天誅組 “実録で読むか、小説で読むか”・・・小説篇
【文学フリマ東京39】に出店します!
12/1(日) 12:00〜開催
東京ビッグサイト 西3・4ホール
ブース: う-07
今回の文学フリマでは、天誅組の関係者が書いた実録の現代語訳を2冊、小説を2冊販売します。そして、実録や小説の解説本ともいえる史論を1冊販売します。
それらの内容を紹介させていただいてます。
天誅組を扱った小説はあまりありません。
司馬遼太郎先生は、「おお大砲」「最後の攘夷志士」「五條陣屋」と3作の短編が書かれています。
いずれも傑作ですが、短編でもあり、天誅組の変そのものの横顔をスクリーンショットのように描いておられます。
「錯覚革命」「幕末勤王史上悪夢のような出来事」のような記載もあり、司馬先生は、どちらかというと天誅組には批判的な立場にあられたようです。
一方、大岡昇平先生は、天誅組を「詩情を感じる」と好意的です。
しかし、ご著作「天誅組」は小説的なところもあるものの、いわば「史論」で、しかも、挙兵前に終了してしまいます。
いくつかの短編で天誅組の終焉まで記載されているものがありますが、いずれも史論となっています。
新選組については、子母澤寛先生の「新選組始末記」や司馬先生の「燃えよ剣」「新選組血風録」など、読めば新選組の始末がわかる傑作があります。
しかし、天誅組にはこのような著作がほとんどないのです。
ようやく、植松美土里先生の「志士の峠」が、2015年に出版されました。
現状では、天誅組の始末を描いた、最も小説らしい小説ではないかと思います。
比較的史実に忠実に、天誅組の小説を書けないだろうか。
あまり知られていませんが、天誅組は新選組と表裏の関係にあります。
新選組が会津藩にスカウトされた際、天誅組のメンバーも候補にあがっていたのです。
後に天誅組の総裁の一人となった藤本鉄石は、会津藩主松平容保と会見しています。
そのような関係を含め、誰もが読んでみたいとおもう冒険小説的な作品が書けないだろうかと考えていました。
天誅組のことを調べていると、西田仁兵衛という謎の男と出会いました。
この男について、私が思いついたある仮説を小説にできないだろうか。
このような考え方で書いた作品が、「天誅組外伝~江戸から来た男」です。
最初に書いてから約5年がたちます。途中で大幅に改稿しました。
天誅組の小説ですが、新選組や浪士組も登場します。
小説ですので、フィクションの部分もたくさんあります。ただ、時代背景を考えるとこんなことが起こっていてもおかしくないぞというレベルをわきまえて書いております。
これを読むと概ね天誅組の挙兵から壊滅までがわかっていただけるのではないかと思います。
続編の、「江戸の天誅組」。
こちらはどちらかというとエンターテインメントに近い、連作短編です。
が、基本的には史実を中心に、幕末の裏話的な物語をフィクションを交えつつ膨らませている小説であります。
テレビドラマ「必殺仕事人」。これを幕末を舞台にして、元締めを勝海舟にさせたら面白いのではと、以前から考えていました。
勝の元で、元天誅組の二人組が活躍するお話として実現させてみました。
加えて、新徴組の沖田林太郎(沖田総司の義兄)や女剣士中沢琴なども登場します。
幕末、勝の下で鎮撫担当として活躍した人々。
山岡鉄舟は有名ですが、信太歌之助や松濤権之丞らは、何やら謎めいた連中です。
海舟日記に名前が頻発するこれらの人物たちに、ある仮説に基づいて、ご活躍いただきました。
他では読めない、幕末秘話になっているのではないかと思います。
もちろん、鳥羽伏見で敗れ江戸に撤退してきた新選組の土方歳三、沖田総司も登場します。
最後に史論です。
歴史小説の、「小説と史実の間」は、なかなか難しいものがあります。
あまりにフィクションがすぎると、現実感がなくなってしまいます。
一方、史実ばかりだと史論のような小説になってしまいます。
「天誅組討幕考~その他の史論」では、「天誅組外伝~江戸から来た男」のその「間」を書いてみました。
何処までが史実なのか。どのような背景があって小説になっているのかを語っています。
小説を書く上での様々に調べた内容、実録「大和日記」の変遷など、歴史が好きな方にはきっと楽しんでいただける内容となっていると思います。
いずれも、是非、ご一読をいただければと思います。
文学フリマは、明日、東京ビッグサイトで開催されます。