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【2025年1月21日】デモポリー

 先日「デモポリー」なるゲームをする会が開かれ、市議会議員と市職員それぞれの有志が参加した。

 ほかのプレイヤーや市場、国庫との間でお金を払ったり受け取ったりしながら駒を進めていく、モノポリーのようなすごろくのようなゲームである。社会の仕組みや民主主義について学べるとされている。

 各プレイヤーにはキャラ設定された動物が割り当てられる。私に割り当てられたキャラは「みんなの幸せが夢」という素敵なヤツだった。職業は介護職員。このキャラの目指すゴール(ゲームのゴール)は、「すべてのプレイヤーの資産が、スタート時より2倍以上になること」だった。

 途中、政権を決める選挙があった。さまざまな政党が政策を発表し、投開票が行われた。政権を握ったのは「平等実現党」。ベーシックインカムが導入され、お金の流れ(ゲームのルール)がそれまでと変わった。 

 そうして引き続きしばらくゲームを進めると、突然ニュース放送が流れた。平等実現党のベーシックインカム政策により、勤労意欲を失った若者が出てきて社会問題になっているというのだ。

 うーん、そうくるか。

 私のゲームキャラ的には「ベーシックインカム、いいんじゃない?」だったのだが(投票した)、負の影響もあったわけだ。

 これが現実社会なら、どうなるだろうか。

 数年前、ある共同体的な場に暮らす人が「ベーシックインカムについてどう思う?」と私に聞いてきたことがあったのを思い出した。彼女は「人の集団があれば、一定数は必ず怠ける人が出てくるんですってね」と、蟻の集団の話を引きながら含みあることを口にしたのだった。私は何と返したのか覚えていないが、日々いろいろ考えて生活されていたのだなあと思った。

 その数年前のこと、別の友人が「人間の労働がAIなどに取って代わられたら、人は芸術等の活動に勤しむのではないか」と私にポジティブなトーンで語ったことがある。「うーん、どうかな。創作に関心がある人ばかりではないし…」というのがそのときの私の感想だった。

 ゲームの中でのベーシックインカムの擬似体験に、そんな友人知人らの言葉を思い出したのだった。

 先日、就職氷河期世代の高齢化問題について「置いてけぼりにされた彼らにベーシックインカムを」という意見をネットで見かけて、なるほどなと思ったところでもあったが、いずれにせよこの件、私は熟考できていない。

 話はゲームに戻る。

 私の動物キャラの目標「すべてのプレイヤーの資産が、スタート時より2倍以上になること」は実現ならなかった。しかも、各プレイヤー当初の資産の格差は、逆転することもなかった。サイコロを振るという運と、どんなプレイヤーが揃うかという運、それから選挙結果によってもゲームの流れは変わるので現実社会とはもちろん違うのだが、格差解消って難しいのかなとちょっとしょんぼりした。

 とはいえ、おもしろい体験だった。

 長年忘れていたけれど、モノポリーもおもしろかったな。

 6歳のころ英語版で遊んでいたのでわからないルールも多かったが、とても好きなゲームだった。あれもまたどこかでできるといいな。

撮影:丸橋ユキ

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