【感想】FXドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』シーズン3
The Bear a.k.a.一流シェフのファミリーレストラン
シーズン2の感想はこちら↓
今年1月にシーズン1がエミー賞10冠を達成
シーズン2は(奇しくもシーズン3の日本配信の翌日に)23部門ノミネート
まぁ今回ばかりは『SHOGUN 将軍』の25部門ノミネートにかき消されているけどw
下馬評だとドラマ部門は『SHOGUN 将軍』でコメディ部門は『一流シェフのファミリーレストラン』シーズン2が本命っぽいな。
個人的には『窓際のスパイ』や『マーダーズ・イン・ビルディング』も大好きなんですが。
ちなみに『窓際のスパイ』は待望のシーズン4が9/4(水)からスタート予定
そんなわけで配信当日を楽しみに待ち、夕方に早速第1話を開封したら度肝を抜かれた。
まるで映像エッセイのような、音楽に乗せて描かれるカーミーの過去と現在。
台詞はほとんど無い。
シーズン2の感想で本作の魅力は「音楽・劇伴に乗せたテンポの良い編集」と書いたが、敢えてそれを放棄した感すら漂う。
それでいて「本作らしさが無くてつまんない」なんてことは全然ない。
画面に釘付けの30分間。
こんな演出が出来るのは全10話を何シーズンも重ねられるテレビドラマ・テレビシリーズならでは。
2時間の映画では30分間をあの演出には捧げられない。
衝撃度という意味では『アトランタ』のシーズン3の第1話を思い出した。
まぁ衝撃の種類はちょっと(大幅に?)違うけどw
今シーズンどうなっちゃうの!?と思ったら第2・3話はこのシリーズの醍醐味が詰まったスピード感満載の作劇。
ファンの期待にもしっかり応えてくれる。
ただし編集テンポで魅せる演出は今シーズンはこの2話分に全投下という感じ。
第2話でカーミーが突如持ち出した「絶対服従」なる店の新ルールに
というものがあり、これが作り手からの「焼き直しのシーズンやエピソードはやらないよ」というメタな宣言にも聞こえてくる。
尚、こんな無茶なルールを誰にも相談せずに決めるカーミーには「そういうとこやぞ」としか言えないw
あと第2話のオープニングクレジット映像めちゃくちゃ良いんだよなー!
FXネットワークの公式YouTubeで公開中
日本配信に合わせるかのようにアップされてる!と一瞬興奮したが、冷静に考えたら「もう3週間経ったしええやろ」という北米基準で普通に公開されただけな気がしてきたw
さて、第4話から本格的に物語が動き出した今シーズンのテーマは
過去との決別
未来への継承
だと思う。
第5話には赤字削減を目指して慣習を止めるという話が描かれるし、逆に第7話はカーミーとマーカスが「何を遺せるのか?」という会話を繰り広げる。
何よりタイトルが『Children』と『Legacy』なのだ。
そのものズバリである。
ティナがなぜThe Beefで働くことになったのか?を描いた第6話(なんと監督はシドニー役のアヨ・エデビリ!)は間違いなく今シーズンのベスト回。
第8話はまさに子供が産まれる話であると同時に“母殺し”の話でもある。
そして第9・10話ではカーミーの師であるテリーの店の閉店が描かれる。
シーズン2限りのゲストだと思っていたオリヴィア・コールマンやウィル・ポールターがあんなにたっぷり贅沢に出てくれるとは!
店は無くなってもそこで働いていた人たちが魂を未来に継承し、またカーミーはパワハラ上司への私怨を(不完全燃焼ではあったが)清算した。
個人的にも自分は大学のサークルの先輩にパワハラされて(当時はパワハラという言葉を知らなかったので“厳しいご指導”だと思い込まされていた)今でも許してないからあのシーンは胸が痛かった。
もし再会することがあったらぶん殴ってやる。
そしてあの第1話がここに繋がってきてラストカットで円環が閉じる。
見事としか言いようがない…
歴史的傑作のシーズン2とテイストを変えた上でやっぱり傑作という離れ業。
こんな風にしんみりムードのエピソードが多い中で第5話にサミー役でジョン・シナが登場した瞬間は爆笑してしまったwww
ちょうど先日プロレスラー引退を発表したばかりだけど俳優としてはまだまだ元気な姿を確認できて何よりw
自分が中学生の頃からWWEで活躍していたと考えると正真正銘のレジェンドです。
長い間お疲れ様でした。
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