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鴨川の音風景を歩く〜京都の秋を感じる散策

京都の秋の空気が肌に心地よく触れる11月下旬のある日、私は3年生のゼミ生たちとフィールドワークに出かけました。北山から西へ、そして賀茂川(鴨川)沿いを歩きながら、京都の日常の風景に溶け込んでいきます。川のせせらぎ、紅葉の色づき、そして学生たちとの何気ない会話。この日の散策は、まさに五感で京都を体感する貴重な機会となりました。

秋も深まり、冬の気配が感じられる11月27日。私たち小松ゼミの3年生10人と共に、京都の鴨川沿いを歩くフィールドワークに出かけました。2週間に1回のペースで行っているこの野外活動は、今回で3回目となります。10月には動物園へ、そして貴船神社へと足を運び、今日はいよいよ鴨川の散策です。


北山から鴨川へ〜京都の日常を歩く

北山駅を出発点に、私たちは鴨川の西岸へと向かいました。この辺りは私が特に好きな場所で、人工的な風景が少なく、川沿いの道も広々としています。電柱もほとんどなく、自然の中を歩いているような心地よさがあります。

京都の魅力は、観光地だけでなく、こうした日常の風景にこそあるのではないでしょうか。普段着の京都は、ピンポイントで観光客が多い場所を除けば、静かで落ち着いた空間が広がっています。特に北山方面は、インバウンドの外国人観光客もあまり訪れず、とても快適に散策を楽しむことができます。

歩きながら、川の音の変化に気づきます。堰の近くでは音が大きく、そこから離れると静かになり、また次の堰に近づくと音が大きくなる。およそ50メートルごとにこの音の変化が繰り返されます。この自然のリズムに身を任せながら、私たちは歩を進めていきます。


北山から北大路までの賀茂川西岸を歩く

学生との交流〜歩きながらの会話の魅力

教室での講義とは違い、外を歩きながらの何気ない会話には特別な魅力があります。ポツポツと交わされる言葉の中に、普段は見えない学生たちの一面が垣間見えるのです。横顔を見ながら歩く中で交わされる会話は、本音や本質が自然と出てくるような気がします。

この「歩きながらの会話」という形式が、学生たちとの距離を縮め、より深い交流を生み出しているのかもしれません。教室内では話さないような話題も、歩きながらだと自然と口をついて出てくる。そんな瞬間を大切にしたいと思います。

秋から冬へ〜移ろいゆく京都の風景

鴨川沿いを歩きながら、季節の移ろいを感じます。紅葉はほぼ終わりに近づき、欅の木々は7〜8割ほど葉を落としています。冬の訪れを告げるような風景が広がる中、夕方に近づくにつれて日差しが柔らかくなっていきます。

目の前に広がる植物園の紅葉は、まだ鮮やかな色彩を保っています。西日に照らされた紅葉の美しさは、言葉では表現しきれないほどです。一瞬一瞬、光の変化とともに風景が移り変わっていく様子を見ていると、人生もまた同じように常に変化し続けているのだと感じずにはいられません。

この瞬間瞬間の美しさや変化を感じ取ることこそ、人生を豊かにする秘訣なのかもしれません。安定した感覚など存在せず、常に動き続ける世界の中で、私たちはそれぞれの瞬間を大切にしなければならないのでしょう。

京都の隠れた魅力〜北山から北大路へ

鴨川の北大路から北山にかけての西岸は、私が特に好きな場所です。周囲の人工的な風景が少なく、川沿いの道も広々としているため、ゆったりと歩くことができます。電柱もほとんどなく、自然の中を歩いているような心地よさがあります。

京都の音風景を楽しみたい方には、ぜひこのルートをおすすめします。地下鉄で北山駅まで行き、そこから西に向かって鴨川に出て、川沿いを南下するコースです。特に西岸は道幅が広く、歩きやすいのが特徴です。

北大路まで歩いてくると、日が傾き始め、冬の空の雰囲気が強くなってきます。3時半を過ぎたあたりから、急に暗くなり始める様子は、まさに冬の訪れを感じさせます。

この日の散策は、北大路から今出川通を通り、丸太町や四条通まで歩きました。全行程で4〜5キロほどになりますが、京都の日常の風景を楽しみながら歩けば、それほど大変な距離ではありません。

京都の日常を楽しむ〜混雑を避けた散策のすすめ

京都には観光名所がたくさんありますが、そういった場所を避けて日常の風景を楽しむのも一興です。混雑のない場所を選んで、地元の人々の日常生活の中に溶け込むように過ごすことで、新たな京都の魅力を発見できるかもしれません。

特に鴨川沿いの散策は、四季を通じて楽しむことができます。春には桜、夏には涼を求める人々、秋には紅葉、冬には雪景色と、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。そして、その風景の中に流れる川のせせらぎや鳥のさえずりといった音風景も、散策の魅力を一層引き立ててくれます。

今回のフィールドワークを通じて、改めて京都の日常の中にある美しさや魅力を再確認することができました。教室での講義では得られない体験や気づきが、こうした外での活動にはたくさん詰まっています。学生たちにとっても、きっと貴重な経験になったことでしょう。

最後に、京都を訪れる方々へのメッセージです。有名な観光地を巡るのも良いですが、ぜひ一度、地元の人々が日常的に歩くような場所を散策してみてください。そこには、ガイドブックには載っていない京都の魅力が隠れています。鴨川沿いの散策は、その入り口として最適です。四季折々の風景と音風景を楽しみながら、ゆっくりと京都の空気を感じてみてください。きっと、新たな発見と心の癒しが待っていることでしょう。

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小松正史
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