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経済か命かⅡ【エッセイ 意見文】一二〇〇字

 先週の土曜日の投稿、「経済か命か」に貴重な意見をいただいた。医療関連に知人がいるという「バジル」さん、看護師で、まさにコロナ患者の宿泊療養施設で働いているという「花留」さん。そして、「検査拡大に慎重であるべき」の見地の「 」さん。(そのコメント欄を読んでいただければ、幸いです)
 私は、「PCR検査拡大」が、コロナ禍の収束を促進し、結果的に経済回復を早めると考えている。なので、「 」さんがおっしゃることのほとんどに同意できるのだけど、「検査」についての考え方だけが、異なる。
 「拡大慎重」派は、検査は最大でも七〇%の精度なので、偽陰性者や偽陽性者を産みだすことを問題視している。無症状者にまで検査を拡げれば、偽陰性者が、(実は感染者であるのに)「お墨付き」で市中に放つことになる。検査施設が混乱するだけでなく、偽陰性者は大胆に行動するだろうから、感染者の増加に拍車をかけ、医療崩壊にもつながる。だが、有症状者・濃厚接触者だけに絞れば、検査数が抑えられるので、何回か繰り返すことで精度を上げることができる。一理ある。
 「拡大」「抑制」、どちらが正しいか。現状の感染者数の推移は、「抑制」の結果だから、その検査戦略の結果は出ている。一方、「拡大」については、やってみないとわからないので、合理性があるかどうかの判断になる。
 検査を抑え、無症状で野放しの市中感染者がうつす数と、検査を増やし、偽陰性者の感染者がうつす数と、どちらが多いかの計算ではないか、と思う(感染しても、無症状で自然に治癒する者は多いと言う方もいるが、そんなひとも感染させる能力を持っている)。
 十九世紀末、日清戦争帰還兵のコレラ検疫で成果を上げたとされる後藤新平に学ぶまでもなく、感染症対策の大原則は、「検疫し『保護』」である(確か、WHOの事務局長も言っていた)。なので、「検疫」の精度が高くなければ、一〇〇%に近づければいい。もしくは、何回か繰り返せば、精度はあがる。
 が、検体採取施設、人材、検査機関などのインフラが少なければ、できない。精度を高めることを含めインフラを構築することが重要な政策になる。それが国の仕事と、思う。
 「慎重」派は、そのインフラが貧しているので、拡大するのは混乱を招くと言っているのだろう。充実していれば、原則通り徹底した「検疫」を選ぶはず。だから、「派」に関係なく国の怠慢を指摘し続けるべき、と思う。
 将来も続く感染症。新型コロナを教訓にし、検査精度を一〇〇%に近づけること、医療施設・設備・人材等のインフラを充実させること、無症状者や軽症者で単身居住の場合、自宅療養を可能にするオンライン診療や看護、治療薬や検査器具の提供を可能にするなど、国が講じる対策は、山積している。(一時停止になったが)「G〇 T〇」は、収束後の施策であって、拡大期の策ではない。まずは、感染者数を抑えることに集中してほしい。

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