幾度かの気絶は臨死体験みたいだった。
何度か気絶をしたことがある。
一度は、軽く一杯やって当時住んでいたの実家に帰る途中の京王線の中。20代前半だったかな。
最寄駅に着いた瞬間、電車から一歩外に出た瞬間に気がついたらホームにぶっ倒れてた。
もちろん、周囲は騒然としてたんだけど、僕自身は頬から倒れたらしく、頬に擦り傷があるくらいであとは特に何も変わらなく起き上がった。
駅員さんがタンカを持ってきてくれたけど、「いやいや大袈裟な」とむっくり起き上がってそのまま帰った。
なぜか風呂から出た時くらいにびっしょりと汗をかいていた。
もう一度は新宿2丁目のゲイバーで、お会計も終わって帰る時に、立ち上がった瞬間に気絶。
起きた時は、周囲で恐れ慄くゲイの店員さんたちの表情が忘れられない。
その時も汗をぐっしょりかいていたし、起き上がってみると倒れた時に打ち付けた部分以外は、特に大丈夫だった。
その時一緒にいた誰もが、倒れた瞬間「死んだ」と思ったらしい。
大阪でツアーに行って飲んだ時も気絶したし、他にも何度か近いことはあった。
…というわけで、何度かの気絶を経て、湿度の高い時に酒をある程度飲んで急に立ち上がると気絶するのではないかとの仮定のもと、気を付けて過ごしている。以来、あまり気絶には至っていない。
前後で苦しいということもなく突然、プツンと切れる。ただの暗闇というか「無」みたいな感じ。起きた時には本当にタイムスリップというか。倒れていた間の時間がトんでる。
何もない。
割と臨死体験みたいな印象もある。死んだ時には、自分の意識もなく何もない感じなんだろうなと、感じています。
毎回、起きた時には、自分でも驚くくらいの汗をかいていて、体の毒素みたいなものが全部出ているような印象があって、意外と頭の中はスッキリとクリアになっている。最強のデトックス感がある。
なんとなく、PCが熱くなって再起動するような。そんなイメージがあります。
積極的に気絶したいわけでないけど、あれはあれでイイ体験だったなと思います。