見出し画像

【音楽連載】旅する輪ちゃんドタバタ劇場 vol.7|音楽と文:輪(りん)@石垣島|「みんなのうた」

また4月に遡って・・・
石垣島に移住してから7年ぶりで、桜の時期に故郷を訪れました。

最初に言っちゃうと私の故郷は、「七沢温泉」という温泉が湧いている神奈川県でも自然の豊かなところで、とても恵まれた環境で生まれ育ちました。

実家に帰るといつも、今は亡き祖母がしていたように、近くの神社(氏神様)まで、お参りに行きます。
祖母は90歳近くまで、なかなかの坂道を毎日、自分の足で歩いて家族の健康と幸せを祈ってくれていました。手を合わせると、祖母がいつも唱えていた言葉が脳内で自動再生され、私もその言葉を強く願う。

そしてその行き帰りの道を彩ってくれる野の草花たち。
石垣島のワイルドで極彩色な植物ももちろんいいけれど、子どもの頃から慣れ親しんできた小さく素朴な草花たちは、ずーっと見守ってくれているようでほっとする。
そんな草花の名前を入れた曲が出来た。草花どころか、鳥や虫たちや季節ごとの美味しいものがいっぱい出てきて、てんこ盛りになってしまった。

今回、ちょっと長く実家にいて、家の片付けをした。
私が父母に送った手紙や父母の結婚式の記録やら曾祖父からの遺産相続の書類まで出てきて驚きながらも、その行為はまるで過去への旅のようで、真摯な思いと(捨てないといけないという)冷静な気持ちで向き合った。どこまでも自分自身の中に潜り混む、まるで瞑想のような時間だった。
その後、後から来た夫も一緒に、年に一度の氏神様のお祭りに行けたのだった。
父の家庭菜園を手伝ったり、庭に生えた春の山菜を採ったりして、この季節を楽しんだ。やっぱり、こんな暮らしが大好きだなあ・・・

文章の流れでいくと、最初に書いた「草花の名前が入った曲」を紹介するところなんですが、ちょうど、先日のライブで撮った曲が割とよく撮れていたので、こちらの曲を紹介します(マンドリンで祐也さんが入ってくれています)。

『みんなのうた』
この曲は私が24歳で人前で歌い始めて、2曲目に出来た曲です。なんせ人前に立つのなんて苦手だし、声は震えて上手く喋れないし、ひどいステージだったけれど、伝えたいことがあったのでしょう。何かに駆り立てられて歌い始めた、そんな頃。
この曲は、ずっとそばで私のことを遊ばせ、見守り、育ててくれた、身近な自然への感謝のうた。

ずっと守られてる感覚があったから、感謝の気持ちは自然に湧いてきた。 「みんな」の自然との付き合いもそんな風だといいなという思いから『みんなのうた』という名前を付けた。NHKの『みんなのうた』に使われたらいいなという、妄想もひそかにありました(笑)。

思えば、この曲、一番では、小学2年生の体育の時間に「はじめて雲が動いていることに気付いた時」。 二番は、大学受験が上手くいかなくて「空の青さに自分の悩みなどちっぽけだと思えた時」。三番は、20歳で初めて海外ひとり旅をして「最初は違いにばかり目がいった外国の人・暮らしに共通点を見つけた時」。

こんな時のことを歌っていて、ずいぶん前に作った歌だけど、それらの思いは今でもずーっと変わらず、この歌を歌う度に、その時の気持ちに戻れる、私の中の軸になってくれている歌です。

歌って、かたちも重さもないのにどこにでも持っていける、なんとも便利なものなのです。


この記事を書いた人

旅する輪(りん)ちゃん
神奈川県出身。東南アジア、インド、ヨーロッパの旅の末、沖縄県石垣島に流れ着く。自分自身と世界に「こんにちは」を言うために。旅、ふるさと、身近な自然と内なる自然をテーマにしたオリジナル曲の他、金子みすゞや谷川俊太郎の詩に曲を付けたり、色んな国の歌を歌う。各種音楽配信サービスで、石垣島でレコーディングした2ndアルバム『渡り鳥のうた』が聴けます。2022年から自宅ガレージを改装したお店「なずな文庫」で自分にちょうどいい働き方を模索しながら、「楽しい」「わくわく」「大好き」をひそかに発信しています。


▼「旅する輪ちゃんドタバタ劇場 」記事集です!


▼月刊まーる運営のため、「応援まーる」をいただけると嬉しいです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?