股関節62 人工股関節置換術と神経麻痺
おはようございます。
お風呂では最初に頭から洗う流派の塗山正宏です。
今回のテーマは、
人工股関節置換術と神経麻痺です。
人工股関節置換術の合併症のひとつに神経麻痺があります。
手術方法によって損傷を受けやすい神経が変わります。
後方アプローチの場合は、坐骨神経を損傷する可能性が高くなります。
前方アプローチの場合は、大腿神経を損傷する可能性が高くなります。
ただ後方アプローチでも大腿神経を損傷したり、反対に前方アプローチでも坐骨神経を損傷する場合があります。
それぞれ、
・坐骨神経麻痺
・大腿神経麻痺
と言います。
実は神経によって回復のしやすさが変わります。
坐骨神経麻痺に比べて大腿神経麻痺は回復が早い傾向にあります。
大腿神経麻痺は回復が早い傾向があり、関節の機能障害があまり残りません。
一方で坐骨神経麻痺は回復に時間がかかる傾向があり、関節の機能障害が残ってしまうことがあります。
ちなみに末梢神経障害にはSeddon分類というものがあり
Seddon分類
1)一過性神経伝導障害(neurapraxia)
軸索の断裂を伴わない一過性の伝導障害であり、原則として数日から数週間,通常 12 週間以内に完全回復する.肉眼的には正常なことが多く、損傷部位では伝導障害を認める.
2)軸索断裂(axonotmesis)
軸索は断裂しているが、Schwann 管および周膜の連続性は保たれている。軸索はワーラー変性をきたし、Tinel 徴候が出現するが、内膜は損傷されていないため再生軸索は元の効果器に到達する。1 週後より 0.5 ~ 2 mm/日の速度で Tinel 徴候が遠位に進行すれば順調な再生と考えられる.
3)神経断裂(neurotmesis)
軸索,神経上膜が断裂し肉眼的に連続性が無いか、あっても瘢痕により軸索の連続性が失われている。自然回復は期待できず神経縫合術の適応であるが、ある程度の神経過誤支配は不可避である.
Seddon HJ : A classifi cation of nerve injuries, Br Med J1942 ; 2 : 237.239
実際にどれくらい神経が損傷されたかによって、神経の回復度合いが変わります。
損傷の程度が強ければ回復の見込みが薄くなるわけです。
恐ろしいですよね・・・。
そう、恐ろしいのです・・・。
本日のまとめ
坐骨神経麻痺は一番起きてほしくない神経麻痺。
「あ~、パンツはくの忘れてた・・・」
ゆでたまごが好きな整形外科医の塗山正宏でした。
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