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1週間で100近くのユーザー獲得‼︎プリセットのありようを変えた設計方法
約1週間で100近くのTurner BlendというCapture Oneスタイル(プリセット)を利用するユーザーを獲得しました。売り上げもそれに伴う数字です。
これによってどう変わっていくのか分析してみたいなと思っています。
(*あくまで個人的見解になります。)
Capture One限定ですが、これまでのスタイル(プリセット)とは大きく違い、単体でも機能する12個のプリセットをブレンドすることで色を作り出していく、プリセットを購入したその後のこともフォローするという設計によって、プリセットそのものあり方が変わったなと思っています。
デザイナーの視点でこの一連の流れを説明したいなと思います。
Turner Blendについて知りたい方はこちらの記事から
プリセットにおける体験
今回の視点は体験にフォーカス
プロダクトデザインを進めるにあたって、その過程の一つでデザイン領域におけるUXデザインというものが存在しています。
User experience design(ユーザーエクスペリエンスデザイン)の略称で、簡単に言えばユーザーの体験について使用時や使用後、買う前の一連の流れにおいて気持ちや体験、それらを分析し、設計するデザイン領域です。
プリセットのありようや体験が変わりつつある
ここ最近においてプリセットにパワーグレードの概念が持ち込まれており、プリセット自体のあり方、設計、体験が変わりつつあるなと思っています。
今回これを「プリセット3.0」と勝手に名付けています。
プリセット3.0の定義はこの後お話しします。
プリセットそのもののこれまでの流れを踏まえて、そこにどういう要素が組み込まれていっているのかを考察したいと思います。
プリセット2.0の定義
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プリセット1.0とは
それまではプリセットをただ単に各シーンに合わせたパックで販売されており、あくまで参照、あくまで分析用といったユースケースが多かったのです。そこに属人性はなく、現像ソフトメーカーのサポートのような意味合いが大きかったのでしょう。
これをプリセット1.0と個人的には位置付けています。
![](https://assets.st-note.com/img/1718507773369-8Zfmo3LmTP.jpg?width=1200)
インフルエンサー への憧れが生んだプリセット2.0
これまでインフルエンサーによって販売されてきたプリセット販売はプリセット2.0と名付けています。インフルエンサーという大きなフォロワーを持つ人たちが、自らに憧れるフォロワーに向けて販売していくといった手法です。
XICOのあきりんさんのプリセットや高橋伸也さんのプリセットなどが代表的な例でしょう。
あの人のような色を自分の写真に当ててみたい。という欲求を叶える他、プリセットを購入しリバースエンジニアリングを行うことで、その人の色の作り方を学ぶというものでした。
プリセット2.0の時代インフルエンサーや写真家によって質こそ担保されていますが、その質はプリセットという特性上、適用する写真の条件に左右されます。
プリセットそのものの質はどれほど高かろうが、適用する写真次第では一気に質が落ちることもあったのです。かくいう私もその流れに初心者の頃は悩まされていました。
プリセット2.0の時代において購入された後の使われ方については、購入者にお任せするというものでした。その後の処理はユーザーにお任せするという売りっぱなしのユーザー体験だったのです。
このユーザー体験の流れでは購入後の体験次第で購入者の体験が良いものになるのか悪いものになるのかは枝分かれしますし。そこに関しては販売者もコントロールできないものです。
プリセット2.0の定義は以下です。
プリセット2.0の定義
インフルエンサーによる販売:大きなフォロワーを持つインフルエンサーが、自らに憧れるフォロワーに向けてプリセットを販売。
フォロワーの欲求に応える:フォロワーがインフルエンサーのような色を自分の写真に当てたいという欲求を満たす。
学習の機会:プリセットを購入し、リバースエンジニアリングを行うことで、インフルエンサーの色の作り方を学ぶ。
質の担保:インフルエンサーや写真家によって質が保証されているが、プリセットの適用結果は写真の条件に左右される。
適用写真による質の変動:プリセットそのものの質が高くても、適用する写真次第では質が落ちることがある。
ユーザー体験の流れ:プリセット購入後の使用方法は購入者に委ねられており、購入後の体験次第で購入者の体験が良くなるか悪くなるかが分かれる。
販売後の体験をコントロールできない。
ここにフォーカスしてプリセットあるいは、スタイルのあり方を変えてみようと画策しました。
プリセット3.0の定義
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プリセットにはフォローがない
プリセット販売における最大の弱点は、購入後のフォローがないこと、そもそもの環境違いによる万能性のなさ。ここに尽きます。
ここをUXデザイン視点で改善していくことが始まりでした。
色がいいと言われるCapture Oneへ移行したのが2023年の10月末。
Lightroomからの移行において再度スタイル(プリセット)を作り直すのに辟易としていました。作っても作っても修正がかかるのはもはや時間の無駄という結論に至り、3色の色から作り出すのではなく12色の色を作ってその中で色を作り出す方が、最短距離で望む色を作り出せるのではないか?と考えたのです。
参考になったパワーグレード
この混色というところはいわゆるパワーグレードという昔から存在するシステムです。
パワーグレード自体の存在は動画を制作する人には当たり前のシステムですが、静止画ではあまりみられないものでもあります。
少なくともこの日本においては、林さんのMonetが大きな発端としてDavinci上でもたらされました。
パワーグレードとは
動画におけるパワーグレード(PowerGrade)とは、カラーグレーディングソフトウェアでよく使われる機能の一つです。特にDaVinci Resolveというソフトウェアで一般的です。
パワーグレードは、複数のカラコレクション(カラー調整)の設定をまとめて一つのテーブルに、異なるクリップやプロジェクトに再利用できる機能です。これにより、一度設定したカラーグレーディングのスタイルを簡単に他の映像にも適用できるため、作業効率が向上します。
具体的な使い方としては、以下のような流れになります:
カラーグレーディングの作業: 特定のクリップに対してカラーグレーディングを行う。
パワーグレードとして保存: そのカラーグレーディング設定をパワーグレードとして保存する。
他のクリップに適用: 保存したパワーグレードを他のクリップやプロジェクトに適用する。
という内容になります。
動画においては過去から存在し、カラーグレーディングにおいてある一定の統一感や質を保つことができます。
これを利用したプロダクトは海外のサイトを見れば多く見つかります。
ここ最近でもけんちゃんのRoamなんか有名ですね。
大林京太郎さんもそうですね
とりあえず自分のものも
プリセットが持つ欠点
プリセットを購入した際に使ってみたらなんか色が違った、調整することが多いなど、多くの問題が発生することはみなさん体験していると思います。
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これを図にしたものがこちらです。
図としては単純なものですが、ユーザーの購入時のテンションの動きです。
当てた後の失望を感じさせない、むしろここからアップさせるにはどうするか?
これらを見直すところから始まります。
それは当てっぱなしで全てが解決するプリセットはないというところから始まります。
プリセットを買って使いたい人の最終的な目的はどこか?
・現像作業をすぐ終わらせたい
・色をすぐのせたい
・オリジナリティのある色を作り出したい
・あの人の色を再現しながらそれを超えていきたい。
・マンネリや手癖から脱出したい
あくまでプリセットを買う人にとって求めている最終的な位置は、あの人の色を再現したいではないはずです。
あの人は憧れだけど、クリエイティブをやる上で自分のオリジナリティを作り出したいというのは当然の欲求です。
つまりあの人を越えないといけない。
ただそれができないが故にプリセットはインフルエンサーの憧れを利用したもので売るという方向に向かっていました。それらをリバースエンジニアリングして、その勘所を掴むというのがこれまでの流れでした。
みちしるべを与える
絵の具を作りそれを混ぜることで色を作ってもらう。12色の色さえあれば3色から作り出すよりもある程度以上のみちしるべが出来上がっている。
プリセット3.0は極めてニュートラルに近づける必要があり、それらを利用することで向かうべき方向を想起させる設計が必要になります。
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「白って200色あるねん。」っていう言葉は有名ですが、赤にも青にも200色あるんですよ…それらがグラデーションによって繋がっているのが色相環です。さらに明暗まである。ここから設計者が12色ある基準以上のものを選び出し、これらを組み合わせたらより良くなるということを考え出すのが、パワーグレードを利用したプリセット(スタイル)の真髄です。
12色なのである意味最大公約数的な色になります。よりニュートラル、より幅広い概念のプリセットなのです。
これを選び抜くところに作成者のオリジナリティが込められてきます。
今回のTurner Blendを作成するときもそこに徹しています。
自分の色を出すことも目指してそれを構成するさまざまな色の要素を最大公約数的に分類していきます。
最大公約数は多くを含むがゆえにそこからコネクリ回せば、細分化されたものはいくらでも出てくるという考え方です。
色の構成も以下のように設定してきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1718509101148-fNLBG0PHMQ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1718509106339-ooRoRVNJSj.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1718509110531-ss5BPb40xi.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1718509114852-l6Vt62PbFk.jpg?width=1200)
3つのグループ4つの構成でそれぞれ向かう方向を切り替えて設計することで
4つの色の傾向を定めています。
これをランダムに混ぜたときに、色が構成されるよう考えています。
使う人それぞれにオリジナルができる
作り出された12色から色を作り出すとき、利用者のオリジナルが出てきます。あくまで土台に徹するあくまである水準まで押し上げるという考え方を持つことで、この混色プリセットのシステムが成り立ちます。
これは市販されている絵の具と同じです。
原色のまま出せばその絵の具の色ですが、混ぜることでクリエイターの色になっていく。
それらの質が高ければ高いほどより多彩に高品質になる。
設計力が問われます…
それがプリセット3.0のあり方です。
プリセット3.0の定義
極めてニュートラルな数色:混ぜ合わせるスタイルを選び抜く
各色のスタイルの質:組みわせても問題ないようなバランス
組み合わせる色の量:組みわせる色の多さが望む色へのショートカットに繋がる
色の設計力:そのスタイルの組み合わせからどう生まれていくか考える力
色を認識させる体験:そのスタイルがどう機能するかユーザーに認識させる
購入後の体験フォロー:購入後に使えなかったと思わせないデザイン
開発時間の膨大さ:上記バランスを見るために長大な開発時間がかかる
高額:開発費回収によるコスト上昇
プリセットのこれから
![](https://assets.st-note.com/img/1718510207412-qfQPwh7zkj.jpg?width=1200)
どっちが悪いというわけではない
2.0、3.0といった言葉を使いましたがどちらがいいとか悪いとかいうわけではないです。
どちらもメリットがあり、デメリットがあります。
2.0の方がよりわかりやすく、短い開発時間で展開ができます。
3.0はソフトによって左右され、作れないものもできます。
3.0にはその人のオリジナリティを出せないという欠点も出ます。
その売り方、誰に向けて売りたいのかで選ぶべき道が出てくるので、どうしていくべきか考えるのが真の意味でユーザーフレンドリーです。
今回はプリセット、私が出したのはスタイルですがそれを作っていくにあたってどういうふうに考えていたかを、これから作りたいという人の一つのみちしるべになればと思っています。
最後に
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ではまた