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ラグジュアリーなお家騒動『ハウス・オブ・グッチ』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:3/4
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
伝記
ファッション
【原作・過去作、元になった出来事】
・ノンフィクション
サラ・ゲイ・フォーデン『ザ・ハウス・オブ・グッチ』(2001)
【あらすじ】
貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)。彼女は、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家の後継者の1人であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)をその知性と美貌で魅了し、やがて結婚する。
しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、強大なファッションブランドを支配しようとする。順風満帆だった2人の結婚生活に陰りが見え始めたとき、パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。
【感想】
世界的なブランド、グッチの創業家にまつわる映画です。ただ、創業者のグッチオ・グッチがいかにしてブランドを作り上げたかという話ではなく、その子供や孫たちのお家騒動がメインです。けっこう淡々としているので、好みは分かれそうな映画かなって思いました。
<最初に整理しておきたい登場人物>
この映画、登場人物が多い上に、みんな同じグッチを名前に持っているんで、ちょっとややこしいんですよ。なので、最初に誰が出てくるかを簡単に知っておいた方がいいかもしれません。
まず、映画には出てきませんが、創業者はグッチオ・グッチ。この人がすべてのスタートです。その子供が5人いるんですが、映画に出てくるのは2人。ロドルフォ・グッチ(ジェレミー・アイアンズ)とアルド・グッチ(アル・パチーノ)です。で、ロドルフォの子供がマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)で、アルドの子供がパオロ・グッチ(ジャレッド・レト)。なので、この2人はいとこ同士ということになります。そのマウリツィオを誘惑して、グッチ家に入ったのが、今回の主人公であるパトリツィア・レッジアーニ(レディー・ガガ)。つまり、彼女はグッチ家とは何の関係もない、外から来た部外者っていうことです。血筋的には。
<パトリツィアの猛プッシュはまさにライオン>
で、このパトリツィアが肝なんですよ。彼女は貧しい家庭で育ったせいか、玉の輿を狙っていたんでしょうね。パーティーでマウリツィオと出会ったときからすごいんですよ、プッシュが。日本の映画やドラマだと、よくかわいこぶりっ子みたいなキャラが、お目当ての男の子に猛プッシュするシーンが多いですよね。けれど、洋画だとそういうぶりっ子っていなくないですか?今回のパトリツィアもそうですが、自信と野心に満ち溢れた感じで、「私といないと損するよ?」ぐらいの勢い。圧倒されちゃいました。実際、出会った当初のマウリツィオは、ボンボンの優しいお兄ちゃんって印象で、見るからに人のよさそうな好青年でした。耐性なさそうでしたもん、グイグイ来る女性に。パトリツィアに完全にペース持っていかれてましたね。セックスシーンとか笑っちゃいましたよ。ここは闘技場かな?って感じで(笑)
<グッチ家の運命を変えるほど強いパトリツィアの野心>
グッチ家に入ってからのパトリツィアは、もうやりたい放題。我が物顔でふんぞり返り、マウリツィオをそそのかして、どんどんグッチ家の人たちを経営の座から追い払っちゃいますから。「おまえグッチ家の人間じゃないじゃん」って思うんですけど、彼女からしたら結婚して家族になった時点で、自分もグッチ家って認識なんですよね。「いや、まあ戸籍上はそうだけど、、、血は違うんじゃんか」って思って、僕はまったく共感できませんでした。むしろ、ウザいなって感じるぐらい、彼女のドヤ感はすごいです。映画のキャラクターとしては申し分ないぐらいの存在感の強さですね。
ただ、やっぱり育ちっていうのはちょいちょい出ちゃうんですよ。マウリツィオと付き合い始めたばかりの頃に、ロドルフォともお茶をするシーンがあるんですが、そこでの会話の盛り上がらなさとか。後半、マウリツィオの友人たちと会ったときに、何かとマウンティングしちゃうところとか。観ているこっちが「あちゃー」って感じるぐらいには、会話に温度差があるのが伝わってきましたね。実生活でもありますよね。ごはんの食べ方やお箸の持ち方、店員への態度とか。そういうのに近いものがありました。
<ストーリー自体は普通>
そんなパトリツィアの暴走っぷりが楽しめる映画ではあるんですけど、ゆーてもこれ、ただのお家騒動ですからね。グッチっていう世界的ブランドの創業家ってことで注目度は高いですけど、言ってしまえば、ちょっと激しい家庭内トラブルみたいなものなので、お話自体はシンプルかつポピュラー。ラグジュアリーブランドらしい煌びやかな雰囲気はほとんどありませんでした。それでいて、尺が159分とちょっと長めなんですよ。なので、人によっては少し退屈に感じてしまうかもしれませんね。僕も「もう少しテンポよく進んでくれるとよかったかな~」とは思っちゃいましたが。
<そんなわけで>
意外と淡々と進む映画なので、みなさんが思っている以上には抑揚がなく、静かな雰囲気です。ただ、トム・フォードやカール・ラガーフェルド、アナ・ウィンターなど、ファッション好きならピンとくる人物も出ているので(本人じゃないですよ)、そういうファッション要素が好きなら、楽しめる部分は多いかもしれません。
全然関係ないんですけど、サルマ・ハエックって国生さゆりに似てますよね(笑)