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「ままならないから私とあなた」を読んで|読書感想文

まず、著者の朝井リョウさんに言いたい。あなた凄すぎます。男性なのにこんなに鋭く女性の心の動きを表現できるなんて。

まるで自分の事のように話に深くのめり込んでしまいました。

***

小学校から仲良しのふたりが二十歳過ぎになるまでのお話。
ふたりの共通点は推しのバンドが同じこと。いつも一緒にコンサートに出かけていた。

薫ちゃんは理性で物事を考える。「それ意味あるの?」が口癖。効率的に考え、動く。答えがひとつの数学を何より愛す女の子。結婚もアプリで見つけて、別居婚を選ぶ。

一方で雪子ちゃんは感性で動く女の子。ピアノが大好き。無駄にみえることにも意味があると信じている。

雪子ちゃんは大好きな音楽で仕事を得たいと努力をしている。小学校の同級生がボーイフレンド。音楽で自立できたら、彼と結婚したいと思っている。

この小説を読んで考えたことは小さいときに仲良くなった友達のこと。

子供のときに仲良くなるお友達のきっかけは何だったのだろう。家が近く?クラスで席が近かった?お母さん同士が仲良し?習い事が一緒?

きっかけは些細なものだけど、友人として続くのはお互いが心地よく感じる何かがあるからだ。

”ままならないから”を別の言葉で言い換えると、全く異なるという意味かな?

つまり、タイトルを別の言い方にすると”ぜんぜん違う種類の人間だよね、私とあなたって”ことかな。

ぜんぜん違うから、一緒にいて心地いい友人。

好きなことがほぼ同じだから、一緒にいて心地よい友人。

心地よくてもぶつかり合うこともある。

ふたりの人生は全く別の方向に向かっていく。どちらが正しいのか間違っているのか、それは誰にも言えないこと。

薫ちゃんも雪子ちゃんも幸せなら、それでいいってこと。


この小説を読んだあと、タイトルをしばらく眺めて考えてしまった。


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まる。
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