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詩No.107「だから風は」

君の後ろ姿に慣れてしまったのは
些細な春の切れ端を持ち込んで
夏にまで干渉して漁ってしまおうと
君が要らない話ばかりをするようになった
穢れなき五月のことだった

眠りは嘘みたいに冷たくて
時に優しい
何かの波長のようにして
繰り返し行われる楽観と杞憂を
机の上に置いたアップルティーの香りが
煽るから 憎く思えた



去っていく。
チープな色が浸透していくのには疲れた
もう少し深くて 滲んで
何とも言えないものになりたかった

だから風は姿を持たない

去っていく。


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