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天誅組 “実録で読むか、小説で読むか”・・・実録篇~文学フリマ東京

文学フリマ東京39】に出店します!
12/1(日) 12:00〜開催
東京ビッグサイト 西3・4ホール
ブース: う-07

明治維新の5年前、いちはやく討幕の旗を挙げた天誅組。

現在、ほとんど世の中に知られていませんが、「維新の魁」である天誅組。

新選組とも表裏の関係にあった天誅組。

「一心公平無私」を旗印に、敗走中も最後まで秩序だった集団だった天誅組。

しかし、あまり世に知られていません。

奈良県五條市で挙兵し、約40日で壊滅した彼らの企ては、幕末を舞台とした映画やドラマ、小説にさえ取り上げられることがほとんどありません。

少しでも、彼らの事績を知ってもらいたいと思っております。

今回の文学フリマでは、天誅組の関係者が書いた実録の現代語訳を2冊、小説を2冊販売します。そして、実録や小説の解説本ともいえる史論1冊を販売します。

それらの内容を紹介させていただきます。

まずは、実録から。

天誅組の2冊の実録。その現代語訳を販売します。

「南山踏雲録」
「大和日記」

この2冊はいずれも、天誅組の参加者が事件の直後に執筆したものです。


新刊の「南山踏雲録」の作者は、天誅組記録方の伴林光平。

奈良奉行所に捕縛された伴林が、獄中で書いたドキュメントです。

かの司馬遼太郎はこの書について以下のように評しています。

「行文がすずやかな上に、文中に挿まれた歌がよく、このため天誅組事変というー行動の発起が軽挙で、途中、絶望的な状況に追い込まれていくという意味でー陰惨な印象をうけがちなこの政治的暴動が、明るいといえるほど浄化されている。この一挙の記録方としてもし伴林光平がいなかったら、事変についての印象はずいぶん違ったものになっていたのではないかと思えるほどである。」(街道をゆく十二 十津川街道 朝日文芸文庫)

そうです、約90首の歌が挿入された歌物語のような実録です。

順不同の部分もあります。そして、伴林が途中で天誅組を脱出することもあり、かならずしも天誅組の起承転結を網羅したものではありませんが、おおむね挙兵以降の天誅組の始末を追うことができます。

また、総裁の一人吉村虎太郎など主要人物の姿が列伝のように語られています。志士のポートレートが、実見したものの筆で描かれているのです。

そして、歌。当時の風景や空気、そして、挙兵の高揚や追い詰められてく心情など作者の思いが歌にこめられて残されているのです。

まさに実録です。


一方、「大和日記」は日付を追ったまさに日記です。

作者の半田門吉は久留米藩脱藩。

天誅組主将中山忠光を守り、大坂に脱出。長州へ逃れる船上で「大和日記」を執筆したのです。おそらく主将中山公以下、七名の同志で、「ああでもない、こうでもない」などと議論しながら書いたのではないでしょうか。

天誅組最後の戦いの描写は壮絶かつ緻密です。

その後の、中山公を守っての逃避行も映画のような脱出劇です。

実録ならではの臨場感にあふれています。

「南山踏雲録」「大和日記」ともに漢字かな交りの和文で書かれているので、決して読みにくいものではありません。

しかし、現代人が気安く読み進められるものでもありません。

天誅組のことを少しでも多くの人に知ってもらいたい。

その思いで、現代語訳しました。

原文と対訳ですので、原文の趣もわかっていただけるのではないかと思います。

この2冊を読めば、天誅組の基本資料をクリアすることができます。

是非、この機会に、お手に取ってみていただきたいと思います。

(続く)

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