ユニバーサルデザインの強化書212 脳科学で解き明かす!電話番号の3つの秘密と、プレゼンにも活かせる「3の法則」
脳科学で解き明かす!電話番号の3つの秘密と、プレゼンにも活かせる「3の法則」
日常生活で目にする電話番号の「XXX-XXX-XXXX」といったフォーマット。私たちが意識せずに使っているこの分け方には、実は脳科学的に深い理由が隠されています。また、プレゼンテーションや記憶術でよく言われる「3の法則」にも通じるこの「3つのブロック化」について、今回は脳科学に基づいた視点から解説します。
❶短期記憶と「チャンク化」理論
脳は膨大な情報を効率よく記憶するため、情報を「チャンク」と呼ばれる小さなまとまりに分けて処理する性質を持っています。
この「チャンク化」理論は、心理学者ジョージ・ミラーが1956年に提唱した「7±2の法則」によって広まりましたが、近年の研究では短期記憶に最適なチャンク数は3〜4個程度とされています。
例えば、電話番号を一気に覚えるのではなく、3つに分けて記憶すると、脳の負担が軽減され、効率的に覚えられます。
また、ミラー教授の「7±2の法則」によると、短期記憶はおよそ7個(±2個)の情報を保持できるとされていますが、これはあくまで日常的な物事に限られた数値です。
2001年には、ネルソン・コーワン教授が新たに「4±1」という数値を提案し、これは初めて触れる情報に対する短期記憶の容量を示しています。
どちらが「正しい」というよりも、
●普段馴染みのある事柄には「7±2」
●新しい情報には「4±1」
と捉えるとよいでしょう。
※記憶力には個人差があります。
❷3つのブロック
パターン認識と意味付け
私たちの脳は、意味を持たせた情報を優先的に記憶するようにできています。
電話番号を3つのブロックに分けると、「エリアコード」「中央の番号」「個人番号」のように、それぞれに意味が与えられ、脳がパターンとして捉えやすくなります。
例えば「03-1234-5678」と分けることで、最初の「03」が地域を示すことが理解しやすくなり、その部分が自然に記憶に残ります。
こうしたパターン認識の効果により、複雑な情報も記憶に残りやすくなっています。
❸3つのまとまり
視覚的な処理の効率化
数字が連続して並ぶと、脳はそれを視覚的に処理する際に大きな負担がかかりますが、3つのまとまりに分けることで視覚的な負荷が軽減されます。
区切りがあることで数字のグループを一目で把握しやすく、読み間違いや記憶ミスが少なくなります。
この視覚的な認識のしやすさが、脳にとっても効率的なのです。
❹3つのポイント
3つの効果はプレゼンにも応用できる
脳科学的に合理的で記憶しやすい「3」という分け方は、プレゼンテーションや説明でも応用されています。
例えば、重要なメッセージを3つのポイントに絞ることで焦点が明確になり、繰り返しやすくなるため、聴衆の記憶に残りやすくなります。
この「スリーの法則」は、アリストテレスの修辞学にも見られるように、古代から多くの人々に活用されてきた効果的な方法です。
アリストテレスは、人間の記憶は「導入」「本論」「結論」の3つの要素で構成されていると述べ、この考え方が後の演説術やプレゼンテーションに大きな影響を与えました。
まとめ
電話番号の分け方やプレゼンテーションでの「3の法則」には、記憶力を引き出す脳科学的な理論が関わっています。
情報を3つの塊に分けることで、記憶の負担を減らし、理解を助けることができるのです。
数字や情報をシンプルに整理し、効果的に伝える工夫が求められる場面では、この「3」という分け方が鍵となるでしょう。
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Think Difference.
m.m