毒針に刺されるリスクを犯してまで食べたくなる「おこぜ」
夏のふぐと呼ばれている程、おいしいとされている「おこぜ」。
わたしは毎年この時期になると、おこぜの棘に刺さるリスクを犯してまで食べたくなるおいしい魚です。
そんなおこぜがスーパーで生きた状態で売られていたので、思わず買ってしまいました。
▶夏のふぐと呼ばれる「おこぜ」について
「おこぜ」は見た目が独特で、夏のふぐと呼ばれる程おいしいとされている魚です。
背中には鋭い毒棘があり、刺されてしまうと、指がパンパンに腫れ上がってしまいます。捌く際には、細心の注意を払ってさばく必要があります。
私がこの魚を知ったのは、十年前に魚屋で勤めていた時。先輩に夏になると、おいしいよと教えてくれた覚えがあります。
その時は「おこぜ」の存在を知っている方が少ないように感じましたが、最近はYouTubeなどのSNSで紹介されているので、結構知っている方が多いのではないでしょうか。
魚屋でも生きているおこぜを見るのは珍しく、売っているところは早々見ることはありません。お寿司屋さんや凝っている居酒屋さんではたまに見るくらいです。お造りや握り、唐揚げで売られています。
今回は近所のスーパーで生きているものを見たので、お造りにしようと思わず購入しました。
▶リスクを犯してでも食べたい3つの理由
私がおこぜの好きな理由は大きく3つあります。
もっちりとしていて、歯切れのいい食感
濃厚な肝がおいしい。
いい出汁が取れる
お刺身は、ふぐほど身に弾力はないので、「てっさ」みたいにあまり薄切りにしなくても良いと思います。ある程度薄く切った身には、もちっとしていて、サクッと歯切れのいい食感がよくとても心地よいです。
お刺身と一緒にさっと茹でた肝と一緒に食べると、肝の濃厚な味と身の食感で至福の時を過ごせます。これが食べたいがゆえさばくといっても過言ではありまぜん。
他にも皮や薄皮の部分を湯引きにして細かく着ることで食べることができます。いいお酒のあてになります。
中骨からはいい出汁が取れるので、いつも「おこぜ汁」を作ります。おこぜ汁は、頭や鎌、すいておいた腹骨を一緒にしてお吸い物にします。美味しい出汁が体に染み渡ります。また、ほっぺた部分にある身は、少ないですが特においしいので、忘れずに食べてみてください。
おこぜは、本当に夏に食べたくなる魅力的な魚の1匹です。
▶毒針に注意してさばく工程
おこぜは、独特な形をしていてさばきにくい上、
背びれには毒針があるので、さらにさばきにくくなっています。
さばくのに慣れてなかったらかなり時間がかかってしまうので、捌くのであれば時間に余裕がある時にしておくのがいいかもです。
1.毒針の処理をする
まずは、毒針に刺さるリスクを無くすためにも、
毒針部分をハサミで切り落としておきます。
毒針に注意して、ハサミを入れると簡単に切れます。切り落とした背びれは、新聞かキッチンペーパーでぐるぐる巻にして捨てます。
2.おこぜの皮の部分を洗う
おこぜの皮の部分には汚れがかなりついているので、たわしなどで丁寧に表面の汚れを落としておきます。これで皮の部分も問題なく食べることができます。
3.三枚おろしにする
そこからは、肝を傷つけないようにして、
頭と胴体を切り離し、内蔵を取り出します。
皮がブヨブヨでさばきにくいですが、
よく切れる包丁で三枚おろしにします。
その後、身の腹骨をすいておきます。
中骨は大きければ、半分にしておきます。
4.皮を引く
お刺身にするのであれば、皮を引いておきます。
皮は湯引きにすると、おつまみになるので取っておきます。
5.肝の処理
肝を内蔵から外して、匂いのもととなる血管を取り除きます。
その後、塩をしてお酒に浸して臭みを消します。
6.頭の処理
頭と鎌の部分を切り離します。
頭は半分にしておくと食べやすいです。
7.各部位を湯引く。
最後に残しておいた身以外の部位(かま・腹骨・皮・薄皮・肝・中骨・頭)を湯引きます。
肝は中まで火が通ったくらいで引き上げます。それ以外の部位は、表面にさっと火が通るくらいで氷水に引き上げます。
皮付きの部位は皮の表面が薄く白くなるので、その白くなった部分を洗い流します。白い部分は匂いのもとにもなります。
また、血合いがついている部分は、血合いを洗い流します。これも白い部分と同じで匂いのもとになります。
処理が完了したおこぜです。
部位ごとにきれいに並べることができると、なんとも言えない達成感を感じることができます。うっとりとして見とれてしまいます。
左上から、かま・腹骨・皮・薄皮・肝
右上から、頭・中骨・身(片身分)
ここから1つずつ部位を取り出してお刺身やおこぜ汁に調理をしていきます。
▶まとめ
夏の時期になると、食べたくなるおこぜ。
歯切れのいいもっちりとした食感とさわやかな風味。
肝と一緒に食べると、淡白な身に濃厚な味わいが混ざります。
ねぎとの相性も良いので、薬味を添えてもいいです。
いろんな味わい方ができるので、手に入った際にはぜひ試してみてください。
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