テレビドラマ初回のみ“ふんわり”レビュー<2022年10月期>
※最後は『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』『自転車屋さんの高橋くん』『記憶捜査3〜新宿東署事件ファイル〜』など5週目のドラマをレビュー。そして最後に今クールの総評を軽く!
2022秋ドラマが始まりました!
という事で今期もテレビドラマのふんわりレビュー。
あくまでふんわり。
これで2022年日本の連ドラはコンプリート!
皆さまの視聴の参考になればと思い、忖度・贔屓なしで書いております。
星の評価は
<★★★>次回楽しみ!
<★★☆>次回も観る!
<★☆☆>次回もまー観るかも!
<☆☆☆>次回以降もう観ない!
くらいの感じです。
ほぼ直接的なネタバレはないと思うのですが、未見の方は一応お気をつけください。
※ちなみにTVerで観ているのでTVerにはないNHKやWOWOWプライム等のドラマは除外してます。
リンク先のTVer等は期限切れで見れなくなっている可能性もありますのでご了承ください。
【月曜日】
<★★★>『エルピス-希望、あるいは災い-』
朝ドラ『カーネーション』 『今ここにある危機とぼくの好感度について』の脚本家・渡辺あやと『カルテット』のプロデューサー・佐野亜裕美が元々企画していたもののTBS社内から「内容がやばすぎる」とボツにされ佐野亜裕美も左遷。
その後、佐野亜裕美はTBSを退社して他の局に企画を持ち込みまくった末にカンテレ(フジテレビ系列)で高く評価されて今回の放送に漕ぎ着ける。
(ちなみに佐野亜裕美はカンテレに入社し今作の前に『大豆田とわ子と三人の元夫』をヒットさせています。個人的に佐野亜裕美&坂元裕二コンビのダラマが好き。)
前置きが長くなりましたが、上記の通り地上波でこれをやるのは凄い!
既得権益、それもテレビ業界を含めた部分に切り込むなんて。
Netflixとかアマプラとかストリーミング配信ならわかるけど…
長澤まさみに当て書きした主人公らしいんですけど、長澤まさみってこんなに前に出ない引きの演技もできるんだなぁと感服。後半はだいぶ前に出てきてましたけど。
あとはなんと言ってもチーフプロデューサー役の岡部たかしが無双してます。いろんな意味で。
何かを抱えるメイク役の三浦透子も良いし、役者陣軒並み素晴らしい。
あとはストーリーテラー役でもある眞栄田郷敦の頑張り次第な感じもします。
自らも報道(ゴシップ)に殺されたアナウンサーが最高裁で死刑判決が出ている冤罪事件とどう向き合うのか?
他にも演出に『モテキ』 大根仁、メインビジュアルに吉田ユニ、エンディング映像に上出遼平、エンディングテーマにSTUTS(Mirage Collective名義)、スピンオフ配信ドラマにダウ90000と日本最高峰のクリエイティブを集結。
今期No1の期待作です!
この月10枠は『アバランチ』でスタートした後、少し路線の迷子になっていた節がありましたが、やはりこの社会派エンタメ路線を頑張って欲しい!
<★★☆>『警視庁考察一課』
秋元康企画・原作、船越英一郎・山村紅葉・西村まさ彦・名取裕子・高島礼子・内藤剛士というサスペンス界のレジェンド俳優大集結の考察劇ドラマ。
これはミステリー/サスペンスではなく完全にパロディコメディ。
レジェンドのこれまでの作品が壮大なフリになって、ボケ倒しております。
船越さんの崖や山村紅葉の小説などなど。
なので過去に2サスなどたくさんサスペンスやミステリーを観てきた人にはなかなか面白いはず。
しかしその道を通ってない人には意味がわからない描写の連続で厳しいかなー。
個人的には内藤さんが京都に行っていて出てこないの面白すぎたけど。
まー実際の事件部分はスカスカなので1時間だと少し長いかなという印象。
<★☆☆>『PICU 小児集中治療室』
今回の月9は『純愛ディソナンス』の脚本家・倉光泰子と『監察医 朝顔』スタッフ陣がタッグを組んだ医療ドラマ。
主演は吉沢亮で脇にヤスケン、木村文乃、菊地凛子、大竹しのぶと主役級が並ぶ豪華な布陣。
しかし吉沢亮が非常に微妙。
吉沢亮が悪いのか、脚本段階でのキャラクター設定が甘いのかわからないが、主人公としてあまりにボヤけすぎている。
成長する主人公を描きたいのはわかるけど、これはいくらなんでもひどい。途中からほぼヤスケンさんが主役…
あとテイスト的にたまに入るコメディ描写は邪魔。全然面白くない。
既得権益と戦うテーマは素晴らしいけど、外科や救命救急などの普段ドラマになりやすいセクションと比べると映像化するのが難しい集中治療医という分野を今後どこまで真摯に描けるか。
ただリアルタイム視聴が少ないとはいえ、月曜からこれはやはり重い…
【火曜日】
<★★☆>『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』
MEGUMIが企画/プロデュース、『ゆるキャン△』に北川亜矢子が脚本、『山田孝之の東京都北区赤羽』の太田勇が演出の困難に立ち向かう女性応援ドラマ。
これは完全にコメディです。
完璧な人生を送ってきた女性アナウンサーが不倫によって一夜にして人生が終わる。そこから再生の物語。
『エルピス-希望、あるいは災い-』とほぼ同じ導入なのにここまで違う作品が作れるのか。
どちらも面白いけど、こちらの生命線は非常に巧みなセリフ回し。
北川亜矢子、安定の素晴らしい脚本。
主演の深川麻衣もちょっとこれまでとは違う路線のキャラだけど上手く乗りこなしている。
30分のコメディでクスッと笑えるので、あとはどれだけ共感を作れるかが今後の鍵になりそうです。
<★★☆>『君の花になる』
今期のTBS 火9枠は『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の吉田恵里香のオリジナル脚本、本田翼が主演の胸キュン成長物語。
酷評されている通りの本田翼の演技…本田翼はバラエティに出てる時の方がのびのびしていて楽しそう。
劇中のアイドルグループ“8LOOM”のオーディションから追いかけている密着映像をYouTubeで公開したり、主題歌の配信や写真集の発売などドラマ以外の活動にも力を入れてドラマ+オーディション番組的な要素あり。
ただそれによりダンスや歌が下手。
ライバルグループはINIのメンバーがやっているので、『武道館』の時のJuice=JuiceみたいにジャニーズJrのどこかのグループを丸々起用した方が良かったような…
観る前は全然期待していなかったのだけど、全体的に悪くない。
悪くないんだけど何かが足りないような気もする。やはり主役の力なのか…
まー今後に期待します。
そして火9枠だから恋愛禁止のアイドルと寮母の間にやはり恋愛要素が生まれるのか?
<★☆☆>『科捜研の女2022』
続編モノなので基本的には前からのシーズンを観ていないと厳しい。
木8時の木曜ミステリー枠が無くなったので新設された火9枠の最初のドラマに。
前回から科捜研メンバーが一人交代になり新しく小池徹平が加入。
テレ朝シリーズモノのメンバー交代は常だけど、最近は上手くいっていないような気がする…
今までサスペンス×コメディ的な作りだったこのシリーズが大幅刷新で、どちらかというとシリアス路線に。
ただ今までコメディ路線でやっていたキャストがほぼ残留してのこの路線変更は少し無理矢理感が強い。
視聴率はしっかり2桁だけど、昨年話題になったようにシリーズの終焉も近いかも…
【水曜日】
<★★☆>『親愛なる僕へ殺意をこめて』
井龍一&伊藤翔太による同名原作で、『ライアーゲーム』 『信長協奏曲』の演出・松山博昭&脚本・岡田道尚というタッグで送る二重人格サスペンス。
主演が最近コメディで開花しつつある山田涼介(Hey! Say! JUMP)。
山田くんに軽い演技をさせたらお手の物なのですが、今回は二重人格の役という事でどーなるでしょう。
尾上松也や早乙女太一あたりのどストレートなキャスティング、サスペンスを得意としているスタッフ陣、コミックス原作と変な事をしなければあまり外しようがないのかな?
登場人物みんな怪しいみたいな作り方もサスペンスの導入としては良い。
ただサスペンス/ミステリーは結局最後のオチ次第という感じはあるので、まー正直初回では判断が難しい。
ただいわゆる“犯罪者の近親者“というような側面もあって、そのテーマとサスペンス要素のバランスをうまく保てるかが重要な気がする。
門脇麦がヒロインだと思っていたら、どうやら川栄李奈がヒロインらしい。
<★★☆>『ファーストペンギン!』
『JIN-仁-』 『義母と娘のブルース』など大ヒット連発の森下佳子オリジナル脚本、奈緒がプライム帯初主演を務めるリアルサクセスストーリー。
実際に鮮魚BOX事業で漁業の6次産業化を成功させ、日経ビジネス「次代を創る100人」にも選ばれた坪内知佳の書籍が原作。
元々、坪内知佳のファンなので非常に楽しみにしていました。
魚嫌いなワケアリシングルマザーと破産寸前の漁師が既得権益をぶち壊していく爽快なドラマになりそうな予感。
たまに入るコメディも良い。
梶原善、吹越満、渡辺大知と脇役の安定感と堤真一の相変わらず素晴らしい演技力も光る。
ただほぼほぼ全てが良いのに、奈緒があまり良くない。
彼女の演技にワクワクしない。
あーこれからやってくれそうだーって思えない。
正直、坪内知佳本人のお話を聞いている方がワクワクする。
これは今後致命的になるような気が…
あと本当に今後恋愛要素だけは勘弁してほしい。
非常にもったいないなーという印象。
<★★★>『相棒season21』
続編モノなので基本的には前からのシーズンを観ていないと厳しい。
ついに亀山薫こと寺脇康文の帰還。
視聴率も当然のごとく爆上げ。
脚本がどうのこうのとか巷では言われているみたいですが、正直昔からのファンにとってはあまり関係ない。
これから薫ちゃんとあんな人やこんな人が絡んでいくかと思うとそれだけでテンションが上がってしまう。
小野田公顕とたまきさんが出てこれないのが悔やまれる。
今シーズンでフィナーレとなってしまうのか?見守ります。
【木曜日】
<★★☆>『自転車屋さんの高橋くん』
松虫あられの同名コミックスが原作、『ゆるキャン△』に北川亜矢子が脚本、『山田孝之の東京都北区赤羽』の太田勇が演出、大人の胸キュンピュアラブストーリー。
「ん?」と思ったあなた!そうです。『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』と全く同じ北川&太田コンビです。
同じクールで同じコンビで全く別のドラマを2本やるのも中々珍しい気がする。
しかもどっちも面白いですからね。
原作の設定同様に岐阜県大垣市で撮影したようです。
そもそもの世界観が最高なので、あの雰囲気をしっかり映していてくれてなんか安心しました。
主演の鈴木伸之は『ファーストペンギン』とダブルヘッダーで全然違う役だけど、どちらもなかなか似合っています。
そして長井短はこういう役やらせたらうまいですねー。
原作がまだ完結していないけど、どこらへんまでやるのだろうか。
楽しみに追っていきたいと思います。
<★★☆>『恋と銃弾』
箕野希望による同名コミックス原作、演出が『青野くんに触りたいから死にたい』のスミス、脚本が『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』の舘そらみの烈愛ラブストーリー。
これは原作が非常に面白いんですけど、ほぼR指定みたいな内容なんですよね。
それを深夜とはいえよく地上波でドラマ化できたなと…
今期は『エルピス-希望、あるいは災い-』といい『親愛なる僕へ殺意をこめて』といい、なかなか限界突破している作品が多い。
ヤクザの若頭役の古川雄大のセリフがいちいちエロいんですよね。
これは再現度高かったです。
独特な台詞回しは多少やりすぎな感じはしたけど…
エンディングで実際のコミックスの場面を出してくれる演出は良き。
30分の手軽さやコメディタッチの内容も含めなかなかオススメ。
しかし誰かと観る時は注意しましょう!
<★★☆>『Sister』
あやぱん&蜆ツバサによる同名コミックスが原作、『リコカツ』の泉澤陽子が脚本、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の湯浅弘章が演出のノンストップラブサスペンス。
関係ないが今期はチェリまほのスタッフ陣が大活躍しております。
まず主演の山本舞香と瀧本美織が全く姉妹に見えない。
あとさすがにデザイン事務所だとしても営業でその身なりはなくないか?
という小さな粗は探そうとすればあるんだけど、大枠ではワクワクでした。
なんでも完璧な姉とその姉の婚約者がかつての初恋の相手。
いやーこういうドロドロこそドラマですよねー。
笠原秀幸も気色悪い役をやらせたら一級品。
瀧本美織がなんか異常に怖くてサスペンスというよりホラー的な要素もあり。
ただ山本舞香はあまりシリアスな役は似合わない。
もっとあっけらかんとした役柄の方が活きる気がする…
そこらへんのキャラクターの持っていき方も含めて今後どうなっていくのか期待!
<☆☆☆>『ザ・トラベルナース』
『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の中園ミホ&片山修が脚本&演出、中井貴一&岡田将生が主演の“新”痛快医療ドラマ。
“新”と言っているが一見しただけでドクターXのスタッフ陣だとわかるフレーム。
変わったのは今回はドクターではなくNP(ナースプラクティショナー=アメリカの上級看護師)の話であること。
しかしこの変更がかなり厳しい。
はぐれものでも医師ならまだギリギリ許せたことが、NPとはいえ今の日本の医療制度ではさすがに道理が通らなすぎる。
わかりやすい勧善懲悪的なストーリーや中井貴一と岡田将生のコンビはなかなか良いので非常にもったいない。
しかしいくら米倉涼子に断られたからといって、ここまで酷似した物語では演者のことも視聴者のことも舐めすぎているようにしか思えない…
<★☆☆>『silent』
『14歳の母〜愛するために生まれてきた〜』 『信長協奏曲』など話題作を作り続ける村瀬健がプロデュースを務め、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の演出・風間太寿&ヤングシナリオ大賞受賞の脚本・生方美久という90年代生まれの若手2人を起用したラブストーリー。
TVerで歴代最高視聴数という記録を樹立。
目黒蓮(Snow Man)と川口春奈が主演、鈴鹿央子、板垣李光人、桜田ひより、井上祐貴と異常に美男美女を集めまくるキャスティング。
感動ポルノ的なものへのアンチテーゼや世界共通のテーマになりつつあるコミュニケーションの不和を描いていこうという気概は感じる。
しかし気になるのが会話がつまらない事。
昨今非常に会話が面白いドラマが多かった反動か、特に恋人同士の会話がとても退屈に感じてしまった。
耳が聞こえなくなる主人公とその相手の設定も特に目新しい要素はなく、1月期TBSの『ファイトソング』のようなテイストで描く方が個人的には好み。
とりあえず風間俊介の演技が凄いという事は書き残しておきます。
【金曜日】
<★★☆>『記憶捜査3〜新宿東署事件ファイル〜』
続編モノなので基本的には前からのシーズンを観ていないと厳しい。
北大路欣也、おそらく現在の連ドラで最年長主演だと思われる。
このシリーズの良い所は犯人が最低の胸糞な事が多い所。
近年のミステリー/サスペンスは日本も海外も犯人が同情すべき人間か、サイコパスな事が異常に多くて辟易してしまうので、こういう犯人の方がリアリティがあって良いですよね。
あと今回から新しく松島聡(Sexy Zone)がレギュラーに。
ジャニーズが出演している連ドラの新レギュラーになる事はとても多いが、今作は前回のSP版からしっかり役を作ってからのレギュラー化だったのですんなり受け入れられたような気がします。
いやー79歳の北大路欣也がそこまで主演を張り続けるのか楽しみです!
<☆☆☆>『最初はパー』
企画・原作・脚本が秋元康、総合監修に佐久間宣行、主演がジェシー(SixTONES)の笑劇ドラマ。
前から疑問だったのですが、これだけ世の中にお笑いというモノが溢れていて、ドラマでお笑いを舞台にしたものがほぼないじゃないです。
その理由がよくわかるドラマでした。
まずずっとスベり続けてます。スベるというか上滑りというか…
ていうかたぶんドラマというフレームの中で観ている人から平均的に笑いをとることはほぼ無理な気がする…
よってドラマでお笑いを扱うには『コントが始まる』のようなヒューマンドラマ路線しかほぼ活路はない。(『コントが始まる』も素晴らしいドラマだったが決して笑えるドラマではなかった。)
しかしほぼ反社のおじさんと政治家の父に反発するだけでやりたいことがない息子のコンビでそれが作れるのだろか…
1話だけを観た限りでは著しく厳しいと感じました。
芸人とアイドルを寄せ集めたキャスト陣も特に魅力なく。
難しいことにチャレンジする姿勢は素晴らしいが、内容は…の作品でした。
<★★★>『真相は耳の中』
前クール『量産型リコ-プラモ女子の人生組み立て記-』で深夜ドラマの最高値を叩き出した感がある畑中翔太が原案/脚本/プロデュース、演出に同じBABEL LABELの山口健人、脚本に劇団『山田ジャパン』主宰の山田能龍を迎えておくるテレ東深夜ドラマ。
今回は昨年の『お耳に合いましたら』同様にPodcastと連動して、捜査力ゼロの刑事が推理オタクの娘のPodcastをきっかけに事件を解決するコメディミステリー。
まず秀逸な点がおそらく演技に不安のある筒井あやめ(乃木坂46)の使い方。
父役の伊原剛志との日常会話以外は一人でマイクに推理をする“アームチェアディテクティブ”スタイルで不安要素を上手くカバー。
脇役の腰巾着な刑事・森永悠希、ささやくツッコミ鑑識員・中村ゆりかや、初回ゲストでミステリーといえばのふせえりなどキャスティングも的確。
30分の一話完結で見やすく、メインのミステリーと少しだけ笑えるコメディのバランスも絶妙。
実際に配信されているPodcastも聴いてみるとより楽しめます。
天才・畑中翔太ここにあり!
<★☆☆>『クロサギ』
2006年に山P&堀北真希で人気を博したテレビドラマのリメイク作品。
2022年には2人ともほぼ地上波では観れなくなるなんてこの時誰が思っただろうか…
原作は黒丸&夏原武による同名コミックスで、脚本は2006年と同じ篠崎絵里子が務め、主演が平野紫耀(King & Prince)&黒島結菜。
平野紫耀の専門用語を羅列している時の言わされている感、朝ドラ明けの黒島結菜の全体に漂う役不足感は否めない。
三浦友和、山本耕史、宇野祥平あたりでなんとか補っているイメージ。
最後の詐欺の仕上げの描写もちょっと緩くてインパクトに欠け、リアリティもない。
「詐欺師を騙す詐欺師」という根幹のプロットが面白いからまだなんとか観れる…
前回は原作のコミックス自体が完結していなかったが、今回は完結した物語を網羅して脚本が作られているらしいので今後はそこらへんの変化に期待。
しかしヒット作のリメイクはやはり難しい…
【土曜日】
<★★★>『ジャパニーズスタイル』
『コントが始まる』の金子茂樹が脚本、仲野太賀が主演という最高のタッグ再結成で、観客あり30分1本勝負のシットコム。
市川実日子、要潤、柄本明など名だたる俳優の繰り広げるボケの数々をひたすらツッコんでいく仲野太賀が侍に見える。
それでジャパニーズスタイル?
石崎ひゅーいの小ボケも良い。
舞台の生感特有の、おそらくアドリブなんだろうという細かい芸の一つ一つまで見逃せない。
エンディングでVaundyの素敵MUSICをバックに流れるメイキング映像も良い。
ただTVだから仕方がないけどCMが途中で入るのがもったいない。24分くらい?ノンストップで観たい。
そして現状では差し込まれるVTRも流れをぶつ切りにしていて邪魔。これからの伏線になってくることを願う…
続きが非常に気になる名ドラマの予感。
<★☆☆>『ボーイフレンド降臨』
『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』 『恋はつづくよどこまでも』の田辺茂範がオリジナル脚本、髙橋海人(King & Prince)主演のトライアングル・ラブコメディ。
オープニングから謎のパルクール(おそらく物語には関係ない)でのスタートと髙橋海人を全面押し。
桜井ユキは『親愛なる僕へ殺意をこめて』とのダブルヘッダー。
全く違う役で振り幅が凄い。
それでいうと前のクールからの光石研の振り幅もまた凄い。
田中みな実のキャラクターがボヤけていてイマイチ掴みづらいけどそれはこれからかな?
基本的に内容が濃いわけじゃないので1時間は厳しいなーと思ったら初回のみ1時間で通常30分でした。
30分くらいで上手くまとめて軽く笑えて、キュンキュンできればまー需要は結構あるかも。
<★☆☆>『祈りのカルテ』
知念実希人の同名小説が原作で、『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』 『正直不動産』の根本ノンジが脚本のハートウォーミング医療ミステリー。
ミステリーとは言えどミステリー要素はほぼなく、研修医が患者の隠している秘密を暴いて救っていくお話。
主演が玉森裕太(Kis-My-Ft2)で、研修医仲間の池田エライザや矢本悠馬、担当医の松雪泰子や椎名桔平、患者の原田泰造などなど今クール中トップクラスの豪華なキャスト。
異常にわちゃわちゃ仲良しすぎる研修医仲間の描写は気になるが、1話につき1つの研修先(精神科や外科)での出来事を完結で描いていて非常にわかりやすい。
コメディ要素もあり医療モノとの相性はどうかとは思うけど、このくらいの作りの方が毎週観る連ドラとしてはちょうど良いのかなとも思ったり。
エントランスのロケ地が『ドクターX〜外科医・大門美知子〜』や『DOCTORS〜最強の名医〜』と同じ場所(たぶん)で、それだけで少しテンションが上がる人はドラマ好き。
【日曜日】
<★★☆>『アトムの童』
今期の日曜劇場は『やんごとなき一族』 『相棒』などの脚本を務めた神森万里江のオリジナル脚本、山崎賢人が4年ぶりの地上波ドラマ出演になるヒューマンストーリー。
日曜劇場お得意のお仕事系で今回の舞台はゲーム業界。
友人の死、潰れかけの会社、社長の父親が倒れてあとを継ぐ、ラスボスとなる業界大手との対決、全体的なスキームとして相当既視感あり。
まーそれが“日曜劇場”と言われればそうなんだけど…
個人的な好き嫌いはもちろんあるけど、ゲーム業界ってワクワクしかないと思うので題材がまず勝利。
あとはそもそもゲーム制作は非常に地味な作業の連続なのでそこをどのように上手く描いていけるかで今後の良し悪しは決まりそう。
ただ1つのドラマに芸人枠は1人にして欲しい。ごちゃついてストーリーに集中できない。
そして風間杜夫の名演は素晴らしかったです!
<★★☆>『霊媒探偵・城塚翡翠』
2020年のミステリー賞5冠、近年でも数本の指に入る相沢沙呼のミステリー小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が原作。
正直これは楽しみ半分、不安半分。
霊媒によって「死んだ人の意識を自分に降ろす」=「犯人がわかる」=「しかし証拠がないから隣の推理作家が論理的に後付けする」いうスキームは非常に良くできている。
しかしこれを1話完結で描くには時間が少なすぎた気がした。2話完結にした方が良かったのでは…
そもそも原作の内容的にこのままだと5話くらいで終わってしまわないのか?小説の2作目まで広げて使うのかな…
主演の清原果耶の再現性はなかなか高い。流石の演技力。
しかし一番の問題はこのミステリー最大の魅力である大オチをどうやって描くのか。
そしてその大オチを既に知ってしまっている原作ファン(私を含め)はこれからみんなと同じように楽しめるのか?
非常に今後が注目の作品ではあります。
ランキング形式まとめ
<★★★>
『エルピス-希望、あるいは災い-』『相棒season21』
『真相は耳の中』『ジャパニーズスタイル』
<★★☆>
『警視庁考察一課』『君の花になる』『親愛なる僕へ殺意をこめて』『ファーストペンギン!』『Sister』『記憶捜査3〜新宿東署事件ファイル〜』『アトムの童』『霊媒探偵・城塚翡翠』
『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』『自転車屋さんの高橋くん』『恋と銃弾』
<★☆☆>
『PICU 小児集中治療室』『科捜研の女2022』『silent』『クロサギ』『ボーイフレンド降臨』『祈りのカルテ』
<☆☆☆>
『最初はパー』『ザ・トラベルナース』
ふんわり総評
今期の1話を観ただけの個人的オススメは『エルピス-希望、あるいは災い-』『真相は耳の中』『ジャパニーズスタイル』の3本です!
(『相棒season21』は続編のため前作から観てないと厳しいので除外。)
『エルピス-希望、あるいは災い-』は日本のテレビでこれをできること(見れること)のありがたさを噛み締める作品。主演の長澤まさみだけでなく、周りを固める役者の名演にも注目。
『真相は耳の中』最近の深夜ドラマで無敵のクリエイター・畑中翔太の最新作。キャストの使い方含め深夜30分のコメディミステリーとしては完璧かもしれない。
『ジャパニーズスタイル』は仲野太賀&金子茂樹という最高のタッグで日本では中々難しいシットコムに挑戦。仲野太賀と愉快な仲間たちがどこまで遊び続けられるか楽しみ。
全体を通して前クールから続く「面白くないわけではないが絶対観たいわけでもない」つまりは星2つ(★★☆)の平凡な作品が多い印象の2022年秋ドラマ。
既得権益をぶっ潰していくみたいなお話が多くて、閉塞感が蔓延する日本社会の現状が色濃く出ているかもしれない。たたドキュメンタリーとの線引きは難しくなっていきますよね…
深夜ドラマは相変わらずのテレ東無双。畑中翔太や北川亜矢子&太田勇みたいな安定したクリエイターがいるのが大きい!
1年間やってみて全部のドラマを観るって本当に大変だなーと身に染みました。
また来年…お会いできるかどうかはわかりませんが、その時はよろしくお願いします!
テレビドラマにコロサレル!