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愛する家族か人類か、究極の二択を突如突きつけられる恐怖を描いた『ノック 終末の訪問者』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:54/57
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆

【作品情報】

   原題:Knock at the Cabin
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:東宝東和
 上映時間:100分
 ジャンル:サスペンス
元ネタなど:小説『The Cabin at the End of the World』(2018)

【あらすじ】

人里離れた山小屋で休暇を過ごしている3人の家族の前に、突如現れた謎の4人組。彼らは家族を拘束し、こう告げた。

「私たちは、"終末"を防ぎに来た。君たちの"選択"に懸かっている」
「家族3人のうち、犠牲になる1人を選べ」
「しくじれば…世界は滅びる」

果たして、4人の訪問者は何者なのか?なぜ、世界は終末を迎えることになるのか?そして、正気とは思えない究極の“選択”の結末とは?

【感想】

M・ナイト・シャマラン監督の最新作ってことで鑑賞しました。正直、この監督の映画がものすごく好きっていうわけではないんですが、世にも奇妙な世界観はいつも気になるんですよね。ただ、世界観は面白いものの、総じて話がよくわからないことはけっこうあったりするんですけど。今回もまさにそんな感じでした(笑)

<いきなり迫られる究極の選択>

ゲイカップルと養女の3人で平和に暮らしていた家族のもとに、突然やって来た謎の4人組。無理矢理家の中に押し入ってきて、口から出たセリフがこれ。「家族3人のうち、犠牲になる1人を選べ。そうしないと世界が終わる」と。家族も観ているこっちも「???」ですよ。なんかね、世界で天変地異が起こってて、誰か1人犠牲にならないと止まらないんだそう。もちろん、犠牲になれば人類が救われるんだけど、家族からしたら愛する人を亡くすわけですから、そりゃ受け入れがたいですよねー。1人の命と数十億人の命を天秤にかけるなんてできませんよ。

いきなりこんな話から始まるから、もう設定についていくのに必死で(笑)しかも、犠牲になる者を選ばないと、今度は4人組が1人ずつ仲間を殺していくんですよ。もうわけわかんねぇって。当然、家族は誰も犠牲になんてできませんから、4人組の要求を拒否し続けて、4人組がひとりまたひとりと死んでいきます。こんな無意味なことありますかって。

そうしたら、世界各地で津波やら飛行機の墜落事故やらが起きてるってニュースで言うわけですよ。家族は「ただの偶然だ!」ってずっと言い張っていましたし、僕もそう思っていたので、最後はちょっと驚きの展開でしたね。まあ、4人組の言っていたことが真実だったのか、それとも虚言だったのかは実際に映画館で観てみてください(笑)

<すべてが唐突すぎる>

そんなM・ナイト・シャマラン監督らしい世にも奇妙な設定は興味深かったんですが、映画として観るとやっぱりものすごくわかりづらいです。そもそもあの4人組が何なのかがわかりません。普通の人間ではあるようですが、なぜそんな選択を迫る立場にいるのかが謎です。“ビジョン”と呼ばれる予知夢みたいなのを見たとのことですが、それだけであそこまでやる?って。さらに、なぜ選ばれたのがあの家族だったのかについても言及が一切なくてですね。。。本当にすべてが唐突すぎるので、何が何やらわからないまま終わってしまった印象です。せめてそこらへんついて何かしらの説明があれば、もう少し作品に対する理解や共感が深まった気もします。

<『ヨハネの黙示録』が元ネタ>

ただ、劇中のセリフにもあるんですが、この話って『ヨハネの黙示録』を引用しているんですよ。あの4人組がその『ヨハネの黙示録』に出てくる四騎士なんじゃないかって。『ヨハネの黙示録』っていうのは、『新約聖書』の最後の一書で、世界の終わりやらキリストの再臨やらについて書かれたものらしいです。僕は読んだことありませんけど。確かに、映画の中で起こっていた天変地異は、この世の終末を表していたとも受け取れますね。その終末を迎える中で、愛する家族を犠牲にして人類を救うかどうかっていう究極の選択を迫られると。

でも、その究極の選択が何の前触れもなくいきなり出てきちゃうから面食らっちゃうんですよね。そこに至るまで他に人間ドラマが散々あった上で、クライマックスでその選択があるなら感動的になりそうですが、冒頭に持ってこられてもピンときません。

<そんなわけで>

独特な設定やストーリー展開で、かなり好みが分かれそうな映画です。まあ、すべてを語らないっていうのがM・ナイト・シャマラン監督の特徴ですが、今回の映画はその中でも特にわかりづらいんじゃないかなーと思いました。せめて、キリスト教や『ヨハネの黙示録』についての知識があったらもっと楽しめたかもしれません。あと、『ハリポタ』シリーズでロン役を演じたルパート・グリントを無駄遣いしすぎじゃないかって。あんなにメイン張ってた役者さんが、まさかこんな役どころとは……(笑)


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