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「学校の先生」になりたい人が減り続ける理由って何か考えてみた

※2024年11月1日のネットニュースです。ちょっとまじめな話。
下にリンクを貼っていますが、こんなニュースを見かけました。

おおーー、大学側も教員の人手不足を懸念するようになってきたなぁ。

ニュースを見ながら、なんとなく今の「教員不足」について思いを馳せてみた。考察と言うより、私個人の感想が多いかもしれませんが、お付き合いいただけますと嬉しいです。


先生の「働き方改革」進まない


私は高校と中学、私立の中高一貫校と勤務してきましたが、年々「教育学部に進学したい!」という生徒を見かけなくなってきました。

見かけなくなったどころか、「先生たち見てたら、教師にだけはなろうと思わへんわー」なんて言われる始末。笑

教師を目指す子どもが減った原因の1つに、教師というか、大人側の責任も大きいような気がします。

つまり「教師に魅力を感じられない」から、目指す子が減るわけです。

たしかにメディアで取り上げられる内容は、「教員の残業過去一更新!!」とか、「保護者のクレームに疲弊する学校現場!!!」とか、「鬱で退職する教員が増加!!!!」など、ネガティブな内容ばかりが目立ちます。

こんなの見てたら、「先生になりたーーーい!」なんて思わないですよね。むしろ、「先生ってやばそうな仕事だな」とか思うでしょう。

「もっとポジティブな内容も取り上げてよ」と思ったりもしますが、世間的に「先生は大変な仕事」というレッテルが染みついてしまっていて、払拭するのは難しそうです。

何より、「働き方」が目に見えて改善されているか、というと決して「改善されている」、とは言えないのが現状です。

ICT教育が取り入れられ、電子黒板やタブレットが現場に導入されてきて、恩恵を受けている部分もあります。ですが、全ての学校で最先端の設備がなされているわけではありません。

それに、最先端のものを使いこなせるか、というと、それにも疑問が残ります。

ある知り合いの勤める高校では、英語科の授業でそうしたICT技術を使い、「英作文の添削作業」をAIが代わりに行う、という取り組みをしているそうです。

この作業がなくなるだけで、かなりの時間短縮ができ、持ち帰りの仕事が激減した、と言っていました。

ですが、これってすべての教科で活用できるのか、と聞くと、「それは今のところ無理だろう」という言葉が返ってきました。

私は国語科の先生なので、教科で時間の要する作業といえば、【作文・小論文の添削】、【試験の記述説明問題の採点】、【大学入試で使う生徒の志望理由書などの添削】といったものが挙げられます。

作文や小論文の添削はAIで行うのは現状難しいようです。

「代筆」をAIにしてもらいことは可能ですが、それだと作文や小論文を試験本番に、生徒が自分で書く力を身につけさせられません。

加えて、志望理由書などは生成AIで代筆する生徒も一部いるようですが、大学側も生成AIかどうかを判断する設備を導入してきているため、それを提出するわけにもいかず、自分で書くことが求められます。


便利なものを導入すれば良い?


そうなってくると、最先端のものを導入すれば良い、というわけでもなさそうな気がしてきます。

上手く便利なものを活用して、それを使う力を身につけさせるのは大切です。

ですが教育の難しいところは、「時間短縮して良いところ」「時間短縮してはいけないところ」があることです。

だからこそ、教育業界はいつまで経っても非効率だと言われるのですが・・・

そしていくら便利なものを取り入れても、なくならない問題があります。

それは「保護者対応」や「不登校などの課題を抱えた生徒対応」です。

ここがたぶん先生方が1番悩みやストレスを感じてしまうところ。


多岐にわたる業務


「保護者が過保護」や「教員が信頼されていない」、「不登校の生徒への対応に時間が要する」など、巷では騒がれていますが、保護者は子供が心配で当たり前。生徒が学校に行けない理由は学校にある、というのは決めつけ。信頼されない教員がいるのも当たり前。と私は思っています。

私の親もかなりの心配性でした。それは私が昔、ものすごく引っ込み思案で内気な性格だったことが原因だろうと思います。それが高じて学校に行くのが辛かった時期が一定期間ありました。

先生は、人と人との関わりが深い仕事なので、誤解が生まれたりすることは当たり前です。なるべく信頼されるように努めますが、生徒の受け取り方、教師の伝え方がうまくいかないことも多く、そうしたことに頭を悩ませている教師は、とても多いです。

授業だけではなく、こうした人同士の関わりはもちろん、部活動、研修、事務処理、クラス運営、本当に多岐にわたる仕事が多いのも、先生方の負担になっていることは確かです。

そして、これは私自身が一番思っていたことになりますが、「しないといけない業務が多すぎる」ことで、「生徒との時間を思うように取れないこと」。これが一番つらかった点です。

生徒と関わり、何気ない話をしたり、悩みを聞いたり、そんな時間こそ信頼関係を築くチャンスなのに、それをする時間が取れない・・・。そのことにすごくジレンマを感じていました。

このジレンマを感じている教師は少なくはないはずです。


魅力ある仕事に思われない


こうした「忙しい姿」を見て育った生徒たちが、自分自身の将来の夢に「学校の先生」を掲げることは、難しいなと思います。

活き活きと働く姿を、今の先生は見せることが難しくなっているのではないでしょうか。

今の子達は、いくらでも情報を仕入れるツールがあります。

ニュースで「教員の残業時間」や「定額働かせ放題」など、マイナスな情報に行きつく子も多いでしょう。

こうしたことも、子供たちが「学校の先生」に魅力を感じなくさせている要因の1つではないかと思います。

メディアが取り上げてくれるおかげで、少しずつ改善されようとしている教育業界ですが、こうした情報が教師のマイナスイメージを子供たちに植え付けているという側面も忘れてはいけません。


願うことは


私は公立高校で教諭として5年働いていましたが、体を壊したり家庭の事情もあり、一度公務員を辞職しました。

教師業を続けることは難しいかな、と思い、他の職種に挑戦したこともありますが、今は結局「非常勤講師」として教職に就いています。

やっぱり「先生」の仕事が好きなことを再確認し、「教諭」の働き方は今はお休みしていますが、子供たちに関われるこの仕事が好きだな、と日々感じています。

なので、今の教育業界が改善され、子供たちに活き活き働く先生の姿を見せられる、そんな先生が増えることを願っています。





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