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①過度な有酸素運動は寿命を縮める
運動ではランニングのような有酸素運動をやり過ぎるということが見受けられますが、ところかえって過度な有酸素運動は身体に良くないという事実が示されています。
特にマラソンを日々の習慣にしている人は、ガンにかかっているのと同じくらい免疫力が低下するという事実があります。
2007年に「スポーツメディスン」誌に掲載された論文では、この悲しいニュースが確認され、また一過性の持久力運動(マラソンなど、筋肉量が急激に減少するような運動)が身体に悪影響を及ぼすという証拠が次々と発表されています。
これまでに発表された長距離走に関する研究論文のほとんどは、長距離走が心筋の繊維化を起こし(心臓が硬くなる)心筋の瘢痕形成を悪化させることを示しています。
特に右心室の心臓細胞を死滅させることで心臓にダメージを与えるそうです。
一時的な運動による軽度のストレスは身体に良い影響を与えますが、長距離走は心臓への負担が大きすぎるというわけです。
身体を気遣いながら運動する
適度な運動は抗酸化作用を促し、フリーラジカルによる酸化ストレスから体を守ります。
一方で疲れるまで運動することは、逆にフリーラジカルによる酸化ストレスを作り出します。
その結果、体の細胞が傷つきボロボロになる。
さらに思わぬデメリットもあります。
先ほど挙げたような長距離走のような持久運動は腸の透過性を高めてしまいます。
血流が筋肉に流れて腸から血が離れるため、腸で虚血(血流不足)が起こるからです。
すると、腸からレクチンやLPS、細菌など体内に漏れてしまい、身体の中で炎症が起こります。
そして持久走の後に二週間ほど免疫が低下するのは、このためだとされています。
炎症は肥満を起こす要因にもなるので、強度の高いランニングなどは推奨できないのです。
古い概念を刷新する
これまで誤ったカロリー計算や代謝の仕組みの誤解から健康のために何kmも走ったり、エアロビクス運動を何時間も続けたりしなければならないという考えに陥っていました。
ところが何年も前に腸内細菌微生物叢の存在と、摂取したカロリーの消化吸収を、腸内細菌がコントロールしている事実が認識されたことで、これまでのカロリー収支バランスのルールは終わりを迎えています。
にも関わらずインターネットやソーシャルメディアを覗けば、これまでの古い概念を手放そうとしていない方がたくさん見受けられます。
そのせいで、ジムに通っていないことで自己嫌悪に陥っている人もいます。
実のところ進化生物学的な観点から見ると、運動プログラムに関わらず
つまり、運動をやってもやらなくても身体はカロリー消費量が調整されることが証明されています。
初期の人類の運動に倣う
人類史の観点から覗くと、最も人に適した運動はゆっくりした動作が理に適っているそうです。
初期の人類の狩猟採集スタイルでは、傷ついた動物を捕まえたり、動物の攻撃から素早く身をかわしたり、近くの木に飛び乗ったりするときの短距離の速さが役立っていたそうです。
それ以外の場面になると、ゆっくりとした確実な動きが求められていて、歩きながら食べ物を探したり、見つけたものを集落に持ち帰ったりするという、ゆっくりとした動作がメインです。
こうした動きを再現することこそ、人の身体のメンテナンスを行う運動とされています。
また、長寿で健康的なブルーゾーンに住む人々は、長距離を走るのではなく、ハイキングをしたり歩いたりしていることから、このゆっくりとした運動の効果に説得力を持たせてくれています。
運動は身体にも心にも効果的、ただしやりすぎは禁物
身体がブドウ糖の代わりに脂質を燃料とするようになる状態になると、適度に活動的な生活を続けることは大切です。
ところが血糖値を低く抑えているときに、高負荷の運動を行うと身体が筋肉を分解し、それを肝臓でブドウ糖に転換させエネルギーにします。
そのため、ウォーキングや静的なストレッチ、スクワットやプランクなど、ほとんど誰にでもできて長期的に続けられる素晴らしい運動だと思います。
血糖値を抑えてくれる上に、炎症を引き起こす分子に信号伝達するサイトカインを減らしてくれるのです。
散歩やウォーキングでは歩くことで気分も良くなり、自己肯定感も高まります。
また歩いている時間が多いほど、座っている時間が少なくなります。
座っている時間が少なくなれば、様々な慢性疾患を引き起こすリスクも排除できます。
また、複数の調査によっては週に数時間歩くだけで乳がんのリスクの低下になることも判明しています。
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