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さがしもの

うだうだとしていたら3月になってしまった。
卒業式に着る予定の服は相変わらずピチピチで、数年前と体重は変わっていないのにどうしてと思いながら調べる気にもなれず、かといって新しいのを買うつもりもなく、とにかく当日までは背中痩せの筋トレを続けようと決意する。(一応、続いてはいるけども)
すごいスピードで過ぎていく日々におののきながらも、季節は動いていく。

妹と作った本ができた。妹が書いた400字程度の掌握小説にわたしが続きを書く、というスタイルのもの。
妹の文は実はもう20年ほど前に書いたもので、ずっとわたしが持っていた。
いつか形にしたいと思っていて、そのときはわたしが挿絵を描けたらなんて考えていた。
「別に本にしたいなんて思ってないよ、あんな短いの」
と妹は言ったけれど、わたしがどうしてもしたかったので、続きを書くスタイルを思いついた。
わたしと妹は本の好みが割と似ている。短編集を読んでも好きなのが同じだったりする。
20年越しにできた割に薄っぺらい本だけれど、よかったなと思った。
くまさんとかスライムが出てくるお話。わたしには絶対書けない。
だから続きを書くことで、妹の世界にちょっとお邪魔できた。
小さいとき、ときどき、他の人の秘密基地に入れてもらうことって、あったような気がする。
その感覚とちょっと似ているかも。

「もしもしくまです。ももんがさんいますか」
「はい、いますよ」
「では、ももんがさんにかわってください」

~さがしもの 森のくまさんより

こんなふうに始まるくまさんのはなし。このくまさんは小さいとき妹が気にいっていたパペットの茶色いくまのぬいぐるみがモデルらしい。
確認しなくてもそれがわかった。
妹は今でもくまさんが好きらしい。

#文学フリマ #文学フリマ東京 #妹 #掌握小説 #エッセイ

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