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Dalma (ଦାଳମା) ダールマ| オリッサの豆と野菜の煮込み(ホームスタイル)| #Odisha 【インド100のレシピ集】 #レシピ

割引あり

ダールマは簡単に言えば野菜と豆を煮込んだ料理なのですが、ざっくり大きく分けて2つのバージョンが存在します。寺院で神様への供物として作られる厳格なバージョンと、家庭で作られる何でもありのバージョンです。

ダールマはオリッサの宗教文化とも深い関わりを持っています。特にプリーのジャガンナート寺院で捧げられる「マハープラサード」の一部として特に重要で神聖な料理とされています。ジャガンナート寺院はヒンドゥー教の巡礼地であり、そこで供される料理はクリシュナ神への供物として扱われ、その後参拝者に分け与えられる習慣があります。

寺院の伝統的なレシピでは、インドにもともとなかった野菜やスパイスを使うことが禁止されており、豆は基本的にチャナダルを使用し、野菜はにんにく、玉ねぎ、じゃがいも、トマトなどは禁止。基本的には土着の野菜であるヤム芋や里芋、なすやかぼちゃなどが使用されます。また、調理するのは沐浴をしたバラモンの男性のみで、素焼きの壺の中に全ての材料を入れ、一度もかき混ぜることなく焚き火で調理します。最後にギーとホールスパイスでテンパリングして仕上げます。

プリーの総本山に行った際、外国人は中に入れなかったのでブバネシュワールのアーナンダ寺院でプラサードをいただきましたが、甘くまろやかで素朴ながらとても美味しかったです。

反対に家庭のレシピではなんでもありです。トマトやじゃがいもも使用してよいし、味付けのスパイスはPancha phutana(パンチフォロンと同じ)やbhaja jeera-lanka gunda(唐辛子とクミンのローストパウダー)が多用されます。豆も何を使ってもいいし、冷蔵庫にある野菜をなんでもぶちこめばいいと思います。それが家庭料理の強みであり喜びです。今回のレシピでは挽きたてのダルママサラを使用しましょう。

オリッサ州のレシピを5品連続でアップするので、その通りに作るとオディシャターリーが完成します。

参考:

オリッサ料理とは

そもそもオリッサ料理とはなんぞやという話は、後日更新されるまとめnoteをご参考ください。

オリッサ州はインドの東側、ベンガル湾に面している。ちょうど西ベンガル州とアーンドラプラデッシュ州に挟まれた州。オリッサの文字は丸いが、これは葉っぱに文字を書いていたときの名残で、かなり歴史のある文字だということの証左だ。

オリッサはメシウマだ。オリッサ料理はベンガル料理のルーツの一つでもある。イギリスがコルカタを首都としていた18世紀後半から19世紀にかけ、オリッサの僧侶階級の料理人たちがコルカタに大量に流入した。コルカタでは上流階級やイギリス人の家庭で、料理人としての需要が非常に高まり、ベンガルの食文化に大きな影響を与えた。

特にマスタードペーストやマスタードオイルの使用は、オリッサから伝わった要素の一つだろう。オリッサから伝わった豆や野菜を中心とした料理も、ベンガル料理の基本構成に取り入れられた。オリッサ料理がベンガル料理に与えた影響は非常に大きく、ベンガル料理の基盤の一部を作ったと言える。ただし、その後、ベンガルの料理は独自の発展を遂げ、より複雑で豊かな味わいを持つ料理体系へと変化した。

主食は米で、豆や野菜を使った料理が豊富。川も海もありベジタリアンは少ないので魚介もよく食べられている。魚介類はマスタードペーストやマスタードオイルを使って調理されることが多い。ベンガルと同様に5種類のスパイスミックス「パンチャフッタナ」(パンチフォロンと同様)を使う。

寺院のブラーミンはニンニクや玉ねぎはもちろん、インドにもともと存在しなかった新大陸の野菜なども使わず神に捧げる料理を作る。ジャガンナート寺院で供される「マハープラサード」などは神様へのお供えとして大量の食事を作り、そのおこぼれをいただけるというありがたいもの。

全体的にスパイスは控えめで、素材の風味が活かされているのが特徴。しみじみとおいしくお米が進むものが多い。

各地域別の料理をマガジンにまとめていきます。


Dalma(豆と野菜の煮込み)

それでは実際に作ってみましょう。

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