お互いのパートナー同士が不倫しており、残された男女の一線を超えるか超えないかというもどかしさと、すれ違いで逢えない切なさが募る『花様年華 4K レストア版』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭14」で面白かった順位:10/13
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:花樣年華(In the Mood for Love)
製作年:2022年(オリジナル版は2000年)
製作国:香港
配給:アンプラグド
上映時間:98分
ジャンル:ラブストーリー
元ネタなど:なし
公式サイト:https://asa10.eiga.com/2024/cinema/1308/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
1962年、香港。地元新聞社の編集者チャウ(トニー・レオン)と、日系企業で秘書として働くチャン夫人(マギー・チャン)は、偶然にも同じアパートに同じ日に引っ越してきた。
隣人同士の付き合いを始めたものの、チャウの妻とチャン氏は仕事が忙しくあまり家におらず、二人はそれぞれに孤独を感じていた。
だが、互いの伴侶が実は不倫関係にあることを知ってしまう。
裏切られ傷ついた者同士が慰め合うように、二人は時間を共にし始める。
【感想】
「午前十時の映画祭14」にて。2000年の香港映画の4Kレストア版。一部のキャラクターが名前や設定を引き継いでいることから、『欲望の翼』(1990)の続編であり、『2046』(2004)の前編という位置づけらしいです。とにかくプラトニックな映画でした。こういうのって、観る人の置かれている状況が映画の設定と近ければ近いほどハマりそうですよね(笑)
<不倫する人の詰めが甘すぎる>
同じ日に同じアパートに引っ越してきたチャウとチャン夫人(名前がややこしいw)。チャウは仕事で忙しく、チャン夫人の旦那も海外出張で滅多に家にいません。かと思いきや、チャウの奥さんとチャン夫人の旦那が不倫してたっていう事実なんですよ。これが何でバレたかっていうと、チャウの奥さんはチャン夫人と同じハンドバッグを持っていて、チャン夫人の旦那はチャウと同じネクタイをしてたからなんですね。もちろん偶然ってことはありますし、劇中でも不倫してたっていう証拠はないんですが、まあそういう設定なわけです。そもそも、詰めが甘すぎるだろって思うんですけど。隣人同士なのに同じファッションアイテム買ってくんなよって。バカなのかと(笑)
<お互いに自制心の塊でギリギリのところを綱渡りしている>
で、「お互いの配偶者同士が不倫してまして、残された我々はどうしましょうか」ってのがこの映画です。チャウはその気はあるんですが、それでもがっつきはしません。チャン夫人もチャウに惹かれてはいるものの、常にほどよい距離感を保とうとします。2人ともすごく自制心があるんですよ。途中から頻繁に会うようになりますし、チャウが執筆作業をしたいからと別で部屋を借りてそこで密会もするんですが、絶対に一線は超えません。でも、お互い心はすでに相手のものになっています。もどかしくも切ない想いが募るばかりでしたわ。
<ニアミスすぎて身悶える>
終盤はもう日本の90年代のドラマみたいなすれ違いの連続です。チャウがシンガポールに行くことになって、その後をチャン夫人が追って、でも会えなくて。ただ、チャウの部屋に入ったことがタバコの吸い殻からわかるっていう。
その後、何年かしてチャン夫人が香港に戻ってきて、前に住んでたアパートに寄るんですよ。その少し後ぐらいにチャウも同じアパートに寄るんですが、チャン夫人はたまたまいなくてここでも会えません。実は、彼女はここに住んでおり、その話を別の住人から聞くんですが、「女性と幼い息子が住んでる」としか言わないから、それがチャン夫人だと気づかないんですよね。いやー、なんだよこのすれ違い。「ケータイ使えよ!」って思ったりもしたんですが、このときの時代は1966年。ケータイなんてありません。。。ああ、ケータイがないとこんなすれ違いも起きてしまうんだ。。。もし、過去にケータイがあったら、つなぎとめられた愛や新しく生まれた命もあったんだろうなあなんて思いました。
<そんなわけで>
プラトニックすぎて動きが少ないので、そういう意味では地味さはあるんだですが、大人の胸キュン映画として楽しめました。不倫された男女っていう設定ではありますが、やってることは気持ちは届いているのに近づけない切ないラブストーリーです。公開当時38歳のトニー・レオンが渋すぎる。。。
今の自分よりも年下なのに。。。(笑)あと、マギー・チャンのチャイナドレス姿も美しいですね。。。