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「ミシンと金魚」を読んで|読書感想文
今すぐ読みたくなってしまう本に出会うこともあります。そのような緊急時は電子書籍で購入します。
「ミシンと金魚」はどうしても今すぐ読みたくなった本でした。
タイトル:ミシンと金魚
著者:永井みみ
出版社:集英社
あらすじ
カケイさんは認知症。夫に先立たれ一人暮らしをしている。週に何日かデイケアサービスに通い、週末は息子の嫁がカケイさんの様子を見にくる。
息子の嫁は意地悪でカケイさんにいつもどなる。息子に会いたいのに、会うことがない。
毎晩オムツをすることを心がけている。ケアサービスの人に迷惑をかけないように。息子の嫁に怒鳴られないように。
カケイさんは波乱万丈な人生を生きてきた。年老いた今でもカケイさんは自分が子供のときのこと、はじめて生んだ娘の幼い姿を思い出す。
感想
認知症を題材にした本はたくさんある。この小説は認知症のカケイさんからみた世界が描かれている。
私の母は認知症で、母からみえる世界がどんなものなのか知りたかった。この小説でそれが少しでもわかりたいと思ったから読もうと思った。
今は軽度の認知症の母だけれど、毎年確実に記憶が薄まっていっている。
小説のなかのカケイさんの認知症は重度の一歩手前ほど。介護に訪れる数名の女性の名前を覚えることができず、どの人もみっちゃんと呼んでいる。
認知症のカケイさんもほかの誰かと同じように、いろいろと考えたりしている。頭の中がからっぽというわけではない。みんなと同じように感情があるのだ。
たとえばのお話。お元気ですか?と聞かれる。
これだって考えればヘンな話なんだけど。
だって、年とったら、どっかしら痛かったり悪かったりなんだから、元気なはずないんだけども、若い人間にはそうゆうことがわかんない。で、聞いてくる。お元気ですか?って。ね。
感想をひとことで言えば、切なかった。なぜ切なくなったのかと聞かれれば、母のことを想ったからだと思う。
カケイさんと母はまったく違う人間だから、重ねてみたわけではない。自分が年老いていくのは平気。でも親が年老いていく姿をみるのは、せつない。
名前を呼ばれて、立ちあがろうとするがダメで、ああダメだったと、やってみたあとで気づく。気持ちの中では立てたころの自分だから。すっくと立てたころの、としよりはとしよりだけど、今よりはましだったころの。
まとめ
なんだか、すこし重めな感想文になってしまった。でもカケイさんが認知症で年老いているから不幸なお話だと思わないでほしい。ネタバレになってしまうから、これ以上は書くのをやめておきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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