IRは経営にインパクトを与えることができるか?
こんにちは、ロボペイIRの新藤です。
#ir系AC 17日目の記事を担当させていただきます。
#ir系ACとは
はじめましての方もいらっしゃると思うので、簡単に自己紹介をさせていただきます。
現職では社長室 室長としてIRを担当しておりまして、上場前は主に計数管理/経営に関わる各種会議体の運営/広報/上場準備/人事など、その時々で足りないパーツを埋めるような仕事を行っておりました。
今回は、IRを始めてから、特にTwitterを活用し始めるようになって横のつながりも増え、色んな方に相談に乗ってもらったり、情報提供していただいたりとお世話になってばかりなので、少しでもIRに悩む方や投資家の方のお役に立てるような経験を伝えることで皆さんへの恩返しになればと思いエントリーさせていただきました。
IRって結局、事業状況や業績次第?
さて皆さん、IR活動を行っていて表題のような疑問を持たれたことはないでしょうか。
私自身、IR業務を担当するまではそのように考えていた節がありまして、着任後悶々としていた時期もありました。
ですが、果たして本当にそうなのでしょうか。
私自身もまだチャレンジの途中ですが、「もしかしたらIR起点で経営にインパクトを残せるかもしれない、事業や業績を変えられるかもしれない」という希望を持つに至ったので、同じような悩みを持ったことのあるIR担当の方に少しでも参考になるように書きたいと思います。
また、投資家の方でも、企業との対話を重視されている方もいれば、結局は業績次第だと思われている方もいるかもしれません。
投資家の方とIR担当者との対話が、実は経営にとっても大きな意味を持つんだよ、ということが伝われば幸いです。
きっかけはある投資家からの質問
当社は22年12月期2Q決算時に、ブランドアイデンティティの刷新を行いました。
きっかけはある投資家(いわゆるロングオンリーと呼ばれる機関投資家)との1on1面談です。
「私たちは四半期の業績については聞きません。御社の解決したい社会課題は何ですか?御社がその社会課題を解決した先には、どのような未来が待っているのですか?」
という質問です。
私はそのとき衝撃を受けました。なんとなく、
のような構図で、勝手に対になる概念だと考えてしまっていました。
別の著名なファンドマネージャーの講演を聞いたときに、
「長期投資家は10年20年先、もっと言うと100年先も発展し続ける会社を探している」「そのためには、解こうとしている社会課題が大きく、100年先も課題を解決し続けられるかを見ている」
という話を聞いて、上記の投資家の質問の意図がやっとわかりました。
また、個人投資家の方からも同じように「御社はどのような課題を解決するか?」という質問をされることが多くなったのが、IR活動を本格化した初期の印象で強く残っています。
そこで、社長を含めた経営幹部メンバーに提案し、当社がどのような課題を解決しているか言語化する作業をはじめました。
元々社内で「我々が解決している課題ってこうだよね」「強みってこういうところにあるよね」と話していたことを改めて定義する作業です。
大事なのは、あくまで「IR資料で記載するために考える」のではなく、「本当に経営に必要だと感じたから考える」という共通認識を持つことです。
「決済+α」で世の中の課題を解決する
そうやって生まれたのが、
「決済+α」で世の中の課題を解決する
というブランドアイデンティティです。
何か一つの明確な社会課題を標榜するのではなく、「決済」というものがコアコンピタンスにあって、そこに+αで機能やサービスを付加することにより様々な社会課題を解決しうる、そのために我々の会社はあり続けるし成長し続けるという考え方が当社らしいなと思っています。
(ちなみに社内ではよく「決済=素うどん」に例えられています。きつねうどんにも肉うどんにもなりうるけど、一番の大元にある「うどん」の部分が決済だよね、とプロダクト会議などで真面目に話していました笑)
ブランドアイデンティティを改めて定めた結果、IRでのプレゼンが話しやすくなり、投資家の方々から「資料がわかりやすい」というお声をいただくことが増えました。
また、説明会やお問い合わせなどでの質問も、事業理解のための質問から、事業を理解したうえでのディスカッションに変わったという実感がありました。
経営にインパクトを与えるIR
何より、IR以外でも(目に見える業績などの結果はこれからかもしれないですが)効果を実感しています。
例えば、経営戦略や事業戦略を理解する際にも「そのアイディアは決済+αになっているのか?」というイシューから話がスタートしたり、採用でも求職者やエージェントとのコミュニケーションで「決済+αで何ができるか?」のような深い議論ができることで、求職者の方の志望度が上がったり、深い洞察を与えられたりしているという肌感覚があります。
採用難が叫ばれる中、このように優秀な人材の選考通過率や内定承諾率を少しでも上げることは事業スピードや採用コスト最適化に直結します。
言語化されることで経営戦略の議論が活発化し、組織全体で意識が統一されることで事業推進にスピードが生まれ、事業成長に繋がる
IRがきっかけでそのようなムーブメントが起こると考えるとワクワクしませんか?
他にも、新入社員の早期立ち上がりや、M&A案件を探すときの基準策定、営業の提案時に単なるプロダクト販売ではなく、当社の実現しようとする未来を語れるようになるなど、様々な場面で効果を発揮しています。
(もちろん、ビジョンや方針は言語化して終わりではなく、いかに浸透させるかが重要なので、日々現場に啓もうしてくださっている経営メンバーにとても感謝しています)
その他にもIRができることはたくさんある!
他の経営や事業にインパクトを与えるための取り組みとしては、
各社のIRや財務情報を分析したうえで経営戦略を提案
より現場に近い取り組みとしては、
・投資家面談での質問内容の経営へのフィードバック
・新サービスの説明資料の作成支援
・採用チーム向けに決算の説明会
・全社向けの決算説明説明会+ポイント解説
など
いずれも「社内IRをしよう」というより、いかに経営や事業推進に役立てるかという目的で行うと、内容やターゲットが変わってくるかと思います。
なぜIR担当者が経営にインパクトを与えられるのか
IR担当者という職域における本質的なスキルは、資料作成スキルでもなく、文章校正力でもなく、「社内外から収集した様々な情報を自分なりに解釈、論点整理し、株主・投資家・経営・事業部・管理部すべてのステークホルダーに対して適切な情報提供やディレクションを行うこと」であると考えます。
それは、ひとつには、投資家から得た情報を経営にフィードバックする、という重要な役割もありますが、時には、投資家から得た情報をもとに自分が経営に必要だと判断したことは自らリードして企画・実行する役割を担ってもいいんじゃないかと思います。
むしろ、それができるのはIRという立場だからこそだと思いますし、経営者がIRに求めることとも言えるのではないでしょうか。
「株価形成は業績次第、うちの今の事業状況では難しい・・・」と嘆くより、せっかく最前線で優秀な投資家の方と経営や事業に関する対話ができ、社内外の様々な情報が集まってくる立場なので、そこで感じた会社の課題や着想したアイディアを自ら企画・実行していきたいですね。
投資家の皆さまにとっても、そういった経営を変え得るIR担当の方と、説明会や問い合わせなどで直接対話できるのはとても大きなチャンスなのではと思います。
私もまさにチャレンジ中です
今、私がチャレンジしていることは、他社を巻き込んだ事業提携などのコーポレートアクションをもっとリードできないか、もっとワクワクする事業の種を考えて発信できないか、などを考えています。
もう「結果を伝えるのがIR」とは言わせない、経営を巻き込むIRに一緒にチャレンジしていきませんか?
IR担当の皆さまと、経営に対してどういったことができるかもっと議論していきたいですし、機関投資家・個人投資家の皆さまと、当社の経営を改善するには何が必要か?もっともっと議論していきたいです!
ぜひTwitterまでご連絡ください!!
一緒に経営にインパクトを与えるIRを実現する仲間も募集しています!
明日は一瀬龍太朗さん、よろしくお願いいたします♪
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