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【感想】劇場映画『ヘルドッグス』
ヘルドッグス:深町秋生の『地獄の犬たち』を原田眞人監督が実写映画化。松岡茉優の役をはじめ今回も原作から大胆な改変。さらに原田作品としか形容できない台詞回し、アングル、カメラワーク、編集。坂口健太郎のイノセンスな魅力をああいう形で使うとは!はんにゃ金田も前作『燃えよ剣』から大出世w
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) September 17, 2022
観てる間ずっとニコニコしてた。
ストーリー的には全然そういう映画じゃないけどw
原田眞人という監督はいつも独特で変な作品を撮る唯一無二の映画監督だと思う。
(褒めてます。念のため)
今作でも炸裂しているその作家性は
原作の大胆なアレンジ
独特の言葉選びかつ速い台詞回し
スピーディーな編集(近作は必ず御子息の原田遊人が編集を担当)
キマりまくったアングルのショット
役者と共に動き回るカメラワーク
豪華というか「え!?この人!?」な抜擢があるキャスティング
とにかく変な映画を撮る人なのだ(暴論)
そして僕は毒にも薬にもならないような映画よりもこういうクセのある映画が好きだ。
先に注意点
とはいえ変な映画ということは合わない人には徹底的に合わないということでもある。
今作に関しては、それに加えて原作小説を読んでおいた方が良いと思う。
前述の通り非常に速い台詞回しでヤクザの組織内の多くの登場人物が出てくるため正直初見で追うの厳しいのではないかと。
1年前に公開されてヒットした『シン・ゴジラ』の「官僚演技の台詞が早口だったよねぇ」という記憶がまだ新しかった観客に「シン・ゴジラは親切設計だったのか…!庵野ごめん」と思わせた『関ヶ原』
しかも録音的な面でも台詞が聴き取れないという声が溢れる前代未聞のレビュー欄w
しかし、これはミスなんかではなく織り込み済みの演出だったそう。
セリフもあえて聞き取りづらくしたといい「薩摩勢の声が聞き取れないという意見があったが、何を言っているのかわからない奴らが来たという状況を表したつもり。聞き取らせようとあえて編集で音を工夫したのは一か所だけ。三成が陣地に戻ってきたときに左近の息子・信勝に対して“左近に会っていけ”と言った部分。演出面でも大河ドラマだったら光成が馬から降りて長々と話をするだろうけれど、これは映画ですから。あえてスピーディーにしました」とこだわりを紹介した。
これはストーリーを観客に把握させて全10話もしくはシーズンを重ねていくテレビドラマでは出来ない。
2時間を駆け抜ける映画だから出来る芸当。
僕は映画はストーリーよりも演出を楽しむ派なので乗れますが、ダメな人はとことんダメでしょう。
『ヘルドッグス』もその系譜に位置。
しかも架空のヤクザ組織の話なので、時代劇と違って歴史の知識で太刀打ちできる代物でもないw
原作からの改変
今回も原作のアレンジが大胆。
パッと思い出せる範囲だと
吉佐恵美裏(松岡茉優)は完全オリジナルキャラ
室岡(坂口健太郎)の幼馴染に関するエピソードは全て映画オリジナル
熊沢(吉原光夫)のオペラ要素は映画オリジナル
ウ◯コ何グラムのくだりも映画オリジナルw
象牙(『地獄の黙示録』オマージュ?)
書き切れないほど多いw
そういう意味でも原作を読んでから観るのがオススメ。
衝撃が倍増しますw
ちなみにシネフィルとしても知られる原田眞人監督(そもそもキャリアの出発点は映画評論家)ならではの改変ポイントはYouTubeで添野知生さんと松崎健夫さんが解説してくれている。
副題の「IN THE HOUSE OF BAMBOO」にはそんな背景があったのか。
全然わからなかったorz
前々作『検察側の罪人』では映画オリジナルのインパール作戦の要素が正直「これ原作と噛み合ってんのか…?」という印象もあったのだが、今回はストーリーの大枠は原作を踏襲しているのもあってかオリジナル要素が邪魔をしてるとは感じなかった。
原田眞人イズム(?)
やはり自分が上映中にスクリーンに向かってガッツポーズしたいぐらい(もちろんマナー的に自重しました)楽しんだポイントは演出。
特に今回はアングルとカメラワークが最高に変態的である。
俳優の顔をアップで撮った画を繋いでいく序盤も印象的だが、そこから役者の背中を追ってスピーディーに動くカメラワークが中心になっていき物語も一緒にドライブしていく。
恵美裏(松岡茉優)のドアの開閉でシーンを繋いだ編集も面白かったなぁ。
俳優の並びも豪華。
坂口健太郎はあのイノセンスな無邪気さというか、子犬キャラ感をあんな風に昇華させるとは見事すぎる。
ここまで積み上げてきた好青年の印象が一気に残高ゼロw
原作よりはサイコ感は薄めでしたけどね。
あとそういえば、尾上右近の役あれ何?w
はんにゃ金田!
お笑い好きとして触れないわけにはいかないのが三神國也を演じたはんにゃ金田。
原作の三國俊也に近いキャラクター。
原田眞人監督作品には前作『燃えよ剣』に続いて連続登板。
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公式に「インテリチキン」w
暴力はからっきしダメだがビジネス面で組を支えている若頭。
組を大きくしているのは俺だという自負は強いが、兼高(岡田准一)や室岡(坂口健太郎)に凄まれると一瞬でビビる。
この「舐められないように虚勢を張ってるけどヘタレ」というキャラクターが金田と合いすぎwww
ハマり役とはこのこと。
緊急代役で四千頭身・都築とオールナイトニッポンやった時のマウント取ろうとするムーブを思い出したw
#三四郎ANN のピンチを救うべく
— 三四郎のオールナイトニッポン0【毎週金曜深夜27時〜】 (@SanshiroANN) January 10, 2021
「#はんにゃ 金田哲と #四千頭身 都築拓紀のオールナイトニッポン」をお届けしました。
年の初めはタイムフリーと映画「ピンポン」で決まり!#金田都築ANN
⏬radikoタイムフリーhttps://t.co/8ug4I5HKQB pic.twitter.com/BLUBWyDoIb
あの放送は面白かったなぁw
こう書くとコメディリーフみたいに見えるかもだが、そもそもギャグ要素のある映画ではない。
お笑いに疎い人の中には「原田眞人の作品でしか見ない若手俳優だな」と思ってる人マジでいるんじゃないかな。
ちなみにエンドロールの名前は4番手(!)
岡田准一
坂口健太郎
松岡茉優
金田哲
さすがに笑ってしまったw
これを手土産にまたテレビやラジオで笑わせてほしい。