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君の名は。
普段は訪問看護からの訪問リハビリに従事しています。
今回は少し昔の話を思い出したので書かせてもらいます。
これは私が精神科にいた時の話です。
皆さん、精神科にどんなイメージをお持ちですか?
突然大きな声を出す人がいる?
突然笑い出す人達がいる?
壁に向かって独り言を話している人がいる?
きっと色々なイメージをお持ちの方がいると思います。
ただ精神科に入院している人は前述したイメージのような人も時に居ることもありますが、大体は真面目ゆえに色んな事を考えすぎて入院してしまっている方々だと思います。
今回はそんな方々のちょっとした、本当に何気のない日常の話です。
精神科に限らず、リハビリの職に就いていると誰しも経験がある話だと思います。
何気ない呼び方ですが“先生”と呼ばれることがよくあります。
本当にこれは何も特別なことではなく、患者さんに限らずその家族だったり、病院の看護師や介護職の人にもそう呼ばれることがあります。
また精神科においても、患者さんや職員からもそう呼ばれることがあります。
ただ私としては、教員免許は持っていないし、偉い教授でもないので違和感がありました。
そこで、精神科作業療法へ参加していたと患者さんになぜ”先生”と呼ぶのかを聞いたことがあります 。
周りの職員も呼ぶし、他の患者さんも呼んでいるため何となく呼んでいるのかなと思ってましたが、その患者さんの返答は驚くべきものでした。
以下にやり取りを載せていきます。
「○○さん、○○さんちょっと聞いてもいいですか。
前から少し気になっていたのですが、なんで”先生”って呼ぶのですか。
自分自身、教員免許は無いので先生ではないと思っているんですが…」
「えっ?だって色々と教えてくれるから先生じゃ無いんですか?」
「まぁ一通り作業活動はできますが、カルチャースクールの人ほど
応用が効くわけでも無いので先生とは程遠く無いですかねw」
「そうかもしれませんねw
ただ先生って呼べばホイホイ何でもしてくれるでしょうwww
だから先生って呼ぶんですよ。
それに先生先生って呼んでれば名前を覚える必要もないしw」
「あぁ…そうなんですね…w
ありがとうございます。」
とまぁこんな会話でした。
そうです精神科の患者さんの一部の人達は療法士の名前は覚える必要もなく、先生と言えばいい顔をして、自分たちに良くしてくれる存在としか認識してない人もいるわけです。
周りの職員なども同じように呼ぶため、ただそう呼んでいる人もいます。
作業を教えてもらっているので先生と感じて、親しみや感謝の気持ちで呼んでいる方もいます。
ただ中にはそうでもなく呼ぶ方もいるということも確かです。
“先生”と呼ばれて気分を良くし、本来の作業療法士の役割を忘れていませんか。
──── 『ただ作業を教えてくれる人』
こんな風に思われているのは悲しいことだと思いませんか。
精神科における作業療法士の役割とは何でしょうか。
作業を提供することだけに囚われていませんか。
ただ一緒に作業しているだけになってはいませんか。
作業を通じて何を引き出しますか。
提供している作業は日常生活のどんな活動に落とし込めますか。
作業療法という仕事は、働き方によって色々な捉え方をされます。
私が精神科で働き始めた時には、作業療法室で患者さんと一緒に作業をしているだけ、一緒にテレビを見ているだけ。
そんな療法士が多くいました。
そのため、他の部署の人からは「遊んでいて高い給料もらえていいね」などと言われることもありました。
そんなイメージを変えたく思い、病棟の職員を巻き込んで色々な仕組みを考えて実施したこともありました。
それはまた追々書いていきたいと思います。
途中脱線してしまいましたが、他者からの呼ばれから一つとっても、色々な意味合いがあり、真意は改めて聞いてみないと分からないと感じた話でした。
皆様も、自分がどう呼ばれているか意識してみるだけで、気づけることがあるかもしれませんね。