子どもの成長を支える10の姿〜日々の保育への取り入れ方〜
10の姿とは
10の姿とは、『幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿』のことで、
厚生労働省が出している保育所保育指針に記載された5歳児後半の子どもの育ちの方向性のことです。
保育園だけではなく、幼稚園、こども園にも共通される指針です。
また就学の際、保育園、幼稚園、こども園側と小学校側が、子どもの姿を共有するためにも必要になる共通の目安でもあります。
10の姿は、就学前までに育ってほしい子どもの姿や能力を、5領域をもとに10個の視点からまとめています。
指導計画を作成する時の10の姿の活用法
保育士は保育園での子どもの様子や姿を観察し記録しています。
この10の姿を目安とし、保育園生活の中で自然と育っていくよう活動などを工夫したり、指導計画を作成したりしています。
私が指導計画を作成する時に二つの方法で10の姿を活用しています。
一つ目は、遊び(活動)を10の姿と関連づけるという方法です。
・体を使う遊びでは、
【健康な心と体】【自然との関わり・生命尊重】【豊かな感性と表現】を含みます。
・頭を使う遊びでは、
【思考力の芽生え】【数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚】を含みます。
・人と関わる遊びでは、
【協同性】【道徳性・規範意識の芽生え】【社会生活との関わり】【言葉による伝え合い】
を含みます。
これらを支えるのが【自立心】で、子どもが主体的に取り組むことが子どもの育ちの土台を作っていきます。
計画する活動を10の姿と関連づけてみて、
バランスよく組み立てられているか、活動に偏りがないかを考慮し、計画を作成する方法です。
二つ目は、子どもの姿と10の姿をみたときに、育てていきたいと思われる項目から、活動を組み立てる方法です。
例えば言葉での伝え合いが難しい場合、
みんなで話し合う時間を設け、子どもたちが話し合いたいことを話し合う機会を作ったりします。
自分の意見を伝え、相手の意見も聞くことの繰り返しが、言葉での伝え合いを育てていきます。
「主体的かつ対話的で深い学び」に大切なこと
10の姿は必ず達成しなければいけない課題ではなく、あくまでも方向性ですので、到達目標ではありません。
ただ、保育士はこれらを意識しながら保育を行っています。
今の日本では、主体的・対話的で深い学びを強調されることが多いです。
主体的とは、子ども自身が「やりたい」と思って取り組むことです。
自分が興味や関心を持ったこと、自分が決めたことじゃないと、しっかり身についていかないのです。
子どもたちが自由に遊んでいるだけのように見えるかもしれませんが、主体的な遊びの中でこの10の姿のいろいろなことが関わってきます。
保育園での一日のほとんどを一斉保育にしてしまうと、「先生に決められたこと」「先生に言われたこと」だからと、
やらされているという感覚を持ちながら、取り組む子どもが少なからずいると思います。
ここで大切になってくるのが主体的な遊びであること。
そして対話的であること。
先生が一方的に決めて遊びを設定するのでなく、子どもたちと対話してルールを決めたり、遊びを考えたりすることが良いと思います。
保育士の専門性が発揮できるところは、「主体的・対話的で深い学び」と10の姿の方向性を関連づけていくところだと私は考えています。
保育士としての私たちの役割は、子どもが自ら興味を持ち、関心を示すことを促すことです。
日々の生活や遊びの中で、子どもたちがどのように興味を示し、どのように学びを深めていくかを観察し、支援することが、より豊かで深い学びと成長へと繋がっていくと思います。