リファラル採用を成功に導く!本のご紹介
こんにちは。
今回、備忘録としてご紹介するのは「人材獲得競争時代の戦わない採用(著者:鈴木貴史) 」です。
リファラル採用について、各社さんの実例の紹介や、組織作りの観点からも詳しく言及されています。「リファラル採用の教科書」という観点でも手元に1冊置いておくと良いなと思いました!
戦わない採用とは?
日本のHRが抱える課題
日本では、長らく組織構造として終身雇用・メンバーシップ型雇用がベースとなっていた
なぜなら、新卒一括採用で労働力を確保し、均質化された社員を育てていくことが、最も効率の良いシステムだった
ただ、高度経済成長期から時代が変わった現在、この採用方式には綻びが生じつつある
日本の従業員エンゲージメントは先進各国最下位という低い水準で、それらがこの国の生産性を下げる一因となっている仮説を立てられる
近年の採用トレンド
近年、日本においても「人的資本経営」への関心が高まっている。
人的資本経営とは「人材を資本として考えてその価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげていく経営のあり方」
長らく日本では、人材は「資本」ではなく「資源」、つまり「投資」ではなく「消費」の対象として捉えられてきた。
だが、少子高齢化の影響で労働人口はますます減少し、営業職、事務職、エンジニア職などの職種に問わず、ほぼすべての職種で労働人口が不足。
こういった背景もあり、人材を「資産」として捉え募集するのではなく、「獲得」する意識を持つことが採用競争力につながるという意識の変革が行わてきている。
これからの時代に求められる採用
このような時代だからこそ、ただ募集をかけるのではなく、転職潜在層にも魅力を伝えられる手法を考える必要がある。
なかでも注目なのが、リファラル採用。リファラル採用とは、信頼できる友人や知人からの紹介を通じた採用手法のこと。2012年以降、米国においては最も人材獲得数が多い採用チャネルとなっている。
リファラル採用には4つのメリットがある
転職潜在層にアプローチができること
ミスマッチを抑制し、入社後の定着率を高められること
従業員が自社の良さを友人・知人に語る経験を通し、エンゲージメントが高まっていくこと
採用コストを削減できること
リファラル採用の準備
中長期的なゴール設計
まずは、中長期的な「ゴール設計」。重要なのは「2か月で●●名採用する」のような近視眼的な数値ではなく、中長期の目線でゴールを設計すること。
また定量だけではなく、定性的なゴール設計も重要。例えば、エンゲージメントの向上などもその一つ
目的がなく定量目標だけを設定しているケースなどは、失敗するケースが多い
安心して紹介できる「ルール設計」
次が「ルール設計」で、従業員が自然とおすすめできる環境整備に必要な項目が3つ。
適用社員の範囲。正社員、契約社員、アルバイト社員、派遣社員など、どこまでをリクルーターとするかを決める。
禁止事項や運用ルール。「協力パートナー会社からの引き抜きはNG」といったトラブルを防ぐための規定を設定する。
インセンティブ。インセンティブを導入している企業は85%ほどで、金額は1〜9万円が47%、10〜29万円が31%。
なお、インセンティブ目的で動く社員は全体の1割程度で、5割以上が「友人の力になりたい」という理由
Salesforceでは体験価値を重視し、野球チケットを提供している
アクセンチュアは従業員が紹介して得られるボーナスの一部を寄与することで、従業員の利他意識に働きかけている
特にZ世代の従業員が増えていくと、インセンティブそのものではなく、その背景にあるストーリーが重要。
心理的負荷を下げる「フロー設計」
運用フローを検討する上で重要なのは、「どこまでの社員を巻き込んで開始するか」を設定すること。
採用課題の大きそうな部門からスモールスタートをし、実績を出してから全社展開する方法。
経営陣を巻き込むうえでのエビデンスづくりができるなどといったメリットもある。
もう一つの検討ポイントは、社員の「心理的負荷」と「業務の工数としての負荷」を下げること。
心理的負荷は、「友人を紹介したのに即NGだったら、友人との関係にヒビが入ってしまわないか」といったもの。
この負担を軽減するためには、「いきなり書類選考で落とすようなことはせず、カジュアルに一度はお会いします」などの意向を伝えておく
業務の工数としての負荷を軽減するには、自社の求人情報を認知しやすくしておくこと
誰でもいいから紹介してほしいは、誰も紹介してくれない。
さらに、求める人材像を明確にしておくことも重要である。採用要件を聞いて「あの人にぴったりだ」とパッと浮かぶくらい、採用要件の解像度を高めておくのが理想的。
リファラル採用の実践
従業員体験を意識する
重要なのは、紹介活動の最初の起点となる「従業員体験」。従業員体験とは、従業員が会社で働く際に得る全ての経験のことで、入社前面接、研修、通常業務、異動、福利厚生利用などにおける体験のよさを表す。
リファラル採用を成功に導くフレームワークとして「認知→共感→行動→ファン化」の4つのステップに分けられる。
①認知
情報の角度を変えながら、飽きられない認知活動を行う。
毎回同じ情報だとスルーされがちになる
制度の理解を促進するための情報や、ペルソナ情報、リファラル採用で入社した人のインタビューなど、情報の角度を変えながら定期的に発信していくという戦略
②共感
共感を生むためのポイントは「インセンティブではなくてストーリー」「透明性の高い情報」「上位役職者を巻き込む」の3つ。
「インセンティブではなくてストーリー」について。人は「Why」から始まるストーリーの方が印象に残る。なぜやるのかというwhyから始める
「透明性の高い情報」について。社員は多くの経営者や人事担当が思っているほど自社を語れるわけではない
人事制度やキャリアパス、事業に関する情報などを伝えておくと、従業員は友人・知人に語りやすくなるだけでなく、会社へのエンゲージメントも自然と高まる。
「上位役職者を巻き込む」について。部下は「上司が何に価値を置いているか」をよく見ている。紹介の文化を根付かせるには、管理職のコミットメントが欠かせない。
③行動
散らばった情報では行動につながらないので、情報を一元化することが大切。
情報が散乱している状態は従業員にストレスを与えてしまう。
社員の視点に立てば、リファラル採用は主業務ではなく、極端に言えばやらなくてもいいもの
だからこと、極力情報を一元化し、紹介までをシームレスな意識をする
また、声かけの心理的ハードルを下げる工夫も必要。
転職希望者を募るだけでなく、すぐに転職を考えていない人でも参加できるイベントなどで友人・知人に声をかけやすくし、自社について語る機会も増えてエンゲージメント向上にもつながる。
④ファン化
また別の友人・知人を紹介したくなるような体験価値を提供する。
従業員体験がマイナスの感情で終わらないよう、アフターフォローまで細心の注意を払って設計する。
今回のnoteでは紹介していないのですが、さまざまな企業のリファラル事例も紹介されているので、リファラル採用を検討していたり、上手くいっていない場合は、一冊手元に置いておいても良いなと思いました。
以上、最後までご一読いただきありがとうございました!