「花梨を手にとれば」
少し前まで
まだ青かったのに
色あせる木の葉とともに
黄色になる花梨
誰もかれも目もくれず
たわわに実るまま
それは硬くて
とても渋いから
落ちた花梨を手にとれば
そこから漂う甘さと
花のような芳しさ
クチナシをふと思わせる
まさにその名の通り
花のように香り
その渋さを除けば梨のようなシャリシャリ感
その香りに魅了され
花梨を美味しくさせたくなった
これはとてもすばらしい食材
人は手に取らないけれど
喉によいからまずは砂糖漬
漬けた果実は煮付けて砂糖煮
変わりどころでピクルスも作ろう
ほのかに花香るカリコリカリンは格別だろう
部屋にも置いて
ずっと芳香させていたい
枯れないお花
朽ちるそのときまで
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