「東京百景」を読んで|読書感想文
ついに読み終えてしまった。ずっと読んでいたかった。東京100景といわずに、200景でも500景でも1000景でもいい。
東京百景は100個の随筆から成る。それぞれのタイトル名は都内のどこか、又吉さんが訪れた場所だ。
又吉さんの言葉がわたしの笑いのピントにぴたりとはまる。
にやにやしながら読んでいる顔はぜったいに気持ち悪いはずだから、人に見せられない。
夜ベッドにはいり、数ページ読んでから本を閉じて目を閉じる。眠るまえの至福な時間。本当に楽しかった本。
作品について
又吉さんが東京に来たのは18歳の時。それから10年経ち、東京の折々の風景の想い出を綴ったものがこの作品だ。
2013年にヨシモトブックスより刊行された。その9年後の2022年、加筆修正と新たに書き下ろしを加えたものが角川文庫から出版されたものが本作品。
東京百景は又吉さんの頭の中にはいりこんで都内をゆっくり散歩する感覚だ。
感想
数行でおわる話と数ページに続く話がある。わたしが特に好きな話は「池尻大橋の小さな部屋」。
又吉さんがお金に困っているだけでなく、自分の生き様に悶々としていた日々のなかで出会った彼女との話。
恋愛話という言葉だけでは物足りない。とても懐かしいのにもう取り戻すこともできない、あの時にながれていた時間。
誰も知らないキミと僕(又吉さん)の話をそっと覗かせてもらったようでした。
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別の話でこう書いてあった。
思わず、自分が他人に夢の話をしたことあるかどうか、過去の自分の行動に頭を回らせてしまった。たぶん、ないだろうと思った。そして安心した。
”あまり好きではない”ではなく大嫌いというのだから、よっぽど何か嫌な経験があったのかもしれない。
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別の話でこう書いてあった。
この一文に頷いてしまった。優しい人は優しい状態がひとより長いだけで、四六時中やさしいわけじゃない。
つまり、優しくできない時の自分を責める必要はないんだと思った。
最後に読書ノートに書き留めた文章を引用します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。