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退団選手と退職者との違い

前回、クラブチームの「ウチらしさ」について、また、「ウチらしさ」を具現化したような選手について、さらには、そんな選手の退団についてを述べてみました。

今回は、退団選手と退職者の違いについて述べることにします。

退団選手と退職者の違い

退団選手と退職者の違いは「惜しまれつつ」だと私は見ます。

退団選手の場合、基本的には全員が惜しまれつつ退団します。
ゆえに、オーナーやフロントに意見や要望などが噴出することがあります。
その是非について述べようと思っていません。
「そういうこともある」という話です。

一方で、退職者の場合には、全員が惜しまれつつ退職するというわけではありません。

退団選手と退職者とは、大前提から違っていて、そこから大きな違いが生じてくるものであると、私には見えます。

矛先の違い1

退団選手に対する期待過剰は、その期待の大きさ次第では「期待していたのに裏切られた気分」が生じることもあり「は」します。

あり「は」します。

懐古はあるでしょう。思い出もあるでしょう。
オーナーやフロントに対して、なんとも言えない複雑な気持ちがある人もいるでしょう。

けれども、それだけです。
退団選手はもういません。(再加入しない限り。)

あと数ヶ月もすれば、箱サポは退団選手でなく、残留選手や加入選手に期待します。

期待の矛先が変わることになります。
(※個サポに移行する人もいます。)

過去は過去。現在は現在。
割り切れたり割り切れなかったりですけれども、そういうものです。

「何々が帰ってきてくれたら良いな」というのはあり「は」します。けれども言っていたところでどうしようもないことですからね。

矛先の違い2

一方、退団選手と違い、退職者に対するものは、極めて不健全でどうしようもないものです。

「期待していたのに裏切られた気分」などという言葉の悪用であり、濫用です。

選手の場合、プレイに魅せられたり、もしくは、「チームの魂」を感じさせられたり、です。
本当に期待なのです。

退職者の場合はそうではありません。

「これとこれは誰がすることになるんだ。」
「周りの迷惑を考えたらどうなんだ。」
「責任感とかないんか。」
「人の心とかないんか。」

期待ではないわけです。
期待ではないのに、「期待を裏切られた気分」としているのは、おかしな話です。

期待ではないため、矛先が変わりません。

「こんな時期に退職しても良いと思うのか。」
「こんな時期に今までの期待を裏切るのか。」

退職者の場合には、退団選手とは違い、退職後の皺寄せのことばかりが浮かぶことになります。

そんな不健全な状態なんて「期待」であるはずがありません。
期待していた感じのテイで、「裏切り」と言っているだけなんです。

極悪人であろうと善人ヅラはしたいものです。

「期待していた感じのテイ」は暴言の前につけておくことで、暴言を助言に偽装できるがゆえに、ついているだけなんです。

極悪人であろうと善人ヅラはしたいからです。

矛先の違い3

後任が充てられても、何も変わりません。

「あいつが辞めていなかったらやらずに済んだ」
「あいつみたいなヤツでもやれてたことはやれ」

後任になってしまった人はクローン人間のように扱われます。所詮はそんなもんです。

退団選手の放出の場合は、オーナーやフロントに対して、不満や落胆が見られることがあります。

けれども退職者の場合には、そうはなりません。
「なんであの選手を放出したのか」というような意見にはならないのです。
経営者の経営手腕が疑われないのです。

疑われるのは、後任者のコピー能力です。
前任者の能力は概ね過小評価されます。

「あいつみたいなヤツでも出来ていたのに。」
「誰にでも出来るはずなのに。」

そういう暴言が飛び交うようになります。
労働者の実務能力が疑われるのです。
経営者の経営手腕は疑われないのに。

どちらが問われるか

退団選手の場合には、経営者側が問われます。
慰留は十分だったか。
移籍先よりも良い条件は提示できなかったか。

退職者の場合には、労働者側が問われます。
周りへの迷惑はどうなるか。
今までの期待は損だったのか。

これはおかしいんですね。
期待しているならより良い労働条件が提示されているはずなので、「期待」ではないわけです。

では何故、「期待」という言葉を使うのか。
「期待が裏切られた気分」とは何か。

極悪人であろうと善人ヅラはしたいからです。
そのための前置き、枕詞が「期待」なんです。

純然たる嘘で、詐欺ですよ。
良い人詐欺。
良い人ぶって労働者をテイクする詐欺です。

テイカーは自分自身にも詐欺をする

そんな「良い人詐欺」は極悪人が善人ヅラをするために為されます。
極悪人であろうと善人ヅラはしたいからです。

そして、極悪人がテイカーだからでもあります。

経営者からテイクしにくく、一方で、労働者からテイクしやすいから、労働者に矛先が行くというわけなんです。

テイカーは自己肯定感モンスターであり、かつ、自己正当化モンスターです。
自分自身に詐欺をするのも上手なんです。

詐欺の常習犯なので、セルフイメージに至るまで「良い人」や「善人」であることさえあります。

私はテイカーにはなれないので上手くはできないことですが、テイカーは自然にしますね。
まるで息をするように自然にします。

心の底から恐ろしい話ですけどね。

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