職場を放棄していた。
大学はアルバイトで溢れていた。
予備校は遅刻者で溢れていた。
ネズミ花火が宇宙を占めていた。
線香花

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