見出し画像

解決策の罠~解説編~

【ラジオ体操9日目】

こんばんは。
昨日、問題編をアップしてから早く解説編を投稿したくて1日中ムラムラし続けていたコマリストです。

ということで、早速ですが、昨日の問題の解説編について書いていきます。
問題編を読んでない方は、コチラから
読むと今日の内容が分かりやすいと思います。

まずは、皆さんが一番気になっているであろう、『実際に施された解決策』をお伝えします。

その内容は、
各フロアのエレベーター横に”鏡”を設置した。です。

この答えを初めて聞いた、私の頭の中には『?』がいっぱいでした。
答えを聞いただけで”なるほど!”となった人は、すごいです。
#尊敬しちゃう

理解できない!という私みたいな方のために、丁寧に解説していきます。


まずは振り返りから。
問題は、
あなたは、問題解決の専門家として、とあるビルオーナーから相談を受けました。

相談者が所有するビルは、50階建てで築5年の比較的新しいものです。
1階から30階までは居住用として使用され、31階~50階まではオフィス用として貸し出しています。

このビルのオーナーからの相談内容は、
「最近、高層階の企業から、『エレベーターの待ち時間に困っている』といったクレームが頻繁に寄せられているのですが、良い解決策はないでしょうか?」というものでした。

思い出して頂けましたでしょうか。

そして、問題編の最後に、考えるための視点と手順についても触れましたが、
①オーナーの困りごとを明確にすること
②クレームを出している側が置かれている状況と、気持ちを考えること
③このケースの”問題”を正しく定義すること
④問題の具体的な解決策を出すこと
⑤実現可能性を考慮すること

これらについて、少し丁寧に書くことで解説していきます。

①オーナーの困りごとを明確にすること

明確にするとは、”文字にする”ということです。

オーナーの困りごとは、
「解決策を教えてほしい」ではありません。

正しい困りごとの定義は、
『寄せられているクレームを無くしてほしい』です。

同じことじゃないかと思った方、要注意です。
あくまでもオーナーは"クレームを無くしてほしい"と訴えているだけであって、"待ち時間を無くしてほしい"とは言っていません。

②クレームを出している側が置かれている状況と、気持ちを考えること

オーナーの困りごとが明確になったので、次はクレームを出している側の立場に立ってみることが重要になります。

いやいや、だから待ち時間が長いからそれを無くしてほしいんでしょ?
と思った方、もう一度問題をよく読んでみて下さい。

クレームを出している方のペインは、
「待ち時間が長いこと」ではありません。

正しいペインの定義は、
「待ち時間に不満を感じてしまうこと」です。

これも、同じことじゃないかと感じた方がいるかもしれません。
ですが問題文には、『待ち時間に困っている』としか書いていません。
つまり『待ち時間が"長い"』とは言っていないんです。

③このケースの”問題”を正しく定義すること

相談者の要望と、クレームを出している方のペインが明確になったので、あらためて、どんな問題を解決する必要があるのかということを明確にします。

問題の定義は、もうわかると思いますが、
「待ち時間が長いとのクレームが多いので、解決策を提案すること」
ではありません。

正しい問題の定義は、
「待ち時間に感じる不満を解消してクレームを無くすこと」です。

これらが別物であることは、ご理解頂けていると思いますので、説明しませんが、「待ち時間に感じる"不満"」という部分にフォーカスしましょうということです。

④問題の具体的な解決策を出すこと

ここまでたどり着くことができれば、冒頭にお伝えした「鏡の設置」がなぜ効果的であったのかを理解できていると思います。

これは、エレベータの前に置いた鏡によって、エレベータを待っている人が、そこを覗き込み、身だしなみを整えたり、後ろにいる魅力的な異性に目をやったりする時間が増えたからです。

つまり、エレベータの待ち時間ではなく、「エレベータの待ち時間として認識される時間」が、激減することになった。

 つまり、「鏡をおくこと」で、「エレベータの待ち時間は何一つ変わっていない」のにもかかわらず、その時間を「待ち時間」として認識しなくなった、ということです。

ということで、『鏡を置くこと』が唯一の正解ということではなく、「エレベータの待ち時間を"待ち時間"として認識させる時間を減らす」ことができる内容であれば全て正解です。

⑤実現可能性を考慮すること

もう「答え」は出ていますが、このケースに限らず問題を明確にして、解決策をいくつか並べた後に実施する必要があるのは、効果・コスト・時間などといった制約条件を検証して、より実現できそうなものに絞り込むという作業です。

これを実現可能性評価(フィージビリティスタディ)なんてカッコよく呼んだりしますが、全然カッコよくありません。
#横文字にすりゃいいってもんじゃない
#漢字の方はそのまま

この作業を実施することで、各ケースの制約条件に合致する『最適解』を見つけていきます。

そして、その最適解がエレベーターのケースでは「鏡の設置」だったということですね。


まとめ

昨日の問題編から連続で読んで頂いたことで、いきなり解決策を考えることよりも、「問題を正しく設定すること」の方が100倍重要だということを感じて頂けたと思います。

手順通りに見て頂くと、『問題の設定』さえ間違えずにできていれば、解決策の検討なんて、”簡単だ”とすら感じたかもしれません。

今、世の中には毎秒何万個、何億個というレベルで新しい「問題」が生まれています。けれど、果たして正しく問題が設定されているものはどれくらいあるのだろう?
そんなことを考えながら、モンモンと過ごしています。

皆さんが今抱えている『問題』について、改めて正しく設定できているかという視点で考え直してみて下さい。もしかしたら新しい発見につながって、一気に解決!なんてことも起きるかもしれません。

じゃ、またね♬

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?