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今年一番の大号泣。孤独な男と癌になった犬の絆に全身の水分が目から出てしまった『チャーリー』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:8/75
ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★
【作品情報】
原題:777 Charlie
製作年:2022年
製作国:インド
配給:インターフィルム
上映時間:164分
ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:なし
公式サイト:https://777charlie-movie.com/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
職場でも自宅の近所でも偏屈者として知られ、楽しみといえば酒と煙草とチャップリンの映画だけという孤独な日々を送るダルマ(ラクシット・シェッティ)。そんな彼の家に、悪徳ブリーダーのもとから逃げ出してきた一匹のラブラドールの子犬が住み着くようになる。
犬嫌いのダルマは何度も追い払おうとするが、やがて少しずつ心を通わせ、チャーリーと名付け自分の家に迎え入れる。やんちゃでイタズラ好きのチャーリーに振り回されながらも楽しい日々を送っていた矢先、チャーリーが血管肉腫で余命わずかだと判明する。
ダルマは、雪が好きなチャーリーに本物の雪景色を見せようと、サイドカーにチャーリーを乗せ、南インド・マイスールからヒマラヤを目指し、インド縦断の旅に出る――。
【感想】
犬だよ、、、犬。。。もう涙止まんないって・゜・(ノД`)・゜・。僕は犬は好きですが、動物の中で特別かって言われると正直それほどでもありません。犬も好きですし、猫も好きですし、カエルも好きなので、まあ他の動物と同じぐらいの愛着って感じですかね。がしかし、映画で物語を紡ぐとなると、これはもう犬しか成し得ない人間との絆があるんですよ。。。
<ストーリーもキャラクターもズルい>
正直、この映画はもう設定からしてズルいです(笑)悪徳ブリーダーから逃げ出し、孤独な男ダルマの元にやってきた犬チャーリーですが、癌に侵されていることが発覚し、、、というそれだけで涙出そうになりますもん。それでいて、このダルマってのもまたズルいキャラクターなんですよ。まわりの人間と必要最低限の関わりしか持たず、不愛想かつ無関心という身勝手な人物。もうわかるじゃないですか、こういう偏屈な人が犬との交流によって変わっていくってのが。実際その通りでしたよ。最初はチャーリーのことをウザいなって思ってたダルマですが、追い払っても追い払っても自分の元から離れようとしませんし、ダルマが発作で倒れたときもずっといっしょにいてくれたことで、だんだんダルマの態度が柔らかくなっていくんですよね。チャーリーに対してだけでなく、まわりの人に対して優しくなってきて、笑顔も見せるようになりました。みんな驚いてましたよ。「ダルマが変わった」って。最悪の印象から始まっているので、その後は何をやってもギャップになりますし、変化がわかりやすいんですよね。こんなんズルすぎるだろって(笑)そういう意味では、この映画は絵に描いたように先の展開が読めてしまう王道中の王道なお話ではあります。
<わかっちゃいるけど泣けちゃう人と犬の絆>
王道で先が読みやすい話だからこそ、途中からポロポロ涙が出てきちゃうのもまた事実。絶対最後に別れが来るんだから、それを思うと今こうして幸せな時間を過ごしていることがとてつもなく愛おしく感じられてね。チャーリーが癌であることがわかると、ダルマは一気に失意のどん底に突き落とされます。家族のいないダルマにとって、チャーリーといることの幸せが唯一の癒しだったから。同時に、彼はチャーリーが幸せによって癒されているのかを疑問に感じます。だから、ダルマはテレビに映る雪に興奮していたチャーリーの姿を見て、本物の雪を見せようとヒマラヤを目指したんです。徐々に弱っていくチャーリーと、当初の姿からは想像もつかないほどチャーリー愛情を注ぐダルマ。この人と犬が触れ合う姿は、同じような構図の映画は数あれど、やっぱりいつ観ても感動的なんですよね。犬ってやっぱり健気というか従順というか、なんだかんだで人間に寄り添ってくれるから、そこに犬から人間への無償の愛を感じてしまうんですよ。もちろん、実際は犬種によっても個体によっても性格に違いはあるから、どの犬も全部が全部映画のようにはなりませんし、そもそも映画の中の犬が健気で従順なのは人間の自分勝手な描き方によるものだとは思うんですけど、それでも個人的には好きな構図です(犬からしたらちゃんちゃらおかしいってなるかもしれませんけど(笑))。
<いつもとは違う使われ方だけど、とてもよかった歌の数々>
インド映画と言えば歌ってぐらい、いつも歌や踊りのインパクトが強いですが、今回の映画では従来のような情熱的な歌や踊りはありませんでした。むしろ、BGM的な感じで歌だけ流れていたんですが、この歌詞がすごくよかったんです。ダルマやチャーリーの心情を詩に乗せて代弁してくれるから、歌詞を観るだけでお互いの気持ちがわかってここでまた涙が出るっていう。
<そんなわけで>
王道すぎる内容ですし、インド映画らしく話の割に尺もすごく長いんですけど、それでもメチャクチャ泣けるほどいい映画でした。犬好きでもそうでなくても、今年一番の感動作かと。ただ、2つツッコミたくなる点があって、ひとつは「そんな軽装で雪山登れないだろ」ってのと、もうひとつは、、、ネタバレになるので詳細は書きませんが、「1匹だけ?」って。ついでに言うと、最後に『天空の城ラピュタ』(1986)の『君をのせて』のオルゴール曲が流れたのは監督の趣味でしょうか(笑)