いい感じに作るテクニーク 感情で出発してデザインで伝える [note]
むかしむかし、WEB制作のディレクター兼コーダーとして働いていたころのお話。納品の際に
「いい感じですね」
と褒めてくださるHさんというクライアントがいた。
「いい感じですね」という一言は嬉しかったが、納品に至るまでのダメ出し量は半端なく、時には終電を逃したりもした。しかし、その修正内容や指摘は的確で、出来上がったものは、まさに「いい感じ」だった。
そのうちに「いい感じ」という言葉が自分の心の隅っこに居座って、技術書やノウハウ本をよく読むようなったのだが、どこにも書いてないんだよね、「いい感じ」の作り方が。
そんな感じで何年か過ぎ、知識を詰め込むのにも飽きてきたころ、こうやって作ればいいんだと閃きました。
---
ということで、今回は「いい感じ」に仕上げるコツのひとつをnoteします。
以前、アートとデザインの違いを書きました。
アートは感情を表現したもの
デザインは目的を達成する行為
アートとデザインは共存できる
といった内容でした。
これを応用して、いい感じに創作物を仕上げましょう。
やや抽象的でフワッとした内容ですが、その分、noteやイラスト・漫画など、応用できる範囲が広い考え方で、何をすればいいか迷わなくなります。
大事なのは、テクニックや知識ではなく、作る際の順番です。
アートで着想
何かを見て聞いて、心を動かされるのは、それに込められた感情を読み取って共感したときです。それが、自分の体験した感情と重なると、より強くなります。
逆に言うと、込められた感情を、受け取り側が読み取れないと、共感したり感動することはありません。
ということは、喜怒哀楽を込めればいいのだな!
という発想になった人は要注意です。
確かに良い作品には感情が込められていますが、それを狙って作ろうというのは、デザインの範疇です。
研究を重ね、試行錯誤を繰り返した映画監督・小説家のような人たちなら、脚本の立てテクニックを使って作品を作ることは可能かもしれません。
ですが、そういった創作のプロであっても、こうすれば感動するだろうと計算して作品を作り始めるわけではなく、多くは、日常で自分が感じた小さな感情から着想して構想を練り上げていきます。
興味のある方は、好きな作品名・着想で検索を。
逆に、おもしろものをデザインしようとして作り出したものは、つまらなく感じるものです。
こうすれば笑うだろうと思いついた作り話や、上手く聞こえるように演奏しているギターの弾き語り。感動させようとしているなと感じる映画など、白けてしまったことはありませんか?
共感できる感情がなく、作り手のエゴが見えてしまうと、作品はつまらなく見えてしまいます。
そうならないよう、何かを作るときは、自分が感じたことから出発します。
なんとなく避けてしまうこと、何度も足をはこんでしまう場所、何度も見るyoutue動画、自分の趣味の共通点。
そういった日常の行動から、自分が感じていることを観察する。そこから着想して、これをどう表現しようか?とデザイン思考に進みます。
これは何も、小説やマンガに限ったことではなく、ブログや情報サイトなど、感情と関係さなさそうなモノにも当てはまります。
旅行に行った時に感じた不便さをブログで書いてみる。その不便さを解消するための情報をまとめるサイトを作る。買った小物のかわいさを深掘りして、同じかわいさを持つ小物を探してまとめる。
などなど、感情から出発することで、結果的に言語化できないような小さなニーズの掘り起こしに繋がりやすくなります。
デザインで伝える
感情で着想したら、次は、それをどう伝えればいいだろうか?と、デザインしていきます。
ここでいうデザインは視覚的なデザインに限らず、伝えるための方策から、構築するテクニックまで、すべて含めます。
noteやブログの文章でいえば、
・文章構成
・キャッチ画像
・読んでもらいたい人へ、どう届けるか?
.etc
このあたりのテクニック的なことは、創作物によって違うので、評判の良い本を数冊読んで、上手い人を観察しながら腕を磨けばよいと思います。
ただし、デザイン全般で注意したいことがひとつあります。
それは、目的が達成できているか、チェックリストを作っておくことです。
デザインには目的があるので、評価されるべきもの。と、以前書きました。
ですから、評価するために、目的を達成できているか確認するために目標を設定しておいたり、そこまでしなくても、必要なことが盛り込まれているかチェックリストを作っておくようにします。
チェックリストは、どのようなものでも構いません。
✅ 伝えたい感情は何か?
✅ それをうまく表現するために適切な方法を使ったか?
✅ 気に入られようとして書いていないか?
自分がデザインしようとしていることが達成できているか、問いかけるだけで役に立ちます。
文章作成に限って言うと、アイデアのちからで紹介されているSUCCESsの法則を、チェックリストとしてよく使っています。参考まで。
まとめ:感情で出発してデザインで伝える
デザイン(テクニック)から作り出すと、作り手のエゴだけが目につき、つまらない作品になりがち。
アートのように感情から出発することで、共感につながるモノを作りやすくなる。
感情で出発してデザインで伝えよう
あとがき
感情をこめろとは、よく言われることで、当たり前と思われるかもしれません。ですが、テクニックが身につくにつれ、このことを忘れてしまいがち。
そうならないよう、必ず感情から着想する習慣を身につけて「いい感じ」に近づけよう。
あと、当時、的確な指摘をしてくださったHさんには感謝しかありません。でも、この文章へのダメ出しはご勘弁ください。
---
目次はこちら↓
noteの書き方の副読本としてどうぞ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?