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自分なりの「決め方」を持つ(1/2)

【ポイント】

  • 私たちは地位が上がるにつれて「正解のない問題」に直面する機会が増える。しかし、正解のない問題には正解がないばかりか効果的な解法も示されていないので、正解のない問題を解くのは容易ではない。

  • この時代、ビジネスを前に進めるには多くの人たち(=ステークホルダー)を巻き込むしかないが、正解のない問題には説得材料が乏しく、なかなか前には進まない。

  • 正解のない問題を解くには「決め」しかない。ところが、決めにはリスクが伴う。だから、多くの人たちは決めることを嫌う。結果的に問題は放置されてしまう。


責任ある地位に就くと、毎日のように「正解のない問題」に直面します。
事業計画や商品企画の立案、顧客への提案、プロジェクトマネジメントなどはその典型です。ではなぜ、「正解のない問題」を解くのは難しいのでしょうか。

そこには2つの理由があります。

   効果的な解法が示されていない = 解法から自分で考える必要がある
   導き出した解答が正解であることを証明できない = 他人と合意形成しにくい

正解のない問題を解くにはこのような障壁を乗り越えなければなりません。
私は皆さんにそのためのスキルを身に付けていただこうと、これまで、noteを通じて概念化手法や概念モデルのつくり方、本質の見極め方などを紹介してきました。
今回は、正解のない問題を解くためのヒントを「決め」に求めてみます。

「決め」とは、すなわち決めることです。
正解があれば、あえて決める必要はありません。証明済みの解法を使って解けばいいからです。正しい解法を使い、得られた答えが正解なら、改めて「これが正解です」と決める必要はありません。客観的に判定すればそれでお終いです。
ところが、正解のない問題が相手では、そうはいきません。決めなければならないのです。

上司に、こんな質問をされたとします。

「この結論は、正しいのかね」
「この結論は、どのようにして導いたのかね」

正解のない問題が相手なら、この質問には自分なりに答えるしかありません。しかも、答えたとしても“証明”できるわけではありません。結論の正しさはおろか、手順の正しささえ証明するのは困難です。つまり、相手を納得させられるかは未知数なのです。

こんなとき、皆さんならどうしますか?

私なら、自分なりに概念化して得られた概念モデルを上司に説明し、上司に決めてもらいます。そうです、最終的には決めるしかないのです。

そして正解のない問題を解いているときには、誰しも様々なシーンで「仮説」を立てなくてはなりません。これもある意味、「決め」です。なぜなら、仮説が「正しいか」は結果が出てみなければわからないからです。わからないのだから、前に進むには決めるしかありません。

もうおわかりでしょう。正解のない問題を解くのが難しいのには、「決め」が深く関わっています。
すなわち、「決め」には不確実性が存在し、不確実性にはリスクが伴います。逆に言えば、リスクを取れない人は決められないのです。

先ほど「上司に決めてもらうしかない」と書きましたが、皆さんの日常をよく思い出してみてください。こんなとき、はたして皆さんの上司は決められたでしょうか。残念ながら、私を含め多くの人は「ノー」と答えるでしょう。
しかし、責任の一端は私にも皆さんにもあります。相手に「イエス」と言わせるには、先ずは自分自身が「イエス」であることを確信しなければならないですし、相手に「イエス」と言わせる材料とシナリオを練り込まなければなりません。これは概念化のプロセスなわけですが、ここが不十分だった可能性はあります。いわゆる「準備不足」だったわけです。

本日はここまでとして、次回は「決め」に代わる方法として「納得」について話をします。
決めるための方法も紹介するので、楽しみにしてください。


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