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病的に嫉妬深いプロボクサーの波乱万丈な人生と、ロバート・デ・ニーロの役作りが凄まじかった『レイジング・ブル』

【個人的な満足度】

「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:14/18
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Raiging Bull
  製作年:1980年
  製作国:アメリカ
   配給:ユナイテッド・アーティスツ
 上映時間:129分
 ジャンル:伝記映画、スポーツ、ボクシング
元ネタなど:プロボクサー「ジェイク・ラモッタ」(1922-2017)

【あらすじ】

1964年、ニューヨーク。クラブのコメディアン、ジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)は、かつて“怒れる雄牛”と呼ばれた世界ミドル級チャンピオンだった。

1941年、デビュー戦以来負け知らずだったジェイクは、理不尽な判定負けを喫し、弟でマネージャーのジョーイ(ジョー・ぺシ)や妻に当たり散らした。

そんなある日、プールで15才の少女ビッキー(キャシー・モリアーティ)と知り合ったジェイクは、妻子持ちにも関わらず交際を始めるがー。

【感想】

「午前十時の映画祭12」にて。1980年のアメリカ映画。マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロの安定のタッグですね。

<スポーツ映画よりも伝記映画としての側面が強い>

この映画、実在した元プロボクサーのジェイク・ラモッタが題材となっています。ボクシングってことで、てっきり『ロッキー』シリーズのように、宿敵を倒すために努力して勝利するスポ根モノかと思いきや、そうではありませんでした。あくまでも伝記映画なので、もちろんボクシングシーンはあるものの、どちらかといえばジェイク・ラモッタの人生そのものに焦点が当たっていましたね。

<嫉妬深さがやべぇ>

で、この人、実際に強いボクサーだったようなんですが、この映画を観る限り、ボクサーとしての彼よりも、病的な嫉妬深さをもつヤベェやつっていう印象の方が強いです。もともと奥さんはいたんですけど、彼女に対してはほとんど執着がなかったですね。あまり愛していなかったんでしょうか。で、妻帯者であるにも関わらず、プールで15歳の少女に心奪われて交際開始。歳の差は20歳以上あるんじゃないでしょうか。

恋人が若くて美しいもんだから、他の男に狙われるんじゃないかって気が気じゃないんですよね。ちょっとでも他の男と口を聞こうものなら、「何を話していたんだ」と突っかかり、ちょっとでも外出しようなら、「浮気しているんじゃないのか」と責め立てます。挙句の果てに、彼女の行動を監視させていた自分の弟にも「おまえ、手を出しただろ」と疑う始末。実際、彼女は誰にも色目は使っていませんし、まわりの男たちも彼女をどうこうしようなんてまったく考えていなかったのに、一切信じなかったんですよ。サイコパスなんじゃないかってぐらいの嫉妬深さに背筋が凍りつきました。

<ロバート・デ・ニーロの役作りもやべぇ>

そして、この映画でもうひとつ注目したいのが、ロバート・デ・ニーロの徹底した役作りです。現役のミドル級チャンピオンの鍛え上げられた肉体を作るために体を搾っています。それだけでもすごいんと思うんですが、引退後の肥満体型を作るために、なんと体重を27kgも増量したんですよ。肥満体形は特殊メイクかなとも思ったんですけど、実際にそこまで太ったというのだからすごいですよね。。。ここまで役作りに徹底できるからこそ、ロバート・デ・ニーロの演技にはリアリティがあるのかもしれません。

<そんなわけで>

伝記映画らしく淡々と進む内容ではありますが、嫉妬深いジェイク・ラモッタのヤバさと、体型を大きく変えるロバート・デ・ニーロのヤバさ、ダブルで一見の価値アリな映画でした。


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