「粟坂二良みたいなストーカー」
目が覚めたら
棚が倒れていて
その後ろの窓から
男に見つめられていた
まん丸の大きな目で
こちらを凝視し
くるくると瞳を動かしながら
全てを見尽くしようとしているようだ
諫めるも
全く動じることなく
変わりなく
平然と見続ける
人に興味があるなんて
暇なのか何なのか
よくわからないけれど
あまり気持ちよいものではなかった
こっそりと家を出て
凝視する眼から解放されて
遠くから我が家を眺めると
未だに覗きこんでいた
不快な気持ちになることの方がイヤだから
相も変わらず
覗きこんでいる男を
ただただ眺めていた
ふとまた目が覚めて
棚は倒れておらず
覗きこむ男もおらず
夢を見ていたのだと気がついた
窓から覗きこむ
ストーカー男は
栗坂二良に似ていたなと
吹き出して笑った
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