「猫はかすがい」だった『猫は逃げた』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:51/61
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆
【ジャンル】
ラブストーリー
不倫
【元になった出来事や原作・過去作など】
なし
【あらすじ】
漫画家・町田亜子(山本奈衣瑠)と週間指揮者の広重(毎熊克哉)は離婚間近の夫婦。広重は同僚の真実子(手島実優)と浮気中で、亜子は編集者の松山(井之脇海)と体の関係を持ち、夫婦関係は冷え切っていた。
2人は飼い猫カンタをどちらが引き取るかで揉めていたが、その矢先、カンタが家からいなくなってしまい…。
【感想】
城定秀夫監督と今泉力哉監督によるコラボレーション企画「L/R15」。両者が脚本を提供し、R15+指定のラブストーリーとなる劇場映画を監督し合うというものですが、本作は「L/R」のうちのRと位置づけられています。ちなみに、Lは『愛なのに』です。
<猫がキーになっているというそのまんまさ>
もうそのまんまなんですけどね、この映画は猫がキーになっています。もうタイトルの時点でわかりますよね(笑)きっと離婚寸前の夫婦の仲が、猫によってどうにかなるんだろうって。まあその通りなので、やや予定調和な感じはありました(笑)
夫婦それぞれの不倫も、恋焦がれてというよりは惰性な雰囲気も強いので、あんまりエロさもないんですよね。ただ、それでも登場人物たちの愛と肉欲がほとばしる中、我関せずと自由気ままに生きる猫の姿はギャップになってて面白いです。人間たちの勝手な思惑に巻き込まれる猫が可哀想なぐらい(笑)我輩が猫であったら、さぞくだらないと鼻で笑うでしょう。で、自分の好きなように生きているだけなのに、いなくなったと勝手に人間たちが騒ぎ出す。世界の中心は猫かって。そんな流れで、ラスト20分から始まる修羅場と、それとは正反対のほんわかした終わり方という振れ幅の大きさももよかったです。
<犬にはない猫の魅力>
てか、やっぱり猫なんですよね。こういう映画に出てくる動物って。従順さのある犬じゃないんですよ。もちろん、犬は犬でいいですし、犬ってそれ単体で物語をけん引する力があると思います。一方、猫の場合はピンで物語を引っ張るというよりも、猫を取り巻く人間たちのわちゃわちゃ感を楽しむ方がしっくり来ませんか。あのマイペースで我関せずな感じは、まわりを引っ張るよりも、まわりを惑わすっていう感じの方が向いてるんでしょうね。
<そんなわけで>
ラブストーリーとしてはオーソドックスで観やすいですし、猫もかわいいので、猫好きでちょっと道ならぬ恋の物語を味わいたい人にはピッタリの映画だと思います。