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地位も家族もすべて失ったマキシマスによる復讐と、欲しかった愛情をすべて彼に取られたコモドゥスによる妬みの、私情のもつれ合いが命の取り合いにまで発展する『グラディエーター 4Kデジタルリマスター

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:41/116
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Gladiator
  製作年:2024年(オリジナル版は2000年)
  製作国:アメリカ
   配給:東宝東和
 上映時間:155分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:なし
公式サイト:https://gladiator2.jp/revival/

【あらすじ】

西暦180年、大ローマ帝国。皇帝から次期皇帝の座を約束された将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)。

ところが、それを許さない皇帝の息子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)は、新皇帝の座につくために父を殺害。さらにマキシマスの妻子をも手にかけ、彼を奴隷の身へと陥れる。

家族と地位、全てを失ったマキシマスは、ある決意を胸にコロセウムに立つ。それは名誉のためでもなければ、生き延びるためでもない。真の剣闘士《グラディエーター》となって新皇帝への復讐を果たすために…。

【感想】

グラディエーター』シリーズ第1作目。2000年に公開された映画が4Kデジタルリマスター版として蘇ります。古代ローマ帝国を舞台に繰り広げられるすべてを失った男の復讐劇。戦闘シーンの迫力もさることながら、オリジナル版公開当時36歳だったラッセル・クロウと、25歳だったホアキン・フェニックスの、若いはずなのにいい意味で年齢以上の雰囲気を醸し出す2人に圧倒される映画でした。

<男のジェラシーは怖い>

この映画、次期皇帝の座を約束された将軍が奴隷に成り下がり、剣闘士として成り上がっていく話なんですが、結局のところはコモドゥスの妬みがすべての原因ですよね。マキシマスは確かに強かったです。強かったし、勇敢だし、誠実な男でした。で、コモドゥスは現皇帝のアウレリウスの実の子であるにも関わらず、歪んだ性格の持ち主でした。だから、アウレリウスは次期皇帝の座を自分の息子ではなく、マキシマスに譲ったのです。「おまえが息子だったらよかったのに」なんて言って。ある意味、アウレリウス自身はちゃんとしていたとも捉えられますけど。

当然、コモドゥスからしたら面白くないですよね。でもそれは、マキシマスがアウレリウスから認められたからだけじゃないんですよ。アウレリウスによって本当の子供のように愛されたからでもあるんです。しかも、コモドゥスは実の姉であるルッシラ(コニー・ニールセン)に対して歪んだ愛情を抱いているんですが、そのルッシラもかつてはマキシマスの恋人で今でも彼のことを想っています。さらに、ルッシラの子供のルシアス(スペンサー・トリート・クラーク)、つまりコモドゥスの甥でさえも「マキシマスはかっこいい」と言い出す始末。コモドゥスは野心家であり、誰よりも承認欲求が強そうなキャラですが、彼が欲しかった称賛や愛情は全部マキシマスに向けられてしまったってことです。まあ、正直もうどうしようもないとは思いますけどね。マキシマスという男は別に狙って愛情を横取りしたわけではなく、ただ皇帝に忠誠を尽くし、与えらえた仕事を着実にこなすという誠実さの塊のような人物だっただけのこと。一方で、コモドゥスは承認欲求の強さや歪んだ愛情ゆえに、まわりからも「難あり」と思われしまったので、自業自得というか自己責任というか、もうその人の人格の問題ですからね。アウレリウスは自分の育て方が悪かったようなことを言っていましたが、そんなこと言われてもどうしようもないですよね。

で、コモドゥスは父親を許せずに暗殺してしまうわけですが、その事実を悟ったマキシマスがそれを公にしようとしたことで、コモドゥスは家族もろともマキシマスを処刑せよと命令を下すわけです。後半でセリフのみの描写だですが、マキシマスの子供は泣き叫びながら釘を刺され、妻は娼婦のような声を上げながら何人もの男に犯され、最後は2人とも焼かれたというのが想像しただけで心が痛みます。。。妬みだけでそこまでやるかって思いますけど。。。

<意外と根性のあるコモドゥス>

処刑人から何とか逃れたマキシマスは奴隷商人に買われ、剣闘士として戦うハメになるんですが、最終的にはコモドゥスと一騎打ちになります。個人的には、コモドゥスって意外と根性あるなって思いました。てっきり他の人に戦わせて自分は高みの見物でもするのかと思っていたので、ちゃんと自ら剣を交えるんだなと(笑)まあ、コモドゥスは戦いの前に、縛られたマキシマスの背中を小さなナイフで刺してダメージを与えるという小賢しいことはしていましたけどね(笑)

最後も手に汗握る戦いでしたね。マキシマスは家族を殺された復讐と国の未来を懸けて戦うわけだから、もう絶対に負けられないんですよ。直前に深手を負いながらも命懸けで勝利をつかみ、その後で静かに息を引き取っていく彼の姿こそ、後世に名を残すべき英雄だと思いました。

<そんなわけで>

古代ローマ帝国という壮大な世界観の中で繰り広げられる、地位と家族を奪われたマキシマスと愛情を手にできなかったコモドゥスの敵対関係が面白い映画でした。ドラマチックな人間ドラマに加えて、冒頭の戦争シーンや古代ローマ帝国の街並みなど映像も迫力があり、音楽も『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(2003-2017)っぽい感じでかっこいいので、これはぜひ映画館で観たい作品です!

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