脱税王をギャフンと言わせるのが詐欺師集団という毒を以て毒を制す的な展開が痛快だった『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:56/130
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:-
製作年:2024年
製作国:日本
配給:ナカチカピクチャーズ、JR西日本コミュニケーションズ
上映時間:120分
ジャンル:クライム
元ネタなど:韓国のテレビドラマ『38師機動隊』(2016)
公式サイト:https://angrysquad.jp/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
税務署に務めるマジメな公務員・熊沢二郎(内野聖陽)。ある日、熊沢は天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)が企てた巧妙な詐欺に引っかかり、大金をだまし取られてしまう。
親友の刑事の助けで氷室を突きとめた熊沢だったが、観念した氷室から「おじさんが追ってる権力者を詐欺にかけ、脱税した10億円を徴収してあげる。だから見逃して」と持ちかけられる。犯罪の片棒は担げないと葛藤する熊沢だったが、自らが抱える”ある復讐”のためにも氷室と手を組むことを決意。
タッグを組んだ2人はクセ者ぞろいのアウトロー達“どんな役にもなれる元役者”“強靭な肉体の当たり屋”“特殊な偽造のプロ”“母と娘の闇金親子”を集め、詐欺師集団《アングリースクワッド》を結成。脱税王から大金を騙し取る方法を、所有者に成りすまして土地を売る地面師詐欺に設定し、綿密&大胆な計画を練り上げ、チームは壮大な税金徴収ミッションに挑むが……その先には「裏」を読み合う壮絶な騙し合いバトルが待ち受けていた。
【感想】
※以下、敬称略。
原作は韓国で放送されていた『38師機動隊』(邦題は『元カレは天才詐欺師 ~38師機動隊~』)というテレビドラマです。そちらは未鑑賞ですが、本作は『カメラを止めるな!』(2017)の上田慎一郎監督が極上のクライムエンターテイメントに仕上げていてとても楽しめる内容でした。
<悪が悪を裁く>
この映画の面白いところは、脱税王から大金を騙し取るのが詐欺師集団という、まさに「毒を以て毒を制す」という構図にあると思います。しかも、その詐欺師集団に加担しているのが税務署に努める公務員の熊沢二郎(内野聖陽)という場違い、、、というか「おまえはそれやっちゃダメだろ」っていう立場の人(笑)なんですが、熊沢はこの脱税王の橘大和(小澤征悦)にハメられたことと、昔のある事件において復讐心を持っていたことから、詐欺師集団《アングリースクワッド》に加入することを決めます。まあ、劇中ではアングリースクワッドっていう言葉は出てこないんですけどね(笑)本来悪人を裁くはずの警察も上層部が熊沢と癒着していて無法状態。となると、もう頼れるのは悪人しかいないというわけです。
<『オーシャンズ11』が好きならハマる>
そこから先は、橘を騙すためにあの手この手の策を練ります。橘に近づくためにみんな役に扮したりトリックを仕掛けたりと、『オーシャンズ』シリーズ(2001-2018)のような、いわゆるケイパー映画(主人公たちによる強盗や盗みを主題とする映画)の形になっていくのは見どころですね。途中でバレそうになるピンチに陥るも、みんな咄嗟のアドリブ力で何とかくぐり抜けるところはスリリングで観ていて楽しいです。最後も驚きのオチなんですが、後からちょっと時間を遡ってタネ明かしする『コンフィデンスマンJP』(2018-2022)のような演出も痛快でした。
<キャスティングが最高>
あと、この映画の注目ポイントとしては、キャストとキャラクターのマッチ度合いが高いことが挙げられます。氷室を演じた岡田将生は見ての通りの爽やかイケメンなんだけど、呼吸するようにウソをつくひょうひょうとした感じが本人にピッタリ。しかも、彼も彼で訳アリな過去を持っているのでスピンオフや続編も作れそうです。
熊沢を演じた内野聖陽は黒縁メガネをかけると、一瞬、光石研にも見えるんですが、真面目な公務員と不動産投資で財を成した金持ちという両極端の役柄を演じ分けられているのがすごかったです。金持ちといっても中身は公務員であることに変わりはないので、ちょっとした所作に素人感が出ちゃう演技が職人芸だなと感じましたね。
橘を演じた小澤征悦もヴィランとしてうってつけな方ですよね。シリアスな作品における悪役というよりも、今作のようにコメディとまではいかなくてもややゆるい雰囲気の作品におけるズル賢い役や胡散臭い役が似合いすぎです(笑)
<そんなわけで>
テンポのいい痛快クライム映画で気軽に楽しめるのでオススメです!とにかく話のテンポがいいですし、いつ誰がどこで何を仕掛けてくるのか裏を読みながら鑑賞するのもひとつの楽しみ方ですね。『オーシャンズ』シリーズや『コンフィデンスマンJP』シリーズが好きならハマるんじゃないでしょうか!