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詩No.120「鮮やかに死んだあの日の景色を」
涙なんか出ないよ
日照りで枯れた草ばかり踏んだ道
なんにもない
なんにもないよ
悲しくなんて
笑えなんてしないよ
いつから変わっちゃったんだろう
とか思っていることは変わってないし
なんでもない
なんでもないよ
悲しくなんてないんだけど
あの日確かに死んだ景色の中で
僕たちは生きていて
鮮やかに映したのは
切り取った一瞬を積み重ねる瞳だけだった
僕
僕ひとり
僕たちは生きていて
僕たちは死んでいく
その途中でひとり
またひとりと顔を合わせて会釈した
嬉しくなんてないよ
デニムを履くようになった日常
なんにもない
なんにもないよ
そろそろ慣れたかだなんて
聞かないでよ
またあなたも居なくなるくせに
この道だっていつかただの「いつか」になるんだ
涙なんか出ないよ
悲しくなんて
笑えなんてしないよ
嬉しくなんて
思い出したくないよ
今このせかいに生まれたみたいにして
鮮やかに死んだあの日の景色を
忘れてしまいたい