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【感想】Apple TV+ドラマ『窓際のスパイ』シーズン4第1話

2022年4月からApple TV+で配信されているドラマ『窓際のスパイ』
そこから同年の後半にシーズン2、2023年にシーズン3、2024年9月からシーズン4というハイペースでシリーズ継続中。

原作はハヤカワ文庫から翻訳版が出ているイギリスのスパイ小説

遂にシーズン4からは未翻訳の巻に突入

今年のエミー賞のドラマ部門にノミネートして世間的・批評的な評価も追い付いてきた感があるけど、2023年初頭の時点でパク・チャヌクが絶賛していた。

――最初に『別れる決心』がいろんな人の年間ベスト映画に入っているという話をしましたが、あなた自身が2022年に観た映画やテレビシリーズで、一番心に残ってる作品はなんですか?

「うーん……2つ挙げていいなら、『セヴェランス』と『窓際のスパイ』ですね」

https://moviewalker.jp/news/article/1122398/p2

さらに書籍『韓国ドラマを深く面白くする22人の脚本家たち』ではNetflixドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』を手がけたキム・ボトンのインタビューの中で名前が出てくる。

テレビも配信もドラマはひと通りチェックするキム・ボトンだが、冒頭15分を見て視聴継続 or 脱落を決めるそう。

最初の15分を過ぎても見続ける割合は低く、1話すべて見るのはかなり稀なことらしい。そんな彼が最近、最終回まで見届けたという作品が「窓際のスパイ」(22~/英)だ。

韓国ドラマを深く面白くする22人の脚本家たち,ハンギョレ21・シネ21著,訳・岡崎暢子,クオン,P.64

ゲイリー・オールドマンは本作がテレビドラマ初主演にして引退作(予定)

『窓際のスパイ』を見れば見るほど“あの”ジャクソン・ラムが引退作でいいのか?という疑問は湧いてくるけどw
文字通りハゲ散らかしているし、麺の食べ方は最低最悪に品が無いw
ちなみにこのインタビューは映画俳優がテレビドラマを語っているという意味でも価値があると思う。

自分は昨年のシーズン3配信開始に合わせてシーズン1と2をイッキ見してどハマり。
年間ベストドラマどころか年間ベストコンテンツの10選に挙げました。

あらすじはこんな感じ

MI5(英国情報局保安部)のエリートコースから転落したリヴァー・カートライトは地獄のほうがマシと思える部署に転属させられる。落ちこぼれ情報局員が追いやられるスラウハウス(泥沼の家)だ。

https://tv.apple.com/jp/episode/umc.cmc.72legmwolm5ytctyq637r6x0?showId=umc.cmc.2szz3fdt71tl1ulnbp8utgq5o

スラウハウス(泥沼の家)の左遷・冷遇っぷりのコメディがまず1本の軸。
オフィスの建物は違うしMI5本館にはスラウハウスのIDでは入れないw
まともな仕事は与えられていない。
ただ、そこのトップを任されているジャクソン・ラム(ゲイリー・オールドマン)は何かひと味違う。
表向きは左遷された人なのだが、副長官のダイアナもその実力は認めているようである。
口は死ぬほど悪いけどw
視聴者目線だと「なぜMI5本部の連中はラムのことをあそこまでナメていられるのだろう?」と不思議になるレベル。

物語は負け犬よせ集めチームがエリート軍団を食う活躍をする痛快なもの。
ジャンル的には古今東西色んな作品で描かれてきた題材である。
各シーズンとにかく事件がスピーディーに展開していくので、テーマを読み解いたりといった難しいことは考えずに流れに身を任せるだけで十分に楽しめる。
しかも1シーズン6話というコンパクトな構成かつ事件はシーズン単位で発生から決着まで描かれる。
サクサク見られるのも嬉しい。

今や当代随一の娯楽シリーズ。
双璧をなすのは奇しくもこちらもシーズン4が絶賛配信中の『マーダーズ・イン・ビルディング』か。

こっちのシーズン4も超面白い。
9・10月はこの2本さえあればドラマ欲は満たせそうな感すらある。
地上波の日本ドラマの新作が始まる時期なのでそれはそれで困るのだけどw

本シリーズの魅力は大きく2つ

  • 先の読めないストーリー展開

  • どのキャラも魅力に溢れた群像劇

以下、本作の感想をネタバレ有で書いていきますので、未見の方は悪いことは言わないので今すぐApple TV+に加入して視聴することをオススメします。

言いましたからね?

この2つの要素には重なり合う部分もある。
主要キャラが無慈悲なまでにあっさり殺されて退場してしまうのだ。

  • シーズン1ではジェド・ムーディ

  • シーズン2ではミン・ハーパー

  • シーズン3ではジェームズ・“スパイダー”・ウェッブ

これらの面々が容赦なく退場させられてきた。
もはや「本シリーズはそういう作品ですよ」という宣言である。
前述のコメディが効いているから視聴者の「こんなに愛すべき奴らもう誰にも死んでほしくない!」という願いも強くなる。
この辺りはズルいwでも巧いw

シーズン4はそれが極まった幕開け。
なんとリヴァー・カートライト(ジャック・ロウデン)が死亡!?
もちろん普通のドラマなら「いやいや、いくらなんでも2番手のキャラは死なないでしょ」と構えることが出来るが、本作の場合は「いや、でも…」が拭いきれない独特の緊張感。
画面に釘付け。

ちなみに今シーズンの事件2つ(爆破テロ事件と“リヴァーの死”)が起きたのはまさに冒頭15分以内。
キム・ボトンの法則通り。
画面上は深刻な事件が起きてるのにブリティッシュ・ジョーク(?)が飛び交う会話劇。
過剰にシリアスにしない。
ほどよくコミカル。
引き込み方は完全に勝ちパターンですね。

また、本シリーズの特徴として監督がシーズン毎に切り替わるというのがある。
各シーズンの全6話は同じ人が一貫して演出する一方でシーズンをまたいだ登板は無い。

シーズン4の監督はアダム・ランドール。
正直なところフィルモグラフィー的には批評的にも興行的にもあまりパッとしない人ではある。
映画もテレビドラマも代表作みたいなものも無さそうだし。
それなのに(?)シーズン4の第1話は抜群に面白い。
シリーズ過去作にも見劣りしない。
誰がどう見ても“ちゃんと撮れてる”のはどういう魔法なのかw

演出の癖としては空撮ショットの多用があるのかな?
建物を空撮で撮ったカットが場面展開の度に挟まれるし、道路を真上から撮ったショットも印象的。
劇中のドローンをさらに外からもう1台のドローンカメラで撮った突撃シーンはそういう意味では第1話のハイライト?w
あのシーンは新長官とダイアナのコントラストも最高だったなw

あの頼りなさすぎる新長官はじめ新キャラも良さそうだし、今シーズンも残り5話めちゃくちゃ楽しみです。

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